ドクターズガイド

これまでの一覧 →

鼻づまり 慢性アレルギー性鼻炎はこうして治す

2/2

― 鼻洗浄は特別な器具が必要なのでしょうか。

薬局やインターネットなどで3000円ぐらいから購入できます。洗浄液は市販のものでもご自分で生理食塩水を作ってもどちらでもかまいません。

― アレルギー性鼻炎の場合、薬物による治療も効果的なのでしょうか

花粉症など時期が限定されているものに関しては、シーズンが始まる前に抗アレルギー薬を服用することをおすすめします。鼻づまりが始まってしまってからは、シーズン中、ステロイドの点鼻薬が有効かと思われます。

― 鼻洗浄も薬物療法も効果がみられない場合はレーザー治療が有効ですか、それとも手術ですか。

レーザー治療は、花粉症など時期が限定される季節性のアレルギー性鼻炎であれば、一年間は効果が持続します。ただ、一時的な効果しかありませんので、慢性鼻炎に対する効果は限定的です。

手術による治療は、鼻洗浄を1か月続けても改善がみられないなど、保存的治療の限界を見極めた上で手術治療の検討を行います。鼻炎に対する手術は、鼻腔の粘膜を切除したり、鼻腔の構造物を切除するなど、機能や構造の破壊と引き換えに空気の通路を広げる手術が行われてきました。このため、長い間子供に用いることができませんでしたが、最近では、内視鏡を用いた微細手術により、後遺症のないより安全な手術へと進化しています。

― どのような手術なのでしょうか。手術が行われるようになった経緯も教えてください。

多くは2つの手術を併用します。一つは、粘膜の腫れや鼻水をコントロールするために鼻腔粘膜に分布している副交感神経と知覚神経を選択的に切断する「後鼻神経切断術」、そしてもう一つは、空気が最も流れる隙間を、構造物を切除することなく広げる、われわれが「鼻腔形態矯正術」と呼んでいる手術です。神経の切断術は、1961年にイギリス人医師が考案した「ヴィヴィアン神経切断術」が行われてきましたが、この手術は神経までのアプローチが難しいこと、そして涙が出にくくなるという後遺症があるため、今では行われなくなりました。

1997年に、このヴィヴィアン神経よりも末梢にある「後鼻神経」を内視鏡下に露出させることに成功し、「後鼻神経切断術」として発表しました。国内ではアレルギー性鼻炎の新しい手術治療として定着しつつあります。しかし、200人に一人の割合で、術後2~3週に手術操作を加えていない別の場所からの遅発性鼻出血がみられたことから、3年前に、神経周囲の血管の大部分を保存したまま0.2mm程度の神経だけを切断できる新しい手術を開発しました。この「第2世代手術」で遅発性鼻出血はゼロとなり、小児にも適応できる手術となりました。
 全身麻酔で行う手術ですが、体への負担も少なくなり、日帰り手術として行っています。

― アレルギー性疾患が手術で完治するものなのでしょうか。再発しませんか。

******

「後鼻神経切断術」は、現時点で難治性の慢性アレルギー性鼻炎にはたいへん有効な治療法ではありますが、アレルギー体質がなくなるわけではありません。その原因物質となる抗原(花粉、ダニなど)が鼻に侵入する度に症状があらわれることもあります。では、なぜ完治できない疾患に対して手術を用いるのかというと、まずは難治性の患者さんが鼻呼吸を正常な状態にすることを目的としています。再発した場合も鼻洗浄や薬物料など保存的治療との組み合わせで症状を改善し、快適な状態を維持することが可能になるからです。(2015.09.09)

2/2

← 前ページへ

【黄川田徹医師プロフィール】

鼻のクリニック東京 院長

1948年岩手県陸前高田市生まれ。1974年岩手県立医科大学卒業。内視鏡下鼻科手術治療における第一人者であり、内視鏡技術をいち早く鼻の手術治療に取り入れ、周辺機器の開発や新しい術式の開発に取り組んできた。1997年、鼻腔の後端で内視鏡下に後鼻神経を露出させるということを初めて成功させ、慢性鼻炎に対する新しい手術治療として「内視鏡下後鼻神経切断術」を確立した。現在、東京と浜松で鼻科専門のクリニックを開設している。

(詳しい情報はこちら→)



慢性副鼻腔炎の関連情報一覧 ⇒