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秋の食中毒 -日常での意外な危険-(1)

本格的な秋のシーズンになりました。「食欲の秋」という言葉もあるように、実りの秋は旬を迎える食べ物も多く楽しみな時期ですが、必然的に食べ物による健康被害、食中毒への注意も怠らないようにしなければなりません。

暑い時期に食べ物が傷むことで起きる食中毒はもとより、この時期は毒性の成分を持つ食べ物を摂取する機会が増えます。今回は、毒のある食べ物についてその理由を知り、その代表例を確認したいと思います。

■毒がある理由

そもそも、なぜ毒を含む食べ物があるのでしょう。これは「食べ物」という言葉を「動植物」と置き換えればわかりやすくなります。

動物の毒

まずフグや魚介類、昆虫なども含めた動物の毒は単純で、ほとんどの場合「食べられないため」か「食べるため」の毒です。捕食される側は皮膚表面などの広範囲に毒持って口に入れられることを防いでいますし、捕食する側は特定の器官に溜めて針をつけるなど、攻撃の武器に使います。このためこれらの毒は認識されやすく、食べ物として扱われる場合は毒も前提とした処理をされるので、原因のわからない事故となることは少ないのです。

植物の毒

これに対して植物の毒は少し複雑で、私達が日常的には実感しづらい使い方をしています。これが、野菜や果物のほうが気付かずに摂取して中毒を起こすことが多い理由ともいえるでしょう。

野菜や果物には、若い実や種、葉の部分には毒を持つけれど、熟し終えた実だけは平気というものが多くありますが、これは生存と繁殖のために、非常に理にかなった毒の使い方です。

まず、実が若いうちは、完全に食べられてしまわないように毒をもちます。次に内部で種子が完成すると実の部分が熟して毒を失い、動物が食べて移動と排泄による種まきに貢献します。 種はもともと消化されずに守られますが、撒かれたところで中身を食べられて繁殖を果たせなくなるのを避けるために、中身に毒を持つ場合があると考えられます。

また、少量なら問題ないけれど大量に食べると中毒を起こすというのも、ひとつの個体に一度にたくさん食べられて、種子拡散の効率が下がるのを避けるためであり、葉に毒を持つのは、すべて食べられて光合成ができなくなるのを避けるためと考えられます。

動植物がすべて生存と繁殖に毒を利用しているわけではありませんが、私達が食物としているもののなかには、この手法を取っているものもある、ということなのです。

こういったことを前提とすれば、次に挙げるあまりポピュラーではないけれど注意すべき食べ物も、覚えやすくなるでしょう。

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