ドクターズガイド

宮坂信之 医師 (みやさかのぶゆき)

宮坂信之 (みやさかのぶゆき) 医師

東京医科歯科大学医学部附属病院(東京都)
名誉教授

専門

膠原病・リウマチ性疾患

医師の紹介

40年にわたり、膠原病とリウマチ性疾患の治療と研究に取り組んできたパイオニア。東京医科歯科大学医学部附属病院リウマチ科は、重症患者を受け入れる「最後の砦」ともいえる存在であり、最先端の治療や新薬の研究で、日本の医学界をリードしてきた。ガイドラインの作成や学会認定の専門医制度の普及にも尽力し、日本全体の膠原病・リウマチ治療のレベルアップを図っている。2012年には複数の診療科が連携して最先端の診療を行う「膠原病・リウマチ先端治療センター」をオープンさせた。

診療内容

「同院は、膠原病・リウマチの患者さんにとって”最後の砦“だと思っています」と宮坂信之医師は言う。その言葉のとおり、同院膠原病・リウマチ内科は伝統的に、ほかの病院ではどうしようもなかった重症患者を受け入れ、治療してきた。膠原病・リウマチの診断と治療、さらには最先端の新薬の研究で、つねに日本の医学界をリードしている存在なのである。
2012年4月には「膠原病・リウマチの治療は、単科ではなく、横串を刺して、トータルケアで行われなくてはなりません。いろんな科がかかわる必要があるのです」という宮坂医師のポリシーのもと膠原病・リウマチ先端治療センターを新設。膠原病・リウマチ内科を中心に、整形外科、理学療法部などが一体となって、膠原病や関節リウマチの患者に対して、先端的な治療、個々の患者のニーズに合った治療の提供を開始した。
膠原病は、本来細菌などの外敵に攻撃を仕掛ける免疫機構が、自らの体内組織を攻撃し、関節や筋肉、内臓などに症状を引き起こす自己免疫疾患の総称だ。関節リウマチはその代表格で、日本国内に約100万人の患者がいると推定されるが、それ以外にも膠原病には、全身の臓器に炎症を引き起こす全身性エリテマトーデス、筋力低下や皮膚の炎症が特徴の皮膚筋炎などさまざまな疾患がある。その多くは国の特定疾患に指定され、早期診断や治療が難しいといわれてきた。
「かつては松葉づえや車椅子が必要になる疾患の代表格でしたからね、診たがる医師も少なかったんですよ。治療し甲斐がなくて人気がありませんでした」(宮坂医師)
それでも宮坂医師は40年に渡って、膠原病・リウマチ性疾患に取り組んできたわけだが、近年、その治療風景に光明が差してきた。
「この15年間の進歩は劇的でした。これと同じだけのパラダイムシフトは、ほかの病気では起きていません」そう話す宮坂医師の表情は、心なしか輝いて見える。
「精度が高い検査の登場で早期診断が可能になったことと、新薬である生物学的製剤などができたことによって、いまや関節リウマチの半分は進行を止めるだけでなく、早期の治療開始により症状が全くなくなる完全寛解に至り、残りも大変は、寛解しないまでも社会復帰ができるようになりました」
関節リウマチ以外の膠原病についても、たとえばかつては50%の生存率と言われた全身性エリテマトーデスは、現在、薬の組み合わせによって生存率が約98%に上がったという。同分野の進歩は、まさに日進月歩なのである。「ただ、よく効くだけに、生物学的製剤には感染症を起こしやすくなると言う両刃の剣的な側面があります。必要な予防策を講じれば済むことですが、それはしっかりしたノウハウを持った専門医が不可欠です。使い方を間違うと大変なことになりますからね」
宮坂医師は、日本リウマチ学会の理事長として、学会認定の専門医制度の普及にも尽力してきた。治療の研究や新薬の研究のみならず、日本全体の膠原病・リウマチ治療のレベルアップを牽引してきたのだ。
「関節リウマチは慢性疾患であり、関節炎を有することによって日常労作が障害されていることが多い病気です。このため、医師は単なる診療者ではなく、患者に対する深い共感と思いやりを持つことが必要です。
ちなみに、私は数年前に心臓弁膜症を患い、術後に身体障害1級となりましたが、その際、患者さんに対する思いやりの重要性を痛切に感じました」
かつては「治療効果が見えなくて、診たがる医師が少なかった」膠原病・リウマチ性疾患の診療を、今日のように劇的に進歩させた原動力は「思いやり」なのかもしれない。

診療を受けるには

宮坂医師は2018年3月末で東京医科歯科大学医学部附属病院での外来診療を終了。

医師のプロフィール

経歴
1973年 東京医科歯科大学医学部卒業
1973年 東京医科歯科大学第一内科入局
1979年 カリフォルニア大学医学部留学
1981年 テキサス大学医学部留学
1986年 東京女子医科大学リウマチ痛風センター助教授
1989年 東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
1995年 東京医科歯科大学第一内科教授
2001年 東京医科歯科大学膠原病リウマチ内科教授
2008年 東京医科歯科大学副学長
2011年 東京医科歯科大学医学部附属病院長
2013年3月 定年退官 名誉教授 外来は今まで通り継続
2018年3月 東京医科歯科大学医学部附属病院での外来診療を終了
所属学会・認定・資格

日本リウマチ学会(元理事長)、日本炎症・再生医学会(元理事長)