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冬季うつ 冬のSAD(季節性情動障害)(1)

12月ともなると、朝起きる時間にはまだ薄暗く、夕方は仕事も終わらないうちに外は真っ暗です。外気は寒くなり、自然と行動も鈍くなります。 冬なのだから当然といえば当然ですが、この物理的な条件は人間の精神状態に影響を及ぼし、うつ症状を起こしやすくなることが明らかになってきました。こういったうつ病をSAD(季節性情動障害)といいます。

今回は、今感じている憂鬱な気分に、はっきりした理由があるかもしれないことを考えます。

■SAD(季節性情動障害)とは

寒くて暗い時間の多い冬に、晴れ晴れした気分になれないのはさほど不思議ではありませんが、過度な疲労を感じたり、睡眠に支障をきたしたり、とことん落ち込んだ気分になってしまったり、いわゆるうつ病の症状といえるほどになると、これはSAD(季節性情動障害)という病気の範疇に入る可能性があります。

このうち冬に起きるものが、1980年代にアメリカの精神科医ローゼンタール博士によって「ウインターブルー(冬季うつ)」と名付けられました。

通常のうつ病が精神的なストレスを原因とすることが多いのに対し、SADの原因となるのは主に季節の変化による日照時間の減少が、ホルモン分泌のバランスを悪くすることです。

■症状

一般のうつ病と同じく疲労感や気分の落ち込みが主要な症状ですが、SADには10時間以上連続して眠ってしまう「過眠」と、甘いものが欲しくなって結果的に体重が増加する「過食」という、通常のうつ病とは逆の症状もあります。また春になれば改善してしまうため、病気と認識されずにいることも少なくありません。

一度発症すると多くの患者が毎年繰り返しますが、「冬は憂鬱だから嫌い」ということで決着をつけてしまっているわけです。

■明快な原因

SADの原因は脳内の各種ホルモンの分泌バランスが狂うことであり、その狂いは冬になって浴びる光の量が減ることで発生します。通常のうつ病のように微妙で複雑な要因ではなく、いたって生理的な、はっきりとわかりやすい条件設定なので、その対処も明確に把握できるということになります。

光の問題

人間は80%の情報を目から得て生きる動物ですから、情報をもたらす光には大きく反応します。

まず、網膜に2500ルクス以上の光が当たると、脳内で満足感や精神安定をもたらすセロトニン分泌が始まります。従って、日照が少なくなればセロトニンの分泌量は減少して満足感や精神安定がおぼつかなくなり、気分は落ち込みがちになります。
セロトニンは舌に甘みを感じることでも分泌を促されますから、少ないセロトニンを補おうと脳が甘いものを要求するようになり、甘いものや炭水化物の過食の引き金になると考えられます。

一方睡眠を促すメラトニンの分泌は、網膜に光を受けた15時間後から始まるというサイクルに則っており、その量は受けた光の量と反比例の関係にあります。従ってこちらは日照が減ればその分泌は増え、これが「過眠」につながります。

日照が少ない地域に集中する患者

SADの最終的な原因は日照時間ですから、患者は北欧や、緯度の高い地域に集中し、日本では冬が厳しくカーテンを開けなかったり外出を控えたりすることもある日本海側での発症率が高くなります。

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