常深祐一郎医師は、東京女子医科大学病院皮膚科では、乾癬外来を担当。あわせて水虫などの皮膚真菌症やアトピー性皮膚炎も診察している。日本皮膚科学会認定専門医・日本医真菌学会認定専門医の資格を有する。いずれの疾患においても、的確な診断のもと、皮膚疾患の基本となる外用薬を十分に活用し、さらに内服薬や注射薬など効果の高い治療法も積極的に取り入れている。
水虫、白癬菌というカビ(真菌)の一種が、皮膚の角質層に感染して起こる病気。足にできる水虫を足白癬、爪の中に入り込んだものを爪白癬という。感染すると、足の裏に小さな水ぶくれができたり、足の指の間の皮がふやけたりする。白癬菌はカビの一種なので、お風呂のカビと同様、気温と湿度が上がると繁殖スピードが速くなる。実は、水虫に感染するのは夏だけでなく一年中起こるのだが、冬は感染しても菌の活動性が低く、症状が現れない。これを治ったと勘違いしている人も多い。実は、菌を一年中ずっと持っていて、梅雨のころから症状が出て、秋に治ったと思ったら、また翌年の夏に同じ菌が活動をしだすといったサイクルを延々と繰り返しているのである。
診断は、患部の皮膚を採取し、顕微鏡で白癬菌を探す。医療機関で検査を受ける前に抗真菌薬を塗ってしまうと、菌の増殖が抑えられ顕微鏡で菌が見つかりにくくなるため、薬を塗る前に、まずは受診して検査を受けることをおすすめする。
水虫の治療にはぬり薬を用いる。抗真菌薬の塗り薬は、菌を殺す薬ではなく、菌の増殖を止める薬。菌がいる古い角質が新しい細胞に押し出され、垢になって落ちていく、この期間、菌の増殖を止めれば菌はすべて押し出される。しかし、角質が落ちるまでに1~2カ月はかかるので、完全に症状が消えてからも1~2カ月は塗り続けよう。良くなったからといって、症状が残っているうちに中止すると、菌の増殖が再開し元に戻ってしまう。薬は中途半端にやめず1~2カ月塗りきることが大切である。
症状がある場所は菌も多いのだが、他の場所にも菌がいないわけではないので塗り残せば生き残った菌が増殖しだす。指の間、足の裏、土踏まず、かかとまで、くまなく塗るとよい。毎年繰り返す人や、どこまで塗ればいいか迷う人は、足首の下全体に塗るとよい。1日1回、塗り残しのないよう注意しよう。
このように、専門医にしっかりと指導を受ければ、これまでくすぶっていた水虫も、速やかによくなる。
爪水虫には、効果的な内服薬があるので、病院を受診して処方してもらおう。爪水虫は白癬菌の巣なので、放置すると、何度も水虫になってしまう。水虫のある人は、爪に異常がないかもしっかり観察して頂きたい。
自己判断で抗真菌薬を水虫ではない皮膚に塗ると、悪化することもあるので要注意である。病院を受診し、皮膚科専門医による正しい診断と指導を受けることをお勧めする。
今や、効果的な薬剤がそろい、水虫も爪水虫も完治が可能な病気である。自己治療で悩んでいる人は是非専門医を受診して完治させよう。
常深医師の初診外来は、月曜の午前、土曜月1回(どの週かは月毎に異なる)、再診は火曜の午前、専門外来は月曜の午後。専門外来は、一度午前中の一般外来を受診し、予約を取ってからとなる。紹介状持参が望ましいが、紹介状無しの受診も可能。
日本皮膚科学会(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医)、日本研究皮膚科学会(評議委員)、日本医真菌学会(日本医真菌学会認定医真菌専門医、Medical Mycology Journal編集委員、代議員)、日本乾癬学会、日本臨床皮膚科医会(日本臨床皮膚科医会雑誌編集委員)、日本小児皮膚科学会(運営委員)、日本香粧品学会(評議員、大会運営委員会副委員長)、皮膚かたち研究学会