ドクターズガイド

黒澤 尚 医師 (くろさわひさし)

黒澤 尚 (くろさわひさし) 医師

順天堂大学医学部附属 順天堂東京江東高齢者医療センター(東京都)
整形外科
名誉教授

専門

膝関節、スポーツ外傷、関節鏡手術、変形性膝関節症、運動療法

医師の紹介

“膝の痛みの名医”として知られる黒澤尚医師。日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会名誉会員であり、膝関節の痛みなどに関する著書も多く執筆している。黒澤尚医師は、1980年代初頭、スポーツ選手に多い膝前十字靭帯損傷の再建術を世界で初めて内視鏡(関節鏡)視下で行う方法を開始し、これまでに1400例もの内視鏡視下前十字靭帯手術を実施してきた。また、高齢者に対する骨や関節、脊椎の故障の治療と予防対策として、黒澤医師独自の運動療法(簡単な体操)を1980年代後半より提唱、実践してきている。これらの運動療法は膝の痛みを薬剤や注射と同じ程度に軽減し、かつ再発を予防する方法として、1990年代半ばからは、世界で実証、推奨されるようになっている。黒澤医師は、これらの運動療法を「ご自宅でずっと続けていけば、年をとっても寝たきりになることなく、やりたいことは何でもできる身体を維持することができます」と、この運動療法の重要性を説いている。また、関節症が進行し、運動療法がはかばかしい効果を上げられなくなった症例には人工関節手術を行い、多くの人々にまた痛みなく歩ける喜びを提供し続けている。

診療内容

膝前十字靭帯損傷は、スポーツ(サッカー、バスケットボール、バレーボール、ラグビー、等)で発生する重篤な膝の外傷である。黒澤医師は長年の経験をもとに、膝に最小限の負担の内視鏡手術によって素早く、かつ術後の集中した最短のリハビリテーションによって5ヵ月後からのスポーツ復帰を可能としている。また、これまでサッカー、ラグビー、バスケットボール、アメリカンフットボール等の一流選手を数多く手がけ、迅速にスポーツ復帰を遂げさせている。
変形性膝関節症は、特に55歳以上の女性に多くみられる膝の病気で、進行性の関節軟骨の摩耗が主な病態である。黒澤医師によると、主な症状は歩行時などに見られる膝の痛みで、病気の進行に伴い関節の動きが悪化し、正座ができにくくなったりするという。こうした変形性膝関節症の治療として、黒澤医師は運動療法を推奨する。「痛みに対する治療には、消炎鎮痛剤やシップ、外用薬などがありますが、薬物療法は痛みを取るための対症療法なので、十分ではありません。近年注目されている運動療法は、自宅で、安全かつ短時間に、気軽に行うことができます」
同科が勧めている運動療法(筋力強化訓練)は、簡単な体操により筋肉を鍛えるものである。仰臥位になり、片方の足を90度以上に曲げる。もう片方の足は膝を伸ばしたまま床から約10~30cm上げ、その位置で5秒間保持して下ろす。約3秒の休みを入れ、20回継続する。これを両側の足で行う。その後側臥位になり、両足を伸ばし、上側の足を上げて、同じ運動を20回繰り返す。これらを1セットとして朝夕2セットで行う。
「熱や腫れがある場合は体操の後にアイシングをしてください。運動療法で大切なのは継続することです」(黒澤医師)また、黒澤医師は安静が症状を悪化させる可能性があることも指摘している。

診療を受けるには

黒澤医師の診察は、週1回外来を担当(2019年12月まで)。原則紹介予約制(紹介状、予約がない場合も診察は可能)

累積症例数または患者数

内視鏡視下前十字靭帯再建術:1,430症例。人工膝関節全置換術:1,170症例。変形性膝関節に対する運動療法:推定3,000例以上。

年間症例数

変形性膝関節症の外来受診初診患者数:年間240症例

医師のプロフィール

経歴
1970年3月 東京大学医学部 卒業
1970年7月 東京大学整形外科助手
1979年9月 都立台東病院整形外科医長
1981年7月 米国ハーバード大学Brigham&Women’s病院留学
1987年7月 東京大学医学部整形外科講師
1990年4月 東京逓信病院整形外科部長
1997年9月 順天堂大学整形外科主任教授
2001年4月 順天堂東京江東高齢者医療センター副院長
所属学会・認定・資格

日本整形外科学会整形外科専門医・評議員、日本整形外科学会スポーツ認定医、日本体育協会認定スポーツ医、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会名誉会員

予防に心がけたいこと

「40歳以降、筋肉、骨、関節などの運動器は気づかないうちに徐々に弱化していきます。その結果、中高年になると脊椎症、関節症や骨粗しょう症等が起こってくるようになります。70歳以上になると自分だけでは生活がままならなくなり、介護や支援を受ける方が増えてきます。この原因のかなりの部分は脚、腰や関節、背骨の故障です。40歳くらいの中年から定期的に運動することは、加齢による運動器の弱化を防ぐ唯一の方法です。例えば、ウォーキング、ジョギング、ハイキング、テニス、バレーボール、水泳、卓球、ダンス、フラダンス、ジム運動、太極拳、気功、踊り等、何か身近でできることを続けることが大切です」(黒澤医師)

費用のめやす

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