ドクターズガイド

秀 道広 医師 (ひでみちひろ)

秀 道広 (ひでみちひろ) 医師

広島大学病院(広島県)
皮膚科
教授 広島大学大学院医歯薬保健学研究科 医学部長

専門

皮膚科疾患全般、特に蕁麻疹、アトピー性皮膚炎

医師の紹介

秀道広医師はアトピー性皮膚炎における重要な悪化因子として汗に注目し、その対処方法を開発するとともに、アレルギーの発症因子が存在しても病気にならずに暮らすための予防法の開発を目指している。勤務する同院は広島県内唯一の大学病院であるため、重症熱傷や悪性黒色腫など重篤度の高い患者の搬送や紹介も多い。したがって研究は皮膚アレルギーが主流だが、臨床の守備範囲は広く、アトピー性皮膚炎をはじめとする皮膚疾患に悩む患者からの信頼は厚い。

関連記事 →

診療内容

秀医師はアトピー性皮膚炎、蕁麻疹を中心とした皮膚アレルギーの専門家だ。アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息に代表されるアトピー疾患は年々増加しつつあり、国民の約3割はこれらの疾患を含む何らかのアレルギー疾患に悩まされているといわれている。秀医師は、アトピー性皮膚炎の疫学、汗アレルギーと、経口多糖類によるアトピー性疾患の発症予防の研究を続けている。特にアトピー性皮膚炎患者の多くが発汗後に痒みを感じやすく、皮膚炎も悪化しやすいことから、アトピー性皮膚炎における悪化因子としての汗の重要性に着目し、独自の検査方法を開発した。ただし検査には表れない痒みや悪性因子もあり、またアトピー性皮膚炎の治療で最も大切なことは、当面の症状の改善よりも長期間にわたり良い皮膚の状態が保たれ、患者自身が皮膚の状態をコントロールできる状態に至ることにある。そのためには、まず秀医師は患者の訴えに十分耳を傾け、目に見える皮膚炎の背景にある状態を把握することが、治療の第一歩と考える。
治療に当たっては「ガイドラインに基づいて一人ひとりの患者さんに応じた標準的な治療を心掛けているだけ」と謙遜するが、他の医療施設で改善がみられなかった患者が治癒したケースは多く、アトピー性皮膚炎に悩む患者から大きな信頼を得ている。また蕁麻疹についても難治例の紹介が多く、特にコリン性蕁麻疹の患者はしばしばアトピー性皮膚炎を合併するケースが多く、その方面での治療例も多いという。「皮膚の病気には、まだまだ多くの不明点や、良い治療法のないものもありますが、少しでも患者さんに良くなっていただくために、常に最新の情報を取り入れ、最善の工夫を行いながら、新しい医療に挑戦し続けたい」と力強く秀医師は語る。

診療を受けるには

初診:月曜、水曜~金曜:8:30~11:00。再診:月曜、水曜~金曜の午前、月曜~金曜の午後
(詳しくは広島大学病院ホームページをご覧ください。)
秀医師の診察は、月曜日(午後のみ)、水曜日、木曜日(午前のみ)で、初診は水曜午前のみ。
※初診には紹介状と病院地域連携室を通した予約が必要。

医師のプロフィール

経歴
1984年 3月 広島大学医学部 卒業
1988年 3月 広島大学大学院医学系研究科修了
1988年12月~1990年5月 米国NIH(NHLBI)研究員
1990年 6月~1993年2月 英国ロンドン大学St Thomas's Hospital研究員
1993年 4月~1996年3月 厚生連尾道総合病院皮膚科部長
1996年 4月 広島大学医学部皮膚科助手
1999年 4月 広島大学医学部皮膚科講師
2001年 5月~広島大学医学部皮膚科教授(2006年4月~2008年3月広島大学医学部副学部長)
2014年 4月~2016年3月 広島大学大学院医歯薬保健学研究院 副院長
2016年 4月~広島大学医学部長
所属学会・認定・資格

日本皮膚科学会(理事・代議員)、日本研究皮膚科学会(理事・評議員)、日本臨床皮膚科学会、日本アレルギー学会(専門医、理事)、日本皮膚アレルギー学会(理事・評議員)、日本免疫学会、日本乾癬学会(評議員)、日本皮膚悪性腫瘍学会(評議員)、日本再生医療学会、日本香粧品学会(評議員)、日本褥瘡学会、日本小児皮膚科学会(副会長)

主な著書(編集・共著含む)


予防に心がけたいこと

アトピー性皮膚炎は多くの因子が様々に関与する病気です。そのため、どれかひとつのことだけ行えば良くなるという病気ではなく、逆にどれかを必ずしなくてはいけないということもあまりありません。でも、本当は常に皮膚をいたわり、どれほどたっぷりお薬をつけることができるかが大きな鍵を握っています。それに加え、できるだけ規則正しい、バランスのとれた食事と睡眠のある日常生活と精神の健康ができればほとんどのアトピー性皮膚炎は良くなっていきます。しかし、そのような状態はすぐに実現できることもあれば、何年もかかる場合もあり、そこに至るために様々なお薬の力を借りることもまた大切です。日々の皮膚の手入れとともに、長い時間をかけて少しずつ皮膚炎を起こしやすい状態を変えていくことを心がけたいものです。