ドクターズガイド

藤広満智子 医師 (ふじひろまちこ)

藤広満智子 (ふじひろまちこ) 医師

揖斐厚生病院(岐阜県)
皮膚科
部長

専門

皮膚感染症、褥瘡、アトピー性皮膚炎

医師の紹介

セロファン粘着テープによる真菌検査・研究を広めたエキスパート。セロテープを用いて白癬菌を培養し、94年医真菌学会誌に報告。現在では、診療とトンズランス感染症の同定において、なくてはならない方法となっている。「カビを見る、培養を楽しむ」ことの大切さを医学生や研究者に啓発し続けるとともに、自身の診療のポリシーは「自分で確かめてから患者に応用する」ガイドラインなどを100%信用するのではなく「患者と皮膚の声」を聞き、自身の目で確かめてから診療にあたる姿勢を貫く。

診療内容

圧倒的に症例が多いのは、足白癬(水虫)。日本人の10人にひとりが罹患していると言われ、高齢者の有病率が高い。ただし白癬菌は一部を除きそれほど感染力が強いわけではなく、家族の皮膚に菌が付着しても感染することはほとんどない。原則としては治療するべきだが、特に寝たきり高齢者の足や爪の白癬の場合、長時間靴を履くことがないことから悪化することはまずないため、経過観察でも良いと考える。ただし、他の体部や家族に感染が拡大している場合や、かゆみなどの自覚症状がある場合などは、積極的に治療する。なお、糖尿病患者に対しては厳重な観察と治療を勧めている。
白癬の簡便な真菌検査方法としては、セロファン粘着テープを用いることが多い。病巣から鱗屑を剥離し、スライドグラスに乗せてKOH直接鏡検を行い、そのまま培養して菌の同定を行う。患者が寝たきりの場合は、訪問看護師が患者の元に出向いて患部の写真を撮り、セロハン粘着テープで検体を採取。こうすることで、医師が出向かなくても菌の検査が可能となる。さらに、菌の同定は当院で行い、治療は患者のかかりつけの医院で続けるという連携をとることで、患者の負担軽減にもつながる。
足白癬の治療法の主なものは、抗真菌剤の外用。ただし、かゆみが治まったからといって中断するのは早計だ。初めて発症した患者は指の間から半径5cmほどの範囲に3ヵ月、再発した場合は炎症が収まってからも1年間は週に1~2回の割合で足全体に、それぞれ塗布すること。
角質増殖型の足白癬や爪白癬の場合、抗真菌薬の外用と内服を適切に行うことで治癒に向かう。ただし高齢者については、基礎疾患などにより内服薬が使用できない場合もあるため、病爪を爪切りなどで除去し、歩行時の痛みを取り除くことを目標にする。もしくは、ドリルで爪に穴をあけてから外用薬を塗布するケースも。
最近増えているのが、トンズランス感染症。これは、柔道やレスリングの選手が国際試合で持ちこんだ真菌が頭や顔に発症したことがはじまりであり、現在ではこれらの競技者やその家族の間で多く広まっている。治療は、外用薬と内用薬の併用が主。いずれも6週間を目安とするが、再発するケースが多いため、継続的な経過観察を必要とする。
真菌のなかには皮膚常在菌もある。そのため、治療するのが必要な菌と「お付き合いする」というスタンスでよい菌との区別をすることが重要。「トンズランスはできるだけ治療を」「爪や慢性化した足白癬はうまくなだめつつお付き合いを」などととらえることで、うまくいくことが多い。なお、足白癬のいちばんの問題は、常に皮膚に細かい傷があって化膿菌に感染する危険性がある場合。一旦悪化させると完治には多大な労力を要するため、シーズン前から気長に週1~2回程度の外用を続けるとよい。

診療を受けるには

受付時間は、平日8:30~10:30、火曜・土曜・日曜・祝日、年末年始休診。初診の場合は診察申込書を記入し、初診受付に健康保険証と受給者証を提出。藤広医師は、週2日の月曜・木曜のみ。

累積症例数または患者数

約10万人(1985年の就任以降)

年間症例数

約5,000人(カルテベース)

医師のプロフィール

経歴
1977年 岐阜大学医学部卒業、 岐阜大学医学部皮膚科入局
1980年 岐阜県厚生連養老中央病院皮膚科医長
1981年 岐阜大学医学部皮膚科助手
1985年 揖斐厚生病院皮膚科部長
1995年 「環境と白癬菌」で医学博士習得
所属学会・認定・資格

医学博士、岐阜大学客員臨床系医学教授、日本医真菌学会評議員、インフェクションコントロールドクター、東海医真菌懇話会副会長、関西医真菌懇談会幹事、岐阜県院内感染対策検討会世話人、日本皮膚科学会認定専門医、日本医真菌学会認定専門医

予防に心がけたいこと

足白癬の場合、公共のプールや浴場の利用後は乾燥を心がけるほか、予防的に抗真菌薬を塗布するのが効果的。一度でも感染したことがある場合も、毎年4~5月頃から予防として外用薬を塗ると良い。なお、特に患者が高齢者の場合は第三者には容易に感染しないので、患部に触っても手を洗えば感染を予防できる。トンズランス感染症の予防には、競技後の抗真菌剤配合シャンプー(市販)での洗髪が有効。

費用のめやす

院外処方で一人平均3,000円(保険適用の場合1,000円)