ドクターズガイド

神戸克明 医師 (かんべかつあき)

神戸克明 (かんべかつあき) 医師

自治医科大学附属病院(栃木県)
整形外科 リハビリテーションセンター
特命教授

専門

整形外科、肩関節、リウマチ

医師の紹介

神戸克明医師は、肩こりや、五十肩(四十肩)、腱板断裂、関節リウマチなどを診療する、肩関節疾患の名医。肩関節への関節鏡視下手術を考案・工夫してきた医師であり、五十肩・腱板断裂に関しては2003年より580例を超える実績を持つ。再発予防を目的としたリハビリテーションにも定評があり、テレビなどのメディアを通じて肩こりのタイプ別体操法を紹介する機会も多い。現在は同大学で教鞭をとる傍ら、複数の医療機関で診療も行っている。

診療内容

中高年に多く発症する五十肩。軽度なら、痛みはあっても動きにはそれほど問題ない「肩関節周囲炎」で済むが、悪化すれば、痛みに加えて肩関節の動かせる範囲が狭くなり、日常生活に支障をきたしてしまう病気だ。神戸医師は五十肩の名医であり、中でも「関節鏡視下手術」を考案・工夫してきたことで広く知られている。

「五十肩の多くは、治療しなくても自然に治ります。しかし、治りにくい場合がることも事実。五十肩が重症化して拘縮肩になると、炎症や痛みが軽くなっても組織の癒着が進んでしまうこともあります。慢性期を長期化させないためには、早めの受診が大切です」(神戸医師)

軽度の場合、急性期には薬物療法のほか、ヒアルロン製剤やステロイドの注射を行う。ヒアルロン製剤は5回にわたり注射するが、神戸医師は「それほど重症でなければ、1回の注射で改善する人もいます」と語る。さらに、痛みが少し落ち着いたら早めにリハビリテーションを開始し、関節の拘縮を抑えていく。それで改善しない場合、神戸医師が勧めるのが関節鏡視下手術だ。

五十肩になると、肩甲骨の端にある肩峰という突起の下部分に、骨のトゲ(骨棘、こつきょく)ができる。そのトゲが腱板という組織をこすって痛みが生じ、関節包にも炎症が広がってしまう。関節鏡視下手術は、そのトゲを削り、癒着した部分を剥がしていく方法。痛みや炎症の原因を直接取り除くため、根本的な治療といっていいだろう。手術は部分麻酔で、4ケ所の穴を開けるだけの低侵襲な方法だ。「私の経験では、五十肩で受診する人のうち、約1~2割の人が鏡視下手術を受けています」と神戸医師は話す。ただし、手術をすれば治療が終わる訳ではなく、手術後もリハビリテーションに通う必要がある。

神戸医師は研究者でもあり、糖尿病と五十肩の関連を示す論文を発表している。五十肩は中高年から発症するが、「加齢に加えて、なりやすいのは糖尿病患者です」と神戸医師は指摘する。「関節鏡視下手術を行う時に血液検査をしたところ、男性の約3割は糖尿病だとわかりました。しかも、本人が糖尿病ではなくても、血縁者に糖尿病の人がいれば、やはり多くの場合は重症化する傾向があります。肩関節だけでなく、肺や肝臓、心臓の病気の人にも同じことが言えるので要注意です」(神戸医師)

放置すれば重症化することがある、構造的な問題を解決する手術がある、早期からのリハビリテーションが大切であるなど、五十肩には意外なほど知られていないことがたくさんある。これに対し、神戸医師は「いずれも、早めの受診が何より大切」と強調する。

診療を受けるには

とちぎメディカルセンターしもつが整形外科リウマチ外来:水曜の午後、TEL:(代表)
目黒整形外科内科:火曜と第1・3・5土曜のみ診療。TEL:
事前に要確認。

累積症例数または患者数

五十肩や腱板断裂に対する内視鏡手術実績は、580例以上(2003年~)

医師のプロフィール

経歴
1991年 群馬大学医学部卒業
2000年 同大学院で修了学位取得後、米国ペンシルバニア州立大学整形外科留学
2006年 東京女子医科大学東医療センター整形外科准教授を経て
2017年 12月より現職
所属学会・認定・資格

医学博士、日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医

主な著書(編集・共著含む)

予防に心がけたいこと

五十肩は構造的な原因で起こるため、普段から予防的な体操をすることが欠かせない。
また、炎症を起こしている時は、五十肩の場合は冷やすのではなく温めた方が良い。冷やすと血行が悪くなる上、筋肉が縮んでしまうので、急性期・慢性期を問わず冷やすのは避けたい。

費用のめやす

保険診療