ドクターズガイド

熱中症対策 多すぎる情報と思い込みに注意を(1)

例年のごとく、熱中症予防を思い出すシーズンがやってきました。梅雨の終わりの期間は、湿度の高い、汗が蒸発しにくい状態のまま温度が急上昇する、まさに熱中症リスクの高い気候です。
近年は平均気温の上昇とともに熱中症への関心はことさら高くなり、対策関連の情報もあふれています。満を持して準備を整えている方も多いでしょう。

しかし、社会的な環境整備や情報が増えたぶん、検討すべき対策も複雑になりました。今回は、熱中症の基本的な知識は過去記事を読んでいただくことにして、(熱中症 危険な気候)自分にとって正しい対策を選択しているかを考え直そうと思います。

■ニーズと対策の複雑化

熱中症がここまで問題となっていなかったころは、「暑いときには汗をかく。そういうときは無理せず涼しいところでゆっくりする」という考え方で間に合っていました。セミの声が聞こえる縁側でうちわを使うといった映像は、年代を問わず、誰の記憶にもなんらかのかたちで残っています。

しかし、日常的に出入りする場所の温度調整は進歩し、戸外の気温変動は厳しくなり、対策のための製品が産業のひとつともなったいま、体に起きること、その対策、それらに関する情報は限りなく増えてきました。私たちは「正しく選ぶ」ということを考えなければなりません。

冷やしすぎ

「冷やすための製品」が増え、手軽に利用できるようになった反面、それらによる弊害も出ています。冷感スプレー、首を冷やすスカーフなど、部分的に強く冷やす製品の使い過ぎは、局部的な血行不良を起こし、肩こりや頭痛などの症状を感じる例があります。強く冷やすと感覚が麻痺して使い過ぎに気付かないことがありますので、マメに肌に手を当てて確認しましょう。

またエアコンの除湿機能は快適ですが、汗をどんどん蒸発させて体を冷やします。睡眠中にも使っている場合、冷やしすぎや脱水のリスクを高めることになりますので、弱めの設定での使用がよいでしょう。

温めすぎ

今年の夏は空前の「温活」ブーム。職場の空調で冷え性になってしまう女性が増えたということで、真夏の冷え性対策が注目されています。この場合、あまりないことではありますが「温めすぎ」てないかも気にする必要があるでしょう。本来備わっている、自力で体温調節する力を甘やかし続けるのも良いことではありません。温活するならば、「非常に温かい」と常に自覚し続けるほどではなく、なんとも気付かないけれど、さわってみると通常の体温はきちんと感じるという程度に調節できると理想的です。

UV対策の服装

熱中症のシーズンは紫外線対策のシーズンでもあり、日焼けを避けたい女性はとくに服装を工夫していて、ストールや帽子、長袖の衣服で全身を覆っている方も見かけます。こういった場合は、素材は化繊の吸汗速乾素材のほうが適しています。自然素材ということで天然コットンを好む方もいると思いますが、織り方によっては汗はよく吸っても蒸発させる効率が悪く、湿気のある状態がこもってしまうことがあります。これは、熱中症のリスクを高める典型的な状態です。麻であればコットンより蒸発の効率がよいので、自然素材にこだわるなら麻を選ぶという手もあります。

ストール、手袋など、すぐ外せるものは「暑ければ」取りましょう。当たり前のようですが、日焼けを嫌うあまりに頑張ってしまっている方は意外と多いものです。

隠れ脱水

脱水して汗が足りなくなると、熱中症の危険が高まります。これは睡眠中でも同じです。年齢が高くなってくると、夜中にトイレに起きるのがイヤということで、寝る前の水分摂取を制限してしまう方がみられます。しかしコンクリートを素材とした最近の住宅は、日中の日差しを受けて溜め込んだ熱が夜中にこもり、おもいのほか温度があがりますので、これも危険です。睡眠中はコップ1杯から2杯の汗をかき、これで体温をさげて熟睡するともいわれます。せめてコップ1杯程度は寝る前に水分を摂りましょう。

同じトイレを避けたいという理由で、運転中に起こしてしまう脱水も要注意です。こちらについては、車内に飲料を置いて少しずつマメに口にするようにすれば、そういった心配も少なくなります。

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