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喘息 喘息死ゼロをめざす!

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2006年から、厚生労働省の「喘息死ゼロ作戦」が始まり、喘息死は順調に減りつつある。その一方で、成人の喘息が増えているという現実も否定できない。その理由や喘息の基本的な治療について、独立行政法人国立病院機構東京病院 院長 大田健 医師に聞いた。

※この記事は2015年10月28日にインタビューし掲載したものです。大田健医師の最新の情報はこちら⇒(医師情報)

― 近年、アレルギー疾患をもつ人が増えていますが、なぜでしょうか。

春のスギ花粉症を例にとると、国民の2~3割が発症していると言われています。以前は、感受性が高く抗体のできやすい人だけ発症していたのが、高密度にスギ花粉が舞う環境になったため、幅広い体質の人に異物反応が起きて花粉症が見られるようになりました。

これと同じことが、喘息にも言えます。コンクリートで閉め切られて風通しが悪い空間は、アレルゲンとなるダニが繁殖しやすい状況にあります。かつての日本家屋と違い、私たちはアレルギーを起こしやすい環境に置かれているので、アレルギー性喘息が起こりやすくなっているのです。

― 喘息といえば、よく耳にするのは、遺伝やアレルギー体質によるものですが、他にも原因はあるのでしょうか。

小児ではアレルギー性喘息が9割以上を占めますが、成人は非アレルギー性の場合もあります。この30年でわかってきたのは、「気道の炎症」が喘息発症に影響していること。気道の粘膜に「好酸球」という赤い顆粒を持つ細胞が集まると、それが悪影響を及ぼして炎症が起きます。

40~50年前は、喘息発作が出れば薬を使い、治まったら治療を終了していました。気道の炎症の存在が明らかになった現在、喘息治療は、吸入ステロイドをメインとする長期管理薬と、喘息発作が起きた時に用いる発作治療薬の両面から進めるようになりました。症状が消えたからといって長期管理薬を中断しない、つまり、その時に症状があるかどうかで考えてはならない、ということです。症状だけにアプローチするのではなくて、その背景にある気道の炎症も念頭において治療しよう、という概念が行き渡ってきました。

― 喘息治療の基本は薬物療法ですか。長期に薬を用いることに対して、抵抗のある人も多いのではないかと思います。

吸入ステロイドは1980年前後から使われるようになりました。当初は患者さんもステロイド使用に対して不安だったようですが、安全で有効性が高いことが明らかとなり、さらに強力で使いやすい薬も出現して、現在はそうした心配も聞かなくなり積極的に使用されるようになりました。これは大変大きな前進であり進歩です。医師が吸入ステロイドの効果と安全性を患者さんにきちんと説明し、納得が得られるようになった証だといっていいでしょう。

また、薬物療法のほか、日常生活においては、喘息の誘因になりうるものを取り除く努力が大切です。たとえば、屋内でペットを飼うと喘息を起こす人がいますから、ペット対策も必要です。アレルギー以外の原因では、タバコは呼吸機能を低下させて喘息症状も悪化させるので、禁煙をおすすめします。ストレスの存在も喘息に影響すると言われます。ストレスのせいで喘息死には至らないとしても、症状を悪くする要因の一つと考えられています。

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