ドクターズガイド

加湿器病 風邪の予防が病気のもとに (1)

毎年恒例ともいえる、風邪やインフルエンザ予防を最大限に強化すべき時期となりました。その有力な対策として「加湿器」の利用はすでに一般化しています。しかし一方で、その加湿器が原因で結局は風邪やインフルエンザ同様の辛い体調不良を起こしてしまう「加湿器病」も増えました。

加湿器病についてもすでに認知は高まってきていますが、決して忘れることのないよう、今年も確認しておきましょう。

■改めて「加湿器病」の性質を

専門的な病名は「過敏性肺臓炎」、加湿器病は通称です。「過敏性」の名のイメージどおり「アレルギーで起こる肺の炎症性疾患」です。

インフルエンザのようなウイルスは増殖に必要な核を持たないので、積極的に生き物の細胞に入り込んでその細胞と核を利用し、増殖しようとします。しかし加湿器病の原因となる通常のカビや酵母といった菌類は、すでにその環境で増殖する核を持った細胞として成立していますから、多くの場合積極的に人体に入るというよりは、まわりの環境にあるから呼吸とともに入ってくるというイメージに近いでしょう。それを異物と認識した人体が過剰に攻撃するアレルギー反応を起こすことで自分にダメージを与えています。

外部刺激が原因であることはどちらも同じですが、加湿器病はウイルスの感染よりも確実に、予防をコントロールしやすいものといえます。

■症状と見分け方

アレルギーですので人によっての特徴はありますが、基本的には咳、発熱、全身の倦怠感といった、風邪に似た症状です。しかしまれに、原因に気づかず重症化して、食べ物などのアレルギーと同じく気管がはれ上がって狭窄し、呼吸困難を起こしてしまうこともあります。

加湿器を常用していて、1週間以上変化なく症状が続く、または旅行に出ると起こらないけれど、家に帰ると起きるといったことがあれば、加湿器病も疑うべきでしょう。

確定には、血液検査、肺活量を調べる肺機能検査、胸部のレントゲン検査などが行われます。

■治療

原因となるカビや酵母菌の除去が第一です。

  • 加湿器の水タンクは毎日きれいに洗う
  • タンクの水に専用の除菌剤を加える
  • 温風のあたるエアコン下などに加湿器を置かない(周辺にカビ発生の原因になる)

前述のように重症化して危険な場合は過剰な反応を抑える薬、たとえば免疫抑制作用をもつ副腎皮質ステロイドでの対応となります。