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暑い季節の脳梗塞・心筋梗塞(1)-血管を守れているか

暑い季節の脱水の問題は、ずいぶん一般的に認識されるようになりました。そして脱水が心筋梗塞や脳梗塞につながるという話は、こちらの記事(心筋梗塞・脳梗塞 9月からの水分補給)でご紹介していますので、おさらいの意味でもぜひご覧ください。 今回は、昨年にもまして、8月後半になっても尋常と思えないほどの猛暑が続くなか、その対策自体が心臓や脳の梗塞の引き金になってしまうかもしれないということについて、知っておこうと思います。

■梗塞とは血管が詰まること

「梗塞」とは簡単にいえば、なんらかによって血管がつまり、そこから先の臓器に酸素も栄養も行かなくなって細胞が壊死し、場合によっては死に直結する状態です。血管をつまらせているものは、血の塊であれ血管壁から落ちたかさぶたであれ、「血栓」と呼ぶことになります。起こっていることはシンプルですが、そこに至る要因は様々でしかも一般的なことが多く、多かれ少なかれ、すべての人がリスクを持っているといえます。

血圧と梗塞

「血圧」は梗塞の発症に大変深く関わっています。血圧とは血管に内側からかかる圧力ですが、単純にいえば、いわば血液が流れる勢いや押し流す力の強さともいえます。そう考えると、梗塞との関係は簡単です。

 
 血圧が高い→押し流す力が強い→血栓を押し流す可能性が高い
梗塞が起きやすい  
 

また血圧が高いだけでなく、急に変動することでも血栓となるものが流れやすくなります。

 

血栓となるもの

血圧が高くても、血栓となるものがなければ梗塞の状態に至ることはほとんどありません。血栓は、多すぎるコレステロールによって傷ついた血管内壁にできたかさぶた・血餅であったり、血液の塊であったりします。

血餅はすぐにできて剥がれ落ちるものではありませんが、血の塊は血液がどろどろした状態であれば、それだけでできやすくなります。暑い季節は汗をかくことで、血中の水分が少なくなるため、こういった状態になりやすいわけです。

■暑い気候ならではのリスク

脱水

前述のように、体の水分不足すなわち脱水によっても脳梗塞・心筋梗塞は起こりやすくなります。そして、このような脱水による梗塞は、血栓も大きくなって重症化しやすいと言われます。

あちこちで起こる温度差

暑さの程度がひどくなっている近年、一日の生活のなかでも大きな温度差にさらされるようになりました。これは梗塞リスクを高くする要因でもあります。

最近では強すぎる冷房に配慮することが一般的にはなっていますが、ひどい猛暑の日には、どうしても冷房をかけた室内と戸外の温度差は大きくなります。暑い戸外では、体は熱の放射を促すために血管を広げますが、その結果血圧は低下します。その状態で涼しい室内に入ると、今度は血管が急収縮して血圧があがります。このとき、前述した「血圧の急変動」が起こって梗塞のリスクが高くなるということになります。

熱帯夜にエアコンをつけたまま寝たほうがよい場合もあるでしょう。しかしこれもまた難しいもので、涼しすぎればやはり血管収縮で本来寝ているあいだは低めのはずの血圧をあげてしまいます。高い血圧はそれだけで血栓を押し流しやすいことです。
またエアコンを緩くつけて寝るのは上手なやり方ではありますが、緩すぎれば汗を多くかきすぎて脱水を起こします。脱水で血液がどろどろになることもまた、梗塞を起こす引き金のひとつです。

夏場の脳梗塞・心筋梗塞の多くが、睡眠中と起床後2時間以内の発症であるのは、こうした流れが多いと考えられます。

高齢者の感覚

高齢になると、「暑い」「寒い」といった感覚を感じにくくなってきます。「風が通るからけっこう涼しい」「それほど暑いと思わない」とにこやかに語る高齢者がいらっしゃいますが、これはやせ我慢しているわけではなく、多くは本当にそう感じています。しかし体は通常どおり暑さで脱水を起こしますし、寒さで免疫が低下もします。あまりに不適切と思われる状態で過ごしていたら、周りの人は声をかけてあげましょう。またご自身でも、感じる気温だけでなく温度計を使って環境を適切な温度に調整する習慣になさると安全でしょう。

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