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糖尿病 リスクの高い日本人(1)

日本人の三大死因は「癌」「脳卒中」「心臓病」です。糖尿病は、直接の死因になることは少ないですが、脳卒中と心臓病の主な原因となる動脈硬化を起こしやすくするという点で、間接的には大きな死因といえます。日本人は人種的特徴からもそのリスクが高く、注意を怠ることはできません。最近の糖尿病事情をチェックしておきましょう。

■糖尿病はどんな病気なのか

糖尿病とは、非常にざっくりといえば、摂取した栄養をエネルギーに変換する能力が下がった状態です。エネルギーへの変換にはインスリンという物質をまぜる作業が必要で、人体では膵臓がエネルギー変換機としてインスリンを出し、入ってきた燃料(食物)とまぜて(反応させて)エネルギーに変換して送り出す役目を担っています。この変換機(膵臓)がなんらか故障したり、使いすぎで壊れたりしてインスリンが出せなくなるのが糖尿病です。

  • 膵臓が十分働けない→入ってきた燃料を燃やしきれず、エネルギーも十分供給できない→全身の機能が低下する
  • あまった燃料がどんどん周囲に積み重なる→血中の糖として残る→血糖値があがる
  • 積まれた燃料が変質して(脂質になって)周囲も傷めてしまう→血管、肝臓、腎臓などを傷める

といったイメージです。

こうなると治療はエネルギー変換機すなわち膵臓の修理ということになりますが、現時点では膵臓の修理は難しく、現実的には激しく使わないように(食事を制限)しながら、外部からインスリンを足しつつ(インスリン注射)、機能を長持ちさせる、という対応になります。

■アジア人の糖尿病には遺伝的要因も大きい

生まれながら、もしくは食事以外のなんらかの原因で発症する場合は「1型糖尿病」、主に過剰な栄養摂取が原因の場合は「2型糖尿病」と区別されます。2型糖尿病は患者数も圧倒的に多く、生活習慣病として大問題となっています。

また、2011年12月に、米国の科学雑誌「Nature Genetics」オンライン版に発表された研究によると、日本人はじめ東アジア人は、2型糖尿病を発症しやすい遺伝子を持つことが発見されました。それまでもアジア人の糖尿病は、欧米人に比べて肥満の程度が低く、遺伝的要因が大きいことは予想されていましたが、この発見によりそれが確定した事実となりました。日本人は、ある意味では食事や体型にかかわらず確実に高いリスクを持っているということです。特に縁者に糖尿病患者がいる場合、対処を怠れば自分もほぼ間違いなく発症すると考えたほうがいいでしょう。

■糖尿病の現状

厚生労働省の発表によると、2013年12月の段階で日本では、糖尿病が強く疑われる成人男女が約950万人に上り、過去最多になったことがあきらかになりました。「糖尿病予備群」は5年前の調査時から220万人減の1,100万人で、はじめての減少となりましが、二つをあわせれば2050万人となり、国民の5人に1人がなんらかのかたちで糖尿病の対策を必要としています。

治療を受けていない該当者

糖尿病の受診率は上昇傾向にありますが、それでもまだ「強く疑われる」けれど治療を受けていない人も少なくありません。特に問題なのは、働き盛りであり、かつ発症しやすい40歳から49歳の年代で、男性の48.6%、女性の52.2%が一度も糖尿病の治療を受けたことがないという統計が出ています。

透析患者4割が糖尿病腎症

糖尿病は、その合併症が大変恐ろしい病気です。なかでも腎臓疾患は日常的な治療の負荷も高く、進行すれば命にかかわる重大な問題となるにもかかわらず、合併症として発症する糖尿病患者が少なくありません。

日本透析医学会が実施する調査「わが国の慢性透析療法の現況」によると、国内の透析人口30万人あまり(2012年末現在)のうち、糖尿病腎症を原因とする患者がで44.1%、透析患者の4割以上は糖尿病を原因としています。糖尿病に対する意識は高まってきてはいますが、今後も継続的な啓蒙が必要です。



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