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地域リハビリテーションの普及をめざす

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脳卒中は、脳の血管の異常によって起こる障害を指し、細かくは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などが含まれる。命にかかわる病気だが診断と治療の方法はほぼ確立され、今後は、予後のリハビリテーションをいかに充実させていくかという課題が残っている。「攻めのリハビリ」を推奨する、世田谷記念病院副院長 酒向正春医師は、都市整備まで含めたリハビリ環境の向上に尽力している。

-脳卒中とはどのような病気でしょうか。

脳卒中は脳血管の障害の一つです。無症候性の脳血管障害、脳血管性痴呆や高血圧脳症とは別に、脳の局所性の機能障害が一過性に起こるか、もしくは、症状が続くものを総称して脳卒中と言います。脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分類されます。脳梗塞というのは、脳の血管が詰まって脳が死んでいく状態のこと、脳出血というのは、脳の中の血管が破れて脳内に出血して中から脳を破壊すること、くも膜下出血というのは、脳の表面の血管が破れて脳の表面に出血して、脳の外から脳を破壊します。脳梗塞も、心原性、アテローム、ラクナなどのタイプに分かれます。それぞれが起こる割合は、くも膜下出血が約7パーセント、脳出血が18パーセント、脳梗塞が75パーセントとなっています。

―脳梗塞、脳出血、くも膜下出血について教えてください。

脳梗塞と一口にいっても、いろいろなタイプがあり、タイプによって治療が異なります。例えば、アテローム血栓性は大きな血管が詰まりますので、動脈硬化に対する外科治療やメタボリックシンドロームに対する内科治療や抗血小板治療が必要となります。ラクナ脳梗塞は小さな血管が詰まりますので、場所により無症状となり無症候性脳梗塞ということになります。高血圧管理が重要です。心臓から血栓が流れてきて、脳の血管が詰まる心原性脳梗塞は脳の血管自体が元気でも起こります。このため、抗血小板治療でなく、抗凝固療法が必須です。この3つの脳梗塞が起こる割合は大体同じぐらいです。

脳梗塞の患者が倒れて3時間で病院に運ばれたとします。現在はMRIの拡散強調画像で見ると、脳梗塞の進行を評価でき、MRAで脳血管のつまりを評価できます。1993年頃に私が総合病院に勤めていたころは、超急性期はとにかく脳血管内治療で血栓を溶かそうとしました。けれども、拡散強調画像で変化が出ているところを血栓溶解療法で溶かしてしまうと、脳出血を起こして死亡することがありました。患者を死なせるという苦い経験を経て、1994年脳梗塞で残存脳血流量が重度に低下した患者の場合、再開通してしまうと、脳出血を起こして死亡するという論文が愛媛大学脳神経外科で同僚の植田医師(現聖マリアンナ医大脳卒中科教授)から世界に発信されました。それが今では脳梗塞治療の世界のゴールデンスタンダードになっています。

―症状がない場合はどのように防げばよいのでしょうか。

脳梗塞の予防は、メタボリックと高血圧の管理をすることが重要です。一方、アテローム血栓症のように、大きな血管が動脈硬化で一気に詰まった場合は、大きな脳梗塞ができてしまいます。日頃、ストレスが多いと、血管内皮が傷つきやすい状態になっていますので、そこに過食によって脂質が傷んだところに沈着していきます。そこに動脈硬化が生じ、大きな血管が徐々につまっていくということになります。一度詰まってしまうと、本来であれば、いきなり大きな脳梗塞になり、いきなりやられてしまいます。しかし、周りの脳の血管からバイパスがあると、バイパスのないところだけ脳梗塞になります。血管が詰まって症状が出ていなければ、耳の前に拍動している血管(浅側頭動脈)を剥離していき、血流の低下した脳血管につなげ、人工的なバイパスを作ります。これによって脳梗塞を防ぐことができます。

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