ドクターズガイド

田口智章 医師 (たぐちともあき)

田口智章 (たぐちともあき) 医師

九州大学病院(福岡県)
小児外科・小腸移植外科
教授、科長 小児医療センター
総合周産期母子医療センター

専門

小児外科(特に新生児外科、小児消化器外科、小児臓器移植、小児がんの外科治療など)

医師の紹介

厚生労働科学研究費「小児期から移行期・成人期を包括する希少難治性慢性消化器疾患の医療政策に関する研究(H29-難治等(難)-一般-015)」研究班長。小児肝移植・小腸移植に精力的に取り組み、ジャパンハートと共同でミャンマー国における小児肝移植第1例を成功させた。カンボジアでの小児がん手術も展開。腋窩皺切開による先天性食道閉鎖手術や肺葉切除、臍部皺切開による腸閉鎖手術や肥厚性幽門切開手術など傷の目立たない新生児手術を全国に先がけ実施・普及させる。小児消化管疾患の病理学的研究を精力的に行う傍ら、小児外科・周産母子センターの市民公開講座企画・運営、身体障害者福祉法の小腸機能傷害および膀胱又は直腸機能障害の指定医師として活動。アジア小児外科学会理事長。日本小児期外科系関連学会協議会(四者協)会長・代表理事。九州大学病院救命救急センター長・集中治療部長

診療内容

小児外科・小腸移植外科教授として小児の手術を必要とする病気を広く扱い、臓器移植(肝移植・小腸移植)・腫瘍の集学的治療・新生児外科治療・低侵襲外科手術などを日々行い、さらに各科が診療科の垣根を越えて小児への集学的医療を提供する小児医療センターでの診療、そのセンター長を2年ごと(交替制)に務める田口医師。
造血幹細胞移植・樹状細胞を用いたがん免疫療法・心臓カテーテル治療・子どものこころと発達診療・脳機能検査・小児臓器移植(肝・小腸)・小児の低侵襲手術(腹腔鏡・胸腔鏡手術)・小児固形がんに対する集学的治療・短腸症候群や腸管ぜん動不全の治療など、専門性の高い医学・医療を提供し、ハイリスク妊娠・分娩で不安をもつ患者たちにとって絶対的な信頼を寄せられている存在だ。
田口医師は小児外科手術に関して、従来の皺を利用した腋窩皺切開による先天性食道閉鎖手術や肺葉切除、さらに臍部皺切開による腸閉鎖手術や肥厚性幽門切開の手術など傷の目立たない新生児手術を、全国に先がけて実施し普及させてきた実績をもつ。
現在も乳幼児以上に対して腹腔鏡や胸腔鏡手術を積極的に導入しており、小児の虫垂炎や女児の鼡径ヘルニアは全例鏡視下手術となっている。虫垂炎で膿瘍や腫瘤形成した状態でも、抗生剤で炎症をコントロールし3ヵ月後には腹腔鏡で摘出してしまうという。
田口医師は、さらに信頼感を強くさせる言葉が続く「小児の肝臓移植は親からの生体肝臓移植が主体ですが、これまで120例施行して生存率は93%。これは、全国でも有数の高い生存率です。対象は胆道閉鎖症が大部分ですが代謝異常、急性肝不全、肝芽腫などにも良好な成績が得られています。小児がんは発見時には巨大で切除できない症例が多いのですが、術前に化学療法を行うことにより、腫瘍の縮小を図ったうえで全摘出。これにより、治癒率が大きく上がります。肝芽腫では肝臓に限局する状態にもっていくことができれば、肝切除が困難でも肝臓移植により腫瘍全摘出が可能に。術前化学療法と適切なタイミングでの手術療法、さらに放射線療法を組み合わせることにより、治癒率の向上が見られています」
そして「新生児外科疾患のうち胎児治療が必要な症例の選択とその適応に関し、肺嚢胞性疾患のCPAMについて臨床分類を提唱し、胎児治療の適応を明確にした」「胎児リンパ管腫の胎児治療の可能性について症例を重ねて検討」「先天性横隔膜ヘルニアで高度肺低形成の症例にはgentle ventilationによる呼吸管理法の導入と待機手術およびECMOにより高い生存率を達成しさらに胎児治療のtrialにも参画」など、研究成果も目を見張るものばかりだ。
そんな田口医師のモットーは「子どもを安心して任せられる外科医であること」。病気が治った後はできる限る普通の生活に戻れるよう、考慮した治療を選択するよう心がけているという。また、対象年齢は主に胎児(出生前診断例)から18歳までだが、小児外科特有の病気はトランジションできずにキャリーオーバーとなるケースが多く、その場合は大人になっても診療を継続するそう。親としてはもちろん、成人した患者にとっても心強いことこの上ない。

