約20年前より毛髪研究と円形脱毛症の治療をおこなってきた久留米大学病院皮膚科は、日本における毛髪研究をリードしてきた中心的存在。辛島正志医師は同院で脱毛症専門外来を担当。男性型脱毛症から全頭脱毛など重症の円形脱毛症まで幅広く対応するが、特に難治性円形脱毛症に対する局所免疫療法の研究と治療を得意とする。内服薬の服用、ステロイド外用薬、光線療法、ステロイドの内服、ステロイドパルス療法、局所免疫療法など、症状、年齢、発症からの期間などを十分に考慮して治療法を決めていく。その手腕が全国で認められている。
※久留米大学医学部教育関連病院 柳川病院皮膚科部長として出向中。
毛髪研究と脱毛症の治療で歴史のある同院。脱毛症の専門外来を担当する辛島医師に現在、治療の中心となっているのはどのような症例が多いのかを伺った。
「円形脱毛症の治療が中心で、ひとつは全頭脱毛や全身脱毛のような重症の患者さんに対する病態の研究と治療をおこなっています。重症な患者さんの治療の中心は局所免疫療法ですが、ステロイド剤を使用して治療することもあります」
円形脱毛症以外のものに関しては「男性型脱毛には脱毛症外来にてプロペシアの内服の処方をおこなっています」と辛島医師は話す。
そもそも円形脱毛症という病気は何が原因なのだろうか「原因については、いまだはっきりと突き止められているわけではありません。円形脱毛症とは後天的に発症する毛が抜け落ちてしまう皮膚病です。たいていの場合、痛みやかゆみなどの自覚症状を感じることはありません。そしてある日突然、頭髪や体毛の一部が円形に抜けるのです。中には先ほど言ったように、全頭脱毛や全身脱毛といった重症になるケースもあります」(辛島医師)
種類としては、円形脱毛が1、2箇所の単発型、円形脱毛があちこちにたくさん出る多発型、頭の毛がほとんど抜ける全頭型、頭髪だけではなく眉毛、睫毛、ひげ、体毛など体中の毛が抜ける汎発型に分けられるのだそうだ。
「治療には内服薬の服用、ステロイド外用薬、光線療法、ステロイドの内服、ステロイドパルス療法、局所免疫療法などがありますが、症状、年齢、発症からの期間などを十分に考慮して、治療法を決めていきます」(辛島医師)
それぞれの症例で薬に対する反応も違うため、治療法の判断は慎重におこなわれる。もちろん、そこには辛島医師の長期にわたる専門的な研究と豊富な臨床経験が活きているのは間違いない。円形脱毛症は人に見える部分の疾患だけに、深く悩む患者も多い。辛島医師の専門外来には信頼できる治療を求め、そんな悩みを持つたくさんの患者たちが遠方からも訪れるという。
他院で治療中の場合は紹介状が必要。初診時の待ち時間はおよそ1~数時間程度。
およそ500人
およそ100人
医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
保険診療内