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紀州のドン・ファンの謎の死 覚せい剤の恐怖とは

覚醒剤は、広い意味ではカフェインやコカインも含む脳内を刺激する中枢神経刺激薬、具体的には覚せい剤取締法の規制対象であるアンフェタミンやメタンフェタミンを指す。現在、我が国で乱用が問題となっている覚せい剤は、ほとんどがメタンフェタミンであり、通常、塩酸塩の状態で密売、乱用されている。

覚せい剤には、中枢神経興奮作用があり、健康な人が塩酸メタンフェタミン1ミリグラムから5ミリグラムを摂取した場合、眠気が覚め、気分が壮快となり、疲労感がなくなる。さらに、思考力、判断力が高まり、多弁になり、多幸感を覚えるようになる。また、食欲減退作用が強く、欧米ではやせ薬として用いられていたこともある。

 一度に大量(個人差もあるが、初めての摂取者で20ミリグラムから50ミリグラムを超える量)の塩酸メタンフェタミンを摂取すると、軽度の場合には食欲不振、心悸亢(きこう)進等の症状が現れ、重度の場合には不眠、身体の震え、更には錯乱、幻覚等の症状が現れる。更に重度の場合には、高熱、けいれん、昏(こん)睡から虚脱状態に陥り、最後には脳出血から死に至る。致死量は、0.5グラムから1.0グラム程度と考えられている。

覚せい剤は強い精神的依存性を有するため、乱用者は連用に陥る場合が多い。また、耐性が生じやすいため、連用した場合には摂取量が急激に増加して、慢性中毒に至る。慢性中毒の初期症状としては、多弁で落ち着きがなくなり、怒りやすく、凶暴な行動をとるようになり、また、注意力、集中力、記憶力が減退し、意味のない単調な行動を繰り返すようになることが挙げられる。更に中毒が進むと、幻覚、妄想等の症状が現れることから、凶暴な行為や威嚇的な行動に走り、傷害、殺人等の犯罪を引き起こす場合がある。

覚せい剤の乱用を開始してから慢性中毒の症状の発現に至るまでの期間は、覚せい剤の摂取量、摂取の頻度、摂取方法等によって異なり、また、個人差も大きいことから、一概に述べることはできないが、30ミリグラムから100ミリグラムの塩酸メタンフェタミンを2箇月から1年間程度連用すると、多くの人は慢性中毒に陥ると言われている。

慢性中毒者が覚せい剤の継続的な乱用を中断すると、1箇月以内に幻覚、妄想等の症状は軽減するが、その後の回復は遅く、無気力、落ち着きのなさ、自己中心的な傾向等の症状はなかなか消滅しない。そのため、再び継続的な乱用に陥ってしまう者が多く、この場合には、非常に早く慢性中毒の状態に戻る。また、覚せい剤については、フラッシュ・バック(注)がみられることが知られている。

(注)フラッシュ・バックとは、薬物の継続的な摂取を中断した後、心理的なストレス、睡眠不足、飲酒、他の薬物の乱用等をきっかけとして、突然、慢性中毒と同様の症状が現れることをいう。

我が国における覚せい剤乱用者は、そのほとんどが静脈注射によって乱用を行っており、1回の摂取量は、通常、30ミリグラムから50ミリグラム程度と言われている。静脈注射をした直後には、経口摂取の場合と比べて極めて強い快感が得られるが、注射痕(こん)が残ることから、最近では、経口摂取のほか、鼻からの吸引、たばこの葉に混ぜて吸うなどの方法で乱用する例も報告されている。覚せい剤を内服した場合には、15分から30分後に薬理作用が現れ、これが数時間持続すると言われている。(警察白書より引用)

これらの薬物が体内に入ると、血糖値が急速に低下したときに起こる交感神経刺激症状、血圧値の上昇、瞳孔の拡大、発汗、喉の渇きなどが起こる。内臓の働きは低下、性的気分は増幅、男性の場合は勃起不全状態となる。食欲の低下、不眠状態、幻聴、食欲は低下し、過覚醒により不眠となる。国連の発表では、覚せい剤の末端価格は 1gあたり6万円程度(2018年)。麻薬常習者の1回の使用量は1回当たり0.02~0.03グラムと言われており、作用時間は約2~4時間。致死量は、0.5グラムから1.0グラム程度と考えられている。


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(2018.06.07.)



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