ドクターズガイド

小島勢二 医師 (こじませいじ)

小島勢二 (こじませいじ) 医師

名古屋大学医学部附属病院(愛知県)
小児科
名誉教授

専門

血液、腫瘍

医師の紹介

小島勢二医師は、白血病や再生不良性貧血といった難治性血液疾患や固形腫瘍の研究・治療を専門とする。キャリアの大半を市中病院の医師として過ごしたという大学教授としては異色の経歴を持ち、就任以来、自分に求められる社会や組織のために自分だからこそできることを追求。日常の診療場面でのさまざまな疑問点について、臨床試験を通して明らかにすることで、普遍的な事実「Evidence」を創り出すことを目指している。こうした臨床研究から、診療の現場で役立つ知識が生まれている。

診療内容

現在、わが国では少子化が急速に進行している。核家族化も顕著で、さらに医療の高度化も手伝って、小児科医に対するニーズが増大しているのが現状だ。こうした状況を踏まえ、同院小児科では、幅広い小児疾患に対してよりよい医療を提供すべく、診療・研究・教育を実践している。例えば、愛知県内を中心に40に及ぶ関連病院と連携して、幅広い疾患について共同研究を実行。トータルすれば入院病床数1,000、年間入院患者総数40,000人もの症例を研究対象とすることも可能で、臨床の現場で得られた疑問点を、さまざまな手法を駆使して解明し、普遍的な事実に還元することを目指している。さらに近年は名古屋大学小児科関連病院共同研究グループが組織され、これからの共同研究の中心となっている。一方、専門医療については11の専門グループがあり、スペシャリストとしての高度な専門性を養っている。文部科学省の高度先進医療開発経費が採択され、細胞療法等の先端医療も進められている。
現在、大学内には5つの研究室のスタッフが常勤している。「血液・腫瘍研究室」では、白血病や再生不良性貧血などの難治性血液疾患や固形腫瘍の治療に取り組んでいる。小児科病棟にはこうした疾患で常時35~40名前後の患者が入院し、年間25~30例の造血幹細胞移植を行っている。これは、小児科としては全国でも屈指の数だ。このほか、悪性腫瘍や難治性ウイルス感染症を対象にした細胞療法も実施されている。研究室内には、小児再生不良性貧血治療研究会の事務局が置かれ、わが国の小児再生不良性貧血治療における多施設共同研究の中心となっているほか、再生不良性貧血・MDSの中央診断事務局も設置され、年間200例に達するコンサルテーションに対応している。「神経研究室」では、てんかん、急性脳症、脳性麻痺、新生児脳障害などの小児中枢神経疾患やGuillain-Barre症候群、重症筋無力症、筋ジストロフィー、神経障害を呈する先天代謝異常、変性疾患などについて研究・診療。外来診療では小児てんかんの患者が多く、新しい抗てんかん薬の治験に積極的に取り組んでいる。「新生児研究室」では、呼吸障害や超・極低出生体重児といった一般的な新生児疾患だけではなく、小児外科、眼科、整形外科、脳神経外科、耳鼻咽喉科など、複数の診療科にまたがる疾患や、体外式膜型人工肺(ECMO)、持続血液濾過透析(CHDF)、選択的脳低体温療法など臨床工学技士スタッフのサポートが必要となる高度医療にも対応。難治性ウイルス疾患の診断・治療、および研究を行う「ウイルス研究室」では、さまざまなウイルス感染症の遺伝子診断を行っており、中でも臓器移植患者(生体肝移植)、造血幹細胞移植患者に対するウイルスモニタリングシステムと早期治療システムは、他の医療機関にはない先端的医療といえる。「循環器研究室」では小児の心血管疾患に対して治療研究を行っている。
小児がん拠点病院に指定され、無菌病室を増設したことから患者数や移植症例数が大幅に増えている。

診療を受けるには

外来診療は予約制、紹介受診が原則。患者個人の申し込みでは初診予約はできないので、かかりつけの医療機関に相談して、予約を取ってもらう必要がある。

累積症例数または患者数

小児再生不良性貧血 150例、小児白血病 400例、小児固形腫瘍 250例、造血幹細胞移植 600例

年間症例数

常時60~70名の患者が入院し、年間50例に達する造血幹細胞移植を行っている。

医師のプロフィール

経歴
1976年3月 名古屋大学 医学部卒業
1981年 静岡こども病院 
1984年 名古屋第一赤十字病院
1998年 名古屋大学大学院 成長発達医学 教授
2002年 名古屋大学大学院 小児科学 教授
所属学会・認定・資格

日本血液学会、日本小児科学会、日本小児血液・がん学会、日本造血細胞移植学会

費用のめやす

18歳以下の小児については、ほとんどの難治性疾患は公費負担の対象である。