ドクターズガイド

武井実根雄 医師 (たけいみねお)

武井実根雄 (たけいみねお) 医師

原三信病院(福岡県)
泌尿器科
部長

専門

下部尿路機能障害、女性泌尿器科(尿失禁・骨盤臓器脱・間質性膀胱炎)、性機能障害

医師の紹介

30年以上にわたって尿失禁、骨盤臓器脱、間質性膀胱炎などの女性泌尿器疾患に取り組んできた、泌尿器科のスペシャリスト。尿失禁に関しては日本に導入されて間もなかった頃からステイミー手術に取り組んだ実績を持っている。同時に関連疾患である骨盤臓器脱の手術も必要にかられて習得し、その後も日進月歩の新治療にも積極的にかかわってきた。また、尿失禁以外の頻尿や排尿困難などの下部尿路機能障害にも詳しい。女性泌尿器疾患にとどまらず、性機能障害(ED)治療にも精通している。

診療内容

夜中に何度もトイレに起きてしまう「過活動膀胱」、我慢できずに尿が漏れてしまう「切迫性尿失禁」、くしゃみや咳で尿が漏れる「腹圧性尿失禁」…中高年女性に多い排尿のトラブルは、いずれも命に別状はないが、患者にとっては快適な日常生活を阻害する要因となるものが多い。トイレが気になって旅行や外出がおっくうになったり、夜間の頻尿から不眠になったりと、大きなストレスにつながる可能性もある。特に日本人の特性上「排尿トラブル=恥ずかしい」と感じるあまり、症状があっても言い出す勇気がなかなか持てない人が多い。それが治療開始を遅らせる原因となっている。しかし、別の症状や病気と混同してしまうこともあるため、早期に専門医を受診し適切な治療を開始することは欠かせない。女性泌尿器疾患のスペシャリストという立場から、武井医師は次のように語る。「最近は副作用の少ない薬を処方できるようになってきました。適切な治療を受ければ、症状が軽くなる確率が高い。専門医の診断を早めに受けることが重要です」
同院では、泌尿器疾患をもつ女性患者が診療に訪れやすい雰囲気をつくるため、毎週火曜日の午後は婦人科外来の一角に「女性泌尿器科外来」を設置している。ここでは、女性専用の待合室を利用することもでき、婦人科医と連携して診療するため、女性患者にはうれしい対応である。武井医師はこの女性泌尿器外来を担当し、尿失禁、骨盤臓器脱、間質性膀胱炎などの治療にあたっている。武井医師は、尿失禁に関しては1985年から、日本に導入されてまだ間もなかったステイミー手術に取り組んだ実績を持ち、現在に至るまでより良い術式の導入に努めてきた。泌尿器疾患で手術を受ける場合、患者にとっては治療が自分に合うかどうか、そして術後の排尿状態も気になるところだが「これまで尿失禁以外の頻尿や排尿困難などの下部尿路機能障害にも並行して取り組んできたので、尿失禁や骨盤臓器脱の下部尿路症状を術前から十分精査することで、患者の病態に即した治療が選択でき、術後の排尿状態を予測した対応も可能です」と武井医師は語る。
一方、受診を躊躇するのは女性ばかりでなく男性も同様であろう。武井医師は性機能障害(ED)治療のベテランでもあるが、自覚症状のある男性の中で医師に相談したことのある人はわずか5%にも満たず、多くの人が未治療のままであるという。相談しない理由としてはやはり「恥ずかしい」が最も多く、EDは医師に対しても打ち明けにくい病気だと言える。武井医師は、高リスクを抱えると思われる患者には「意欲は落ちていませんか」「性欲は落ちていませんか」と尋ねる機会を設けたり、答えやすい雰囲気づくりのために看護師に席を外してもらう、ED治療のパンフレットを待合室ではなくトイレなどの人目がないところに置いて手に取りやすいようにするなど、様々な配慮を行っているという。
武井医師が在籍する同院は長い歴史と実績を持ち、明治以降、泌尿器科を中心に診療した時代を経て、現在の総合病院に至っている。しかし誇るべきは歴史だけではない。新しい治療技術の導入についても意欲的であり、ESWL(衝撃波結石破砕術)を九州で初めて導入したのが同院である。泌尿器科では、副腎、腎臓、尿路(尿管、膀胱、尿道)、前立腺、睾丸などの腫瘍、感染症、結石、先天性異常や機能障害などの診療を行っている。2003年からはHIFU(最新前立腺がん治療)を導入、さらに2006年には近隣に原三信泌尿器クリニックを開設し、泌尿器外来の機能がさらに強固なものとなった。武井医師は一般の泌尿器疾患のほか、性機能障害(ED)専門外来や女性泌尿器科外来も担当し、全国から患者様が受診に訪れるという。ある男性は前立腺がん摘出術後の尿失禁に悩み、武井医師の元を訪れた。人工尿道括約筋手術を受けて以来、それまで頻回に交換していた尿パッドのストレスから解放され、ゆったりした気持ちで外出を楽しめるようになったと語る。なお、同術は2012年に待望の保険適用が実現し、今後希望者が増加することが予想されている。女性も男性も、症状を感じたら早期に勇気をもってまず受診し、悩みを解決することによって人生の可能性を広げてほしい―それが泌尿器科スペシャリストとして、武井医師が目指すところである。

診療を受けるには

診察は、火曜・木曜の午前・午後。火曜の午後は女性泌尿器科外来として産婦人科診察室の隣で診察を行う。同外来は完全予約制で、初診時も電話で予約が必要(直通TEL:092-291-3024)

累積症例数または患者数

尿失禁関連:1,230例(1980年代のステイミー手術に始まり、コラーゲン注入、VESICA Kit、TVT手術、手術、Advantage Fit等)
骨盤臓器脱:850例(2007年からTVM手術も導入し年間100例程度施行)
胱水圧拡張術:1,200例(2000年以降は年間100例程度)
人工尿道括約筋手術:40例

年間症例数

女性泌尿器科疾患の手術件数は尿失禁、骨盤臓器脱、水圧拡張術合計で年間300例以上。

医師のプロフィール

経歴
1981年3月 徳島大学医学部 卒業
1981年4月 九州大学医学部泌尿器科学教室入局
1983年4月 九州厚生年金病院泌尿器科
1984年4月 国立別府病院泌尿器科
1985年4月 九州大学医学部泌尿器科
1987年8月 九州大学医学部泌尿器科助手
1989年8月 浜の町病院泌尿器科
1991年4月 原三信病院
1999年1月 泌尿器科部長
所属学会・認定・資格

日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本性機能学会理事専門医・指導医、日本排尿機能学会理事、日本女性骨盤底医学会理事、日本間質性膀胱炎研究会幹事、TVM研究会幹事、国際尿禁制学会(ICS)会員、国際性機能学会(ISSM)会員、第3回日本神経因性膀胱学会(現日本排尿機能学会)賞受賞

予防に心がけたいこと

尿失禁・骨盤臓器脱に関しては、肥満の予防としてメタボリックシンドローム対策と骨盤底筋体操が有用である。間質性膀胱炎では一般的な予防方法はないが、頻尿は軽い膀胱不快感などの刺激症状を多少なりとも感じるようであれば、まずはコショウ、唐辛子、わさびなどの刺激性食物を控え、水分摂取に努めて尿を希釈し、排尿記録をつけながら可能な範囲で尿をためる練習をすると良い。

費用のめやす

手術はいずれも健康保険が適用されるため、自己負担額は数万円程度。