ドクターズガイド

自律神経失調症 (1)
季節の変わり目の漠然とした体調不良 

体の調子は悪いのに検査を受けても原因が見つからない。こういったとき、「自律神経失調症」と診断を受けることがあります。これは簡単な言葉で言えば「自律神経」→「自動的に体を外部環境に合わせて調整する機能」「失調」→「正しく動いていない」ようです、ということです。

まれに、パニック障害や摂食障害、不安神経症といった精神的な病気であっても、身体的な数値の異常が出ないために「自律神経失調症」という名前で診断されていることもあります。
ある意味便利な病名で、一般の人からすれば「なんでもあり」という印象もあり、頭痛や倦怠感といった顕著な症状に悩む人のなかには、いまひとつ納得しきれない表現に感じる人もいます。

季節の変わり目は、この自律神経の失調がおきやすいものです。今年はクエスチョンマークを抱えながらやり過ごさなくてもいいように、自律神経のことをわかっておきましょう。

■自律神経の役目

人間は、意識せずに呼吸をし、心臓を動かし、汗をかいて体温を調節します。このような生命維持活動は、自律神経系によって自動的にコントロールされています。重要なことであるからこそ、不安定な意思とは関係なく「自動」で行われ、「自動」であるために「自律」という名前がつけられているのです。

この自律神経系は「交感神経系」と「副交感神経系」という相反する作用をするふたつの系で成り立っていて、この二つが常にお互いにバランスよく機能することで、体の各機能が調節され、結果が情報が中枢に伝えられます。

交感神経

「昼の神経」とも呼ばれ、日中や活動的に過ごすときに活性化されます。これが副交感神経より強く働くと心拍数や血圧があがり、瞳孔は拡大して体全体がエネルギッシュな状態になります。運動や気温の変化だけでなく、精神的な興奮・緊張・恐怖・不安に対してもこれらの反応が起こります。

副交感神経

「昼の神経」に対して「夜の神経」と呼ばれます。体を休息モードにする働きがあり、こちらが交感神経より強く働くときは、心拍・血圧の低下、瞳孔収縮といった、夜の睡眠に適した状態になります。

■「失調症」とは

正常な体のリズムでは、昼は交換神経、夜は副交感神経というように優位が切り替わって働きます。ところが精神的な不安、ストレスや、本来なら休むべき夜に休まず活動することで交感神経優位の状態が不自然なほど長時間続いたり、溜まりすぎた疲労を察知した副交感神経が、体を休ませようと必要以上に働いてしまったりすると、これら2つの自動的な切り替えが無視され、リズムを乱されることになります。また、天候や気圧、気温など、外部環境の急激な変化に合わせようという働きが行き過ぎることでも同じ結果を招きます。

これを「自律神経のバランスがくずれる」→「自律神経の失調」と表現しているのです。

■症状

自律神経失調症の症状は、一言でいえば「不定愁訴(ふていしゅうそ)」です。特定の症状が強く継続するというよりも、ほとんどの場合、生活はなんとか送れるけれど、なんとなく体のあちこちがつらいという感覚なので、「このぐらいガマンしないといけない」という思いからそのままになってしまいがちです。

しかし体全体の調節機能の不具合ですから、影響は連鎖して、さまざまな器官にさまざまな不調がおこる可能性があります。不調はがまんせず、軽いうちに対処したほうがよいでしょう。

自律神経の失調による起こるのは、多くは下記のような症状です。

頭痛、めまい、息切れ、のぼせ、汗をかく、汗をかかない、イライラ、食欲不振、不眠、便秘、下痢、腰痛、胃腸不良、倦怠感、目が疲れる、口が渇く、耳鳴り、手の痺れ、飲み込むときの違和感 、頻尿

「春眠暁をおぼえず」というように、春はなんだか眠いという経験がある方は多いですね。これも、自律神経が春先の急な気温変化に体をあわせるのに忙しく、活動と休息のモードの切り替え作業においついていないため、とも考えられます。

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