これまでに皮膚・組織欠損を再生再建した数は1万人以上。ケロイドや肥厚性瘢痕、熱傷(やけ ど)やその後の瘢痕拘縮(ひきつれ)、傷跡の治療に力を入れている世界トップレベルの技術をもつ同科を率いる。マイクロサージャリー(実体顕微鏡を駆使した微細な部分での手術)による 組織移植、独自のさまざまな手術法による広範囲熱傷再建に手腕を発揮。また口唇口蓋裂の形成手術や微小血管外科の技術を用いた美容外科手術、各種美容外科 手術の後遺症にも対応し、その守備範囲は広く、世界的にも有名な手術法を幾つも開発しており患者の信頼が厚い。「形成外科は戦傷兵の治療で進歩した 診療科ですが、近年に於いては人間のQOLを回復させるあらゆる分野が形成外科の専門領域になっています。その守備範囲は広く、先天性形態異常、外傷、熱 傷、皮膚がんなどの腫瘍、顔面、乳房などのがん摘出後再建、顔面神経麻痺、リンパ浮腫、足の壊疽、美容外科などに及びます。細い血管を髪の毛より細い糸で 繋いで血行を再開させ組織移植するマイクロサージャリ―、顔面の骨を切って形態を変えるクラニオフェイシャルサージャリー、あらゆる組織を再生させる再生 医療も形成外科が始めました。また、レーザーなどによる光治療も形成外科医が発展させたものです。このように新しい医療分野の開拓と独自の医療技術の開発 が形成外科によって行われたということです。実際には、けがや手術による傷跡やケロイド、先天性あるいは後天性の顔面の形態異常、老化による形態変化など の相談に来られる患者が非常に増えています。最終的に傷跡をきれいにするのは形成外科という認識が一般の人々にも周知されつつあるのは、我々にとっても本意であります」(百束医師)
百束比古医師は1975年に日本医科大学卒業後、形成外科専攻医として皮膚科学教室に入局。その頃同院に日本で初めての救命救急センターが開設され、百束医師は運ばれてきた多くの重症熱傷患者の救命後の社会復帰に向けての再建手術に関わることになった。
「熱傷、とくに広範囲熱傷の治療は救命と再建 の絶妙なバランスがあってこそ、本当の治療と言えるでしょう。再建も広範囲熱傷治療の初期からかかわることが重要と考えます」と百束医師は話す。
「とくに 関節部や顔面頸部の深い熱傷再建における遊離植皮(失われた皮膚の代わりに別の部位の血行を途絶した皮膚を移植する方法)の限界を常に感じ、植皮にできる だけ近い薄さの皮弁(血流のある皮膚・皮下組織や深部組織を移植する手術方法)の開発にいそしみ、顔面頸部や四肢・手などの露出部を患部に持つ広範囲熱傷 患者の救済にあたってきました」
百束医師の開発した広範囲熱傷再建における独自の手術法は、正方弁法、プロペラ弁法、浅頸動脈穿通枝皮弁、遊離血管束移 植による二次皮弁、穿通枝付加超薄皮弁、遠位茎腓腹腓弁など数多く、大きな業績を残している。また、これらの手術法は広く世界に普及し多くの外傷や熱傷患者の社会復帰に貢献している。
現在、同院形成外科では熱傷再建のほか、口唇裂、多合指症などの 先天性異常の形成外科、悪性腫瘍の摘出・再建(特に乳房再建)、ケロイド・傷跡治療、足などの潰瘍や壊疽に対する再生治療や手術、美容外科・美容外科後遺 症(特に顔面や乳房の異物)、レーザーなど美容医療の患者が多く、同科の得意とするところである。とりわけ、広範囲熱傷の再建外科、ケロイドの治療、乳房 異物・再建治療、再生医療では世界的な評価を受け、外国からの留学生や見学生を多数受け入れている。
「再建手術では必要に応じてマイクロサージャ リーを駆使して治療します。マイクロサージャリーのできる形成外科医を多く育成することは私のめざすところでもあります」(百束医師)
ケロイドの治療は放射線治療科 の術後放射線照射療法の併用で、高い治療実績を誇っている。また手術の結果の補足や途中経過での装飾などに、メークアップが有効であるため、2001年から「リハビリメイクR」で知られるかづきれいこ講師の外来を設けるなど、術後ケアも手厚い。
予約制、TEL:。月曜・火曜・水曜・金曜 AM10:00~13:00/PM 15:00~19:00 土曜 13:00~18:00 休診日 木曜、日曜、祝日。水道橋東口徒歩2分。
百束医師:約30,000例
付属病院形成外科:約1,200例。教室全体:約3,000例
医学博士、日本形成外科学会専門医、日本熱傷学会専門医、日本美容医療協会レーザー適正医
『ステッドマン医学事典』(メディカルビュー社)
『PEPARS8 フェイスリフト実践マニュアル』(全日本病院出版会)
『Color Atlas of Burn Reconstructive Surgery』(Springer)
健康であること