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秋山治彦 医師 (あきやまはるひこ)

秋山治彦 (あきやまはるひこ) 医師

横浜市立脳卒中・神経脊椎センター(神奈川県)1病院のクチコミ
もの忘れ外来、臨床研究部
部長

専門

神経内科学、神経病理学。認知症疾患、特にアルツハイマー病等についての臨床と研究

医師の紹介

秋山治彦医師は、京都大学を卒業後、神経内科にて、老化に伴う脳病変の病理学的研究を始める。以後、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学留学を経て1991年から東京都精神医学総合研究所にて、アルツハイマー病、レビー小体病、前頭側頭葉変性症等の認知症をきたす神経変性疾患の病理・病態解明研究を行う。2014年から日本認知症学会理事長を務め、日本の認知症研究を牽引する存在でもある。横浜市立脳卒中・神経脊椎センターに2016年4月に開設された認知症専門外来「もの忘れ外来」では、実際に患者さんと接し、地域医療の推進にも力を入れる。

診療内容

認知症は原因によっていくつかのタイプが存在し、アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管型、前頭側頭型の4つが広く知られている。その中でも半数以上を占めるアルツハイマー型について、秋山医師は東京都精神医学総合研究所(現・東京都医学総合研究所)で長年研究を続けてきた。

アルツハイマー型認知症は10~30年にわたる前駆期(認知症を発症していない段階)を伴うことが明らかになり、またレビー小体型認知症も同様の無症候期があったり、あるいは長い年月にわたるパーキンソン病罹患を経て移行する場合があったりするため、それぞれアルツハイマー病、レビー小体病と呼ばれることが多くなっている。両疾患は合併することも多く、また合併とまでは言えなくてもアルツハイマー病に軽度のレビー小体病の病変を伴う人、レビー小体病に軽度のアルツハイマー病の病変を伴う人も多い。秋山医師は、脳病理学的な解析研究にもとづき、両疾患の発病のメカニズム自体に一部共通する部分があると推測している。アルツハイマー病は、アミロイドβとタウと言う2つのたんぱく質が脳に異常蓄積することで発病するとされている。アルツハイマー病の大脳皮質ではアミロイドβがタウの蓄積を加速すると考えられているが、秋山医師はこれまでの研究結果から、レビー小体病の異常蓄積タンパクであるαシヌクレインも、大脳皮質ではアミロイドβがその蓄積を加速するのではないか、と推測している。

こうした研究に加えて、現在、秋山医師が横浜市立脳卒中・神経脊椎センターで診察にたずさわるのは「もの忘れ外来」である。認知症の治療の中心は非薬物療法で、とりわけ日常の生活スタイル、周囲の人達の接し方は重要である。アルツハイマー病では、薬物療法としてコリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬などが使用できる。「ただし、薬物療法は効果が得られる人もいれば、あまり効果がない人もいます。認知症の原因となる脳病変の進行を止める、つまり根本的な治療はまだ開発されていないため、現状では、少しでも症状を改善するための対症療法を行うことになります」。

新たな治療法開発に向けて、秋山医師が重視するのは、認知症発症前の状況を調べる研究である。日本医療研究開発機構(AMED)が進めるプレクリニカル期アルツハイマー病研究はその中核となるもので、根本治療薬開発研究の基盤作りでもある。同じくAMED研究で、国立精神・神経医療研究センターが中心となって始まった「IROOP(アイループ)」も、これからの認知症治療薬開発研究に大きく貢献すると期待されている.これは全国の40歳以上の健康な人を対象とする、インターネットによる健常者登録システムだ。IROOPでは、認知機能が正常な人が登録して電話で定期的に簡単な認知機能検査を受け、その変化をデータとして集積、発症前から、長い前駆期を経て発症に至る経過を明らかにすることをめざす.それとともに、参加者には治験等の最新情報の提供などを行う。「認知症疾患の克服、中でもアルツハイマー