ドクターズガイド

日常のなにげない習慣や
      行動が目にダメージを~

人間は情報の80%を視覚から得ているといわれ、目は日常生活を送るうえで非常に大切な役割を持っています。しかし、このところ日常のなにげない習慣や行動によって、かけがえのない目が大きなダメージを受ける例が増えています。

■目が酸素不足に

ここ数年目立って増えてきたのが、カラーコンタクトレンズ(カラコン)による目のトラブルです。多くは眼科医の処方を受けずに手軽にインターネットなどでカラコンを購入し、不適切な使い方をしたことが原因です。レンズに着色したカラコンには酸素透過性の低いものがあり、装着していると目の角膜に酸素が十分に供給されません。また、カラコンの主流はソフトレンズです。柔らかいので目に合っていなくてもつけられますが、合わないものを使い続けると角膜が酸素不足になります。適切な手入れをしないと、衛生状態が悪くなって感染症の引き金になるおそれもあります。

■失明することも…

よく見られる症状は、黒目の表面に傷がつく「点状表層角膜症」、結膜が炎症を起こす「アレルギー性結膜炎」、黒目の周囲が赤くなる「毛様充血」、角膜がただれる「角膜潰瘍」などです。なかには、角膜の防衛機能が低下して視力を失う人もいます。日本コンタクトレンズ学会の調査によると、カラコンによる目の障害で眼科を受診するのは、ほとんどが10~20代の若い女性で、うち80%は購入する際に眼科を受診していません。また、消毒やこすり洗いといった正しいケアをしていなかった人も36%に上りました。

■購入時は必ず受診を

度が入っていないカラコンは、以前は雑貨品扱いでしたが、平成21年から高度管理医療機器として薬事法での規制が始まり、23年2月以降は承認された製品のみが販売されるようになりました。もっとも、インターネット通販を利用すると、国内では未承認のカラコンも個人輸入で簡単に買えるのが現状です。トラブルを予防するためには、購入時には必ず眼科医の診察を受け3~6カ月に一度は定期健診を受けましょう。また、医師の指示に従って、正しく使用することが肝心です。何日も装着し続けたり装着したまま眠ってしまったり、水道水で洗ったりするのは禁物です。

【主な注意点のまとめ】

・カラコンは、レンズに着色するため、酸素透過性が低くなる場合があり、装用時間を守る。
・貸し借りは禁止(衛生的にも、安全面でも不可)
・使用中は眼科医による定期健診を受ける(自覚症状がなくてもトラブルが発生している場合もある)
・付属の説明書などをよく読んでから使用する。
・花粉症など眼にアレルギーがある人は使用しない。
・専用のケア用品を使って洗浄し、消毒を適切に行う。
・傷つけないよう注意深く取り扱う。
・変形、変色、破損したものは使用しない。
・カラコンを付けたまま夜間の車運転などはやめる。

■レンズの選び方

比較的安全なレンズは、色素をレンズで挟んだ(サンド)構造になっているもの、色素が目に直接触れないタイプなのでお勧めだそうです。レンズの内面や外面に着色している製品は、こすると色落ちするものや内面に色が印刷されているものなど、色素が角膜に直接あたりこすってしまう可能性があります。また、酸素透過性の低い素材も多く、角膜が酸素不足になり目のトラブルにつながる可能性も指摘されています。このようにレンズ自体に問題があるものも沢山あります。色や価格で選ばないで、素材や構造もチェックしましょう。

■まばたきが減少

また、最近はドライアイに悩む人も増えています。涙の量が減ったり涙の成分が変化したりして目が乾く症状で、目の疲れやかすみ、痛みといった目の不快な症状の60%はドライアイが原因といわれています。涙の量は加齢とともに少しずつ減ってきますが、部屋の空気が乾燥したりまばたきの回数が減ったりすると、ドライアイになりやすいことがわかっています。特に注意したいのがパソコンやスマホです。私たちは通常1分間に20回程度のまばたきをしますが、ディスプレイを凝視していると6~7回程度にまで減少します。予防するためには、IT機器の長時間使用を避け、使用中はこまめに休憩を取って目を休めることです。意識的にまばたきをするのも効果的です。また、エアコンなどで部屋の空気が乾燥しないように気をつけ、必要な場合は加湿器を使って湿度を50%程度に保つようにしましょう。ストレスはドライアイを悪化させるので、自分なりの解消法を見つけてためこまないようにすることも大切です。

■目薬は1滴で十分

目が乾くからといって頻繁に目薬を差す人がいますが、目の乾きを感じたときには涙に近い成分の目薬を一滴さすだけで十分なのです。むやみに目薬を差すと逆効果になることもありますので注意しましょう。とりわけ、防腐剤が入った市販の目薬は症状の悪化を招くおそれがあるので、使い過ぎないようにしてください。洗眼液で目を洗うのもほどほどにしましょう。涙や目の表面を保護する成分が洗い流されてしまい、トラブルの原因になることがあるからです。また、女性の場合は、まつげのすぐ内側にあり、目にうるおいを与える油分が分泌されるマイボーム腺を、アイラインなどで塞いでしまわないようにしましょう。

一生つきあう大切な眼 “後悔先に立たず” ということわざがありますが、後で後悔しても取り返しがつきません。きちんとしたケアをしましょう。

(2015.04.07.)




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