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いまだに減らない日本の結核

◆東京五輪が開かれる2020年に向け、日本の結核患者を減らそう計画が始まった。結核は、過去の病気と思われがちだが、実は日本では人口10万人当たりの患者数16.1人と高い。3月24日は世界保健機関(WHO)が定めた世界結核デー。先進国の多くが10万人当たり10人以下の中、日本では患者を減らす取り組みと新治療薬開発などの技術革新が進められている。

結核とは結核菌に感染し主に肺に炎症が起きる病気。2週間以上、せき・たん・だるさ・微熱などが続く症状が現れる。1950年頃は日本人の死因1位で、年10万人以上が死亡した。その後、生活水準の向上や治療薬の開発などにより激減したが、現在も年間約2万人が感染している。患者が減らない理由のひとつは高齢化である。結核菌は、感染しても体の抵抗力があれば発病せずに休眠状態になる。高齢者は抵抗力が低下するため過去に感染した結核が発病したり、新たに感染して発病したりすることが多い。せきやたんなどの症状が出ない場合や認知症で症状を訴えることができなく発見が遅れることもある。また、高齢化だけでなく、都市化も結核が減らない原因のひとつだ。厚生労働省は、首都圏・中京・近畿地域などの大都市で高い傾向が続いていると分析している。それは、都市部のホームレスや外国人など支援や対策が届きにくい社会的な弱者が多い。最近は、外国から来た子供が予防接種を受けておらず、親などの近親者から感染するなど、外国人の割合が増加傾向にある。若くて体力があるからといっても安心はできないのだ。結核は半年ほど薬を服用すれば治るが、都市部の貧困層などは、結核は過去の病気との誤解やせきが続いても医療機関を受診しなかったりと医療が届きづらいのが現状である。また、最近では受診しても医師が結核と疑わず発見が遅れるケースもあり、周囲に感染が広がり集団感染が起きることもある。高齢者や体力が落ちている人が多い施設では特に要注意。

厚生労働省や結核対策を行うNGOなど、世界の結核を減らす「ストップ結核ジャパンアクションプラン」を今年改定。初めて国内向け対策を明記し10万人当たり10人以下を目指す。一方、世界では治療薬が効かない「多剤耐性結核」が問題となっている。大塚製薬(東京都千代田区)は2014年、欧州と日本で多剤耐性肺結核の治療薬「デルティバ」の販売の承認を受けた。日本では約40年ぶりの結核新薬である。今後に期待したい。


(2015.03.26.)



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