ドクターズガイド

里見淳一郎 医師 (さとみじゅんいちろう)

里見淳一郎 (さとみじゅんいちろう) 医師

医療法人きたじま倚山会 きたじま田岡病院(徳島県)
病院長 脳神経外科

専門

血管内手術(動脈瘤コイリングや頸動脈ステントなど)、脳血管障害の外科手術

医師の紹介

里見淳一郎医師は、きたじま田岡病院の病院長を務める、脳血管障害急性期治療のスペシャリスト。頸動脈ステント留置術や脳動脈瘤コイル塞栓術など血管内治療の名手。脳神経外科手術(開頭脳動脈瘤クリッピング術、頚動脈内膜剥離術、脳血管バイパス手術)も提供しており、患者の病態に応じた治療選択に努めている。同院では、回復期リハビリ病棟、地域包括ケア病棟も有し、脳卒中患者のトータルケアを提供している。

診療内容

日本人の年間死亡率の第3位(10数万人)であり、寝たきりの最大原因(40%)ともなっているのが脳卒中である。今後さらに進む超高齢化社会に対応して、その予防や治療法の確立が重要な社会的課題となっている。
きたじま田岡病院では、最先端の技術を駆使し、開頭手術・血管外科以外にも血管内治療を積極的に導入し、より低侵襲で効果的な治療を行い、脳卒中の患者を少しでも早く社会復帰できるよう努力している。現在、侵襲の少ない治療法として注目されている頸動脈ステント留置術と脳動脈瘤コイル塞栓術は里見医師が力を入れている分野である。どちらも患者の負担が少なく、早期に社会復帰できるなどのメリットが大きい。
頸動脈ステント留置術は脳梗塞の原因の1つである内頸動脈狭窄症に対して行われ、血管内にカテーテルを入れて患部で風船のように膨らませて狭窄部を拡大、さらにステントという金網状の形状記憶合金を置き、血管を内側から拡張する方法である。従来法は手術で首の血管を切開し、内膜(動脈硬化)の剥離を行うが、この方法に比べて頸動脈ステント留置術は血管へのカテーテル挿入という侵襲の少ない方法ですむ。
脳動脈瘤コイル塞栓術はくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤の治療法で、直径数㎜の動脈瘤にカテーテルを進め、そのカテーテルを通して白金製の軟らかいコイルを動脈瘤に詰めることで動脈瘤の破裂を予防するという方法である。開頭手術では到達の難しい脳の深部にある動脈瘤や全身状態の悪い患者にこの方法を用いて治療している。そのほかクリップ手術も行っているが、これは手術用顕微鏡を用いて脳動脈瘤を剥離、露出して動脈瘤の首の部分(ネック)にクリップをかける手術である。同センターでは動脈瘤の大きさ、形、脳のどの血管に存在するかなどさまざまな条件を考慮して患者にとってもっともよいと思われる方法を選択している。
里見医師は「カテーテル治療か、通常の手術を選択するか判断に迷うケースもあり、その場合はどうしても自分が得意な治療法を選択しがちですが、その患者にとっての最善の治療法はなにかを第一に考え、各国から集められる診療成績等を参考にあくまでも科学的根拠に基づいて選択します」と話している。
こうした血管内手術法は直接病変を触れながら治す手術と異なり、カテーテルを通した、いわば遠隔操作によって繊細な脳の血管の異常部分を修復するという難しさがある。そのため、日本脳神経血管内治療学会では専門的なトレーニングを積んだ医師のみが取得できる血管内治療の専門医制度を設けており、里見医師は指導医という立場から専門医の指導・育成にも当たっている。
 きたじま田岡病院では、急性期の治療のみならず、脳卒中後の高次脳機能障害、嚥下障害、失語、片麻痺などの後遺症に対するリハビリも積極的に行っており、切れ目のない患者支援を実践している。回復期リハビリ病棟、地域包括ケア病棟の運用実績は県内でトップを誇っている。

診療を受けるには

里見医師の外来は、火曜日を担当。午前診療: 9:00~12:30、午後診療:13:30~18:00

医師のプロフィール

経歴
1992年3月 香川医科大学医学部 卒業
1992年4月 徳島大学医学部脳神経外科に入局
2000年4月 カナダのトロント大学に留学
2004年1月 徳島大学医学博士
2004年4月 秋田県立脳血管研究センタ-
2005 年10月 徳島赤十字病院
2008年10月 徳島大学医学部助教
2009年4月 徳島大学講師
2012年1月 徳島大学准教授、大学院医歯薬学研究部
2018年4月 きたじま田岡病院 病院長
所属学会・認定・資格

日本脳神経外科専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳神経血管内治療学会指導医、日本脳卒中の外科学会技術指導医

予防に心がけたいこと

脳卒中には血管が詰まって起こる脳梗塞と、血管が破れて起こる脳出血、くも膜下出血がある。
脳梗塞は発症の仕方によって3つの病型に分類される。脳内小動脈病変が原因の「ラクナ梗塞」頸部から頭蓋内の比較的大きな動脈の動脈硬化が原因の「アテローム血栓性脳梗塞」心疾患による「心原性脳塞栓症」である。ラクナ梗塞は高血圧、アテローム血栓性脳梗塞は高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などの生活習慣病全般の関与が指摘されている。心原性脳塞栓症は心臓にできた血栓が脳の大きな血管を閉塞させて起こる。
脳出血についてはとくに高血圧と過剰な飲酒が原因としてあげられる。早朝高血圧の症状があれば、日常的には正常血圧でも危険因子となる。くも膜下出血は男女比では女性が男性の2倍多い。
かつては日本では脳出血が非常に多かったが、減塩や高血圧症の治療の進歩により、脳出血の割合は減り、脳梗塞の割合が80%近くを占めるようになった。高カロリー、高脂肪の欧米型の食生活に近づいたことや運動不足により肥満者が増えるなどメタボリック症候群の増大などがその背景にある。
予防としては脳卒中の危険因子としてあげられている高血圧や高脂血症(脂質異常症)、糖尿病などの生活習慣病の予防が第一である。そのためにはストレスを溜めないこと、過労、睡眠不足を避け、バランスのよい食事と適度な運動を心がけることが大切である。できるだけ禁煙し、過度の飲酒を慎むのがよい。
日々の生活では急激な温度変化を避けることやトイレで力まないこともあげられる。また、血栓の原因となる心室細動や弁膜症の弁置換後、感染性心内膜炎、左房粘液腫、拡張型心筋症などのある人は専門医の治療を受ける。
脳ドッグでは脳動脈瘤を事前に発見することができる。とくに家族性脳動脈瘤といって、血縁関係者に脳動脈瘤が多い家系の人は脳ドッグで脳動脈瘤の有無を検査し、動脈瘤がみつかった場合には専門医と相談することをお勧めする。
rt-PAという画期的な治療法が導入され、超急性期の脳梗塞は血栓溶解薬の点滴によって治療できるという新たな時代が到来している。そのためには発症から3時間以内に来院しなければならず、すばやい判断力と行動が求められる。患者自身もしくは家族が異変に気づいたら、ただちに救急車を要請することが肝心である。
軽い症状であっても、急に手足の麻痺やしびれが起こったり、ろれつが回らない、片方の目が見えない、物が二重に見える、視野の半分がかける、突然強い頭痛が起こったりしたときはただちにかかりつけの医師か救急隊に連絡することが重要である。