ドクターズガイド

豊島勝昭 医師 (とよしまかつあき)

豊島勝昭 (とよしまかつあき) 医師

神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター(神奈川県)
新生児科
医長

専門

新生児医療

医師の紹介

24時間365日体制の新生児集中治療室(NICU)で医長として13年、スタッフとともに、妊娠・出産時のトラブルや早産により緊急医療を必要する新生児の診療に取り組む。神奈川県職員提案事業制度を活用し、新生児医療の人財育成を目的とした研修システムを創設し、後進の指導に当たる。診療ガイドライン作成、厚労省発案の「周産期医療の質向上プロジェクト」などで全国のNICUの施設間差異を減らし、診療成績を向上を目指す取り組みや巨人・村田修一選手とNICUサポートプロジェクト発足し、NICUの社会支援活動などを精力的に行う。

診療内容

早産や低出生体重児、生まれつきの病気の新生児、妊娠・出産時の低酸素血症などにみまわれた新生児などを診療する「新生児集中治療室(NICU)」で、医長として13年働く豊島医師。「NICUはチーム医療。NICU内外の医師や看護師などとの連携がうまくできて初めて、赤ちゃんの命は救われるのです」と語る。
産婦人科医師から紹介された早産児や病的新生児は、外来受診なしに直接NICUに入院して診療を行う。重症の場合には、ドクターカーで直接、産院に往診し、診療を開始しながらNICUに「迎え搬送」している。神奈川県立こども医療センターでは分娩前から産婦人科医と協力しあい、センター内のさまざまな外科系内科系部門とも協力しながら出生前診断を行い、生後の新生児の集中治療や手術などの診療方針を立案・実行しているため、先天異常を伴う新生児の入院が多いのが特徴。
出生前診断で胎児異常が見つかった場合、妊婦がこども医療センターで出産することで、生後直ちに治療を行える準備・体制を整えている。切迫早産など、早産児が生まれそうな場合も同様で、妊婦を同センターの産婦人科に救急車で母胎搬送した上で、生まれた直後から新生児の治療を行っている。
生後すぐにNICUへ運ばれた新生児は保育器に入って保温・保湿され、症状によっては人工呼吸管理を含めた呼吸循環管理を行い、経静脈栄養や胃にチューブを留置しての経管栄養を行う。心拍数や呼吸数などはモニターで状況を把握しており、異常があればすぐにアラームでスタッフに知らせるシステムになっている。状態が安定しても本来の予定日前後まで数ヶ月間の入院が必要なのが早産児の医療である。NICU病床不足で県外搬送が多い神奈川県では1人でも多くの新生児をNICUに収容するために集中治療が不要になり、体重増加や予定日を待つ状況の新生児は、周辺地域のNICUに転院(バックトランスファー)している。
豊島医師らは現在、心エコー検査を用いた「血圧を高めすぎない、心臓に負荷をかけすぎない循環管理・未熟児動脈管開存症診療」を全国に先駆けて導入。同センターのNICUは治療成果が高く、在胎23週生まれ、450~600グラムの早産児でも95%近く救命が可能になっている。救命率が向上したとはいえ「NICUは早産や生まれつきの病気をなかったことにはできない。早産や病気込みで赤ちゃんとご家族が生きていくのを支えるスタートの場所です」と語る豊島医師。救命できても、運動機能、脳、肺、目などに何らかの影響が残る可能性があり、その予防を目指している。障害や後遺症、リスクなどを含め、ご両親に率直に説明して、NICUで頑張る赤ちゃんをご家族と医療者で一緒に見守る関係の構築も大切と考える。「医療には限界があり、救命できない場合も後遺症を伴って退院する場合もあります。今までは“目の前の命を救うことだけが医師の仕事”でなくて、限りあるかもしれない生命をNICUでご家族と大切に過ごすこと、後遺症とともに退院となるお子さん達が生きづらくならないように社会的に認知度を高めることなども新生児医療の役目に感じています」と豊島医師は語る。
NICUで生涯を終える赤ちゃんと家族に対しても、限りあるかもしれない時間を集中治療だけで過ごすことだけが正しいわけではなく「ご家族で過ごせる時間を大切にしたい、限りあるかもしれない時間の中でも日々の赤ちゃんの成長や無事をご家族と一緒に喜び、悲しみや不安も一緒にシェアするようなグリーフシェアをNICUで実践できたら」と考えているという。また、NICUで生命が救われた赤ちゃんや家族がNICU卒業後に生きづらさを少しでも感じないように、療育(治療的教育)・教育・福祉などとの連携で支える医療や社会を目指していけたらと願い、NICU医療のことを地域社会に伝える活動を続けている。

診療を受けるには

完全紹介予約制で、診療受付時間は8:30~15:00。豊島医師の外来は、同院NICU退院のフォローアップ外来のみ

累積症例数または患者数

これまでに750名のNICU患者を担当。低出生体重児300名(超低出生体重児150名)を担当医として診療。

年間症例数

70名前後を担当医として診療。

医師のプロフィール

経歴
1994年 新潟大学医学部 卒業
1994年 神奈川県立こども医療センター小児科にて臨床研修
1996年 神奈川県立こども医療センター新生児科にて臨床研修
1998年 東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所循環器小児科にて臨床研修と基礎研究
2000年 神奈川県立こども医療センター新生児科
2004年 神奈川県立こども医療センター新生児科医長

2002年 日本未熟児新生児学会賞
2005年 日本小児循環器学会YIA賞
2006年 アジアPediatric Reseach学会YIA賞(新生児学部門)
2007年 アジアPediatric Reseach学会YIA賞(小児循環器学部門)
2008年 神奈川県職員提案事業制度に応募して政策として採択[安心して妊娠・出産のできる神奈川県をめざして~新生児医療の崩壊の阻止をめざした短期有給研修医制度の創設~]
2009年 日本未熟児新生児学会の<根拠と総意に基づく未熟児動脈管開存症の診療ガイドライン(JPrePガイドライン)>作成責任者
2011年 厚生労働省指定研究「周産期医療の質と安全の向上のための研究」分担研究者
所属学会・認定・資格

日本小児科学会専門医、日本未熟児新生児学会(医療の標準化検討委員)、日本周産期新生児学会、日本小児循環器学会、日本胎児心臓病学会、日本循環器学会、日本周産期循環管理研究会(設立幹事)、日本新生児内分泌学会(幹事)

予防に心がけたいこと

喫煙、極端なやせ、若年・高齢妊娠、妊娠中の過度の勤務は早産のリスクとなると考え、妊婦には自他共に優しくする社会が、早産予防となると考える。

費用のめやす

1人の超低出生体重児が入院して退院するまで、1,000~1,500万円前後の医療費がかかるといわれているが、保険診療と養育医療制度の活用により保険診療内。自己負担はほとんどない。

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