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カビで起こる病気-6月の対策(1)

梅雨が目前となり、カビを無視できない季節です。見た目にも実にぞっとするカビですが、場合によっては人の健康に悪さまで働きます。毎年恒例でぞっとするならば、対策を思い出すことも恒例にして、健康なままで夏を迎えましょう。

今回は、健康を害するカビについて、思い出しておきたいと思います。

■カビは7万種

カビは、酵母、キノコと並ぶ「真菌」の仲間で、菌糸という糸状の体のみを持つものが「カビ」として分類され、これまでに7万を越える種類が確認されています。現在も毎年60種以上発見され続けているといわれ、食品の発酵を促進させたり、抗生物質の原料に使われたりする有用なものもあるいっぽう、人の命を奪うほどの害を及ぼす種類もあり、これが問題です。

真菌であるカビは、体を持ち、栄養を摂取して繁殖する「生き物」ですから、ほかの多くの生き物同様、生きるために水分と温度、栄養となる物質を必要とします。カビの場合、栄養については、好みの物質にしがみついていればいいのですが、水分と温度は環境まかせなところも多く、これらが豊かになる梅雨はチャンスの時期ですので、活動・繁殖が活発になる、ということです。

カビの食事方法がいろんな意味で無視できず

カビは生き物とはいえ口がなく、体も小さすぎて栄養を蓄えておくことができません。繁殖に必要な栄養をとるためには、体から酵素を分泌して周辺の物質を分解し取り込めるように、細胞膜の表面からある種のタンパク質を介して吸収させます。人間でいえば、皮膚から染みこませるようなイメージでしょう。

このときに分泌される酵素やタンパク質が、食べ物を美味しくしたり、壁を劣化させたり、体内でアレルギーを引き落としたりという作用を起こすことになります。

■カビが起こす病気

これだけ種類の多いカビですから、起きる害も広範囲にわたります。発症する病気は、基本的には感染症、アレルギー疾患、中毒の3つに分けられます。

感染症の例

表在性真菌症
  • 白癬菌
  • カンジダ症
  • 皮膚マラセチア症

皮膚、毛髪、爪などの表層に感染し、最も多いのは水虫(足白癬)です。カンジダやマラセチアは、通常から人の皮膚に存在する常在菌ですが、体が弱って免疫が低下したり、薬として抗生物質を飲むことで、たくさんいる常在菌の構成内容が変わったりすると、発症することがあります。

深部皮膚真菌症
  • スポトリコーシス
  • クロモミコーシス(黒色真菌症)

皮膚の傷に付着した真菌が、皮下組織やそのもっと深部まで侵入して発症します。 手や指などにしこりや潰瘍が現れます。

深在性真菌症
  • アスペルギルス症:気管支、肺炎
  • カンジダ症:口内の痛みのある斑点、口の端のひび割れ、舌の痛み
  • クリプトコックス症:肺炎、髄膜炎
  • 接合菌症:進行性の壊死(顔面に現れることが多い)

体内の臓器や組織が侵される真菌症で、命の危険がある場合もあります。

アレルギー疾患の例

  • トリコスポロン:夏型過敏性肺炎
  • アルテルナリア:気管支喘息、アレルギー性鼻炎

呼吸で体内に入り込んだカビの胞子がアレルゲンとなり、気管支ぜんそく、鼻炎、肺炎など呼吸器の症状が多く見られます。

カビ中毒の例

カビが作る毒性物質は、一般的にマイコトキシンと呼ばれ、食品に付着したものなどを口から摂取して、中毒症状が起きます。十数種類ほどが問題視されますが、細菌性の食中毒ほど強い症状はありません。しかしながら慢性疾患から、がん、肝臓・腎臓障害へと進行する可能性もあり、むしろやっかいな中毒といえます。

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