診療を受けるには

小児外科・小腸移植外科初診は、月曜・水曜・金曜。受付8:30~11:00。田口医師は新生児・呼吸器・消化管・肝胆膵・肝移植・小腸移植・消化管機能・小児がん・低侵襲治療・一般小児外科担当。

累積症例数または患者数

小児外科手術5,000例、新生児外科手術1,000例、小児肝臓移植120例

年間症例数

小児外科年間手術数600例。このうち新生児外科年間手術数40~50例

医師のプロフィール

経歴
1979年  九州大学医学部医学科卒
1981-1985年 九州大学大学院医学研究科(医学博士:外科および病理)
1987-88年 カナダ国マックギル大学病理・モントリオール小児病院外科 留学
1992年 パキスタン国イスラマバード小児病院技術指導
1997年 米国ピッツバーグ大学小児病院移植外科 留学
1998年 九州大学病院周産母子センター助教授
2006年 九州大学大学院小児外科学分野教授(現在に至る)
2006-8年,10-12年,14-18年 九州大学病院小児医療センター長
2007-9年,13-15 年, 19年 九州大学病院総合周産期母子医療センター長(現在に至る)
2013-5年 九州大学医療系統合教育研究センター長
2015年 九州大学環境発達医学研究センター長(現在に至る)
2015年 九州大学病院栄養管理部長(現在に至る)
2018年 九州大学病院救命救急センター長・小児救命救急センター長・集中治療部長(現在に至る)
所属学会・認定・資格

日本小児外科学会会長・理事長・監事・評議員・専門医・指導医、日本外科学会理事・代議員・専門医・指導医、日本周産期新生児医学会会長・理事・評議員、日本小児血液がん学会会長・理事・監事・評議員・認定外科医、日本移植学会移植認定医、アジア小児外科学会会長・理事長、小児栄養消化器肝臓認定医、日本小児期外科系関連学会協議会会長・代表理事、日本小児医療保健協議会(四者協)役員

主な著書(編集・共著含む)

『臍の外科-小児の臍疾患治療と臍を利用した手術』(2018年メジカルビュー社)amazonでみる⇒
『スタンダード小児がん手術』(2017年メジカルビュー社)amazonでみる⇒
『スタンダード小児外科手術』(2013年メジカルビュー社) amazonでみる⇒ 
『標準小児外科学 第6版 (標準医学シリーズ)』(2012年 医学書院;第6版)amazonでみる⇒ 
『今日の小児治療指針 第15版』(2012年 医学書院)amazonでみる⇒
『小児がん診療ハンドブック~実地診療に役立つ診断・治療の理念と実践~』(2011年 医薬ジャーナル社)amazonでみる⇒
『小児科臨床ピクシス21 小児外来で役立つ外科的処置』(2010年 中山書店/分担執筆)amazonでみる⇒
『これから出会う物語 小児科症例集40話』(2010年 中山書)amazonでみる⇒
『肝移植四半世紀の歩み―日本肝移植研究会25周年寄稿集』(2009年 日本医学館)amazonでみる⇒
『わかりやすい周産期・新生児の輸血治療 研修医から専門医まで必修の輸血療法と安全対策』(2009年メジカルビュー社)amazonでみる⇒
『標準小児科学 第5版』(2003年 医学書院)amazonでみる⇒
「Operative General Surgery in Neonates and Infants」Springer, 2016, on demand
「Hirschsprung’s Disease and the Allied Disorders –Status Quo and Future Prospects of Treatment」 Springer, 2018, on demand

予防に心がけたいこと

小児外科疾患の原因は不明だが、胎児の循環障害は発症に関係がある可能性も。健やかな妊娠経過を心がけたい。

費用のめやす

保険診療内、そのほか赤ちゃん医療、小児慢性特定疾患、育成医療など公的な医療費助成制度あり

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日本小児外科学会HP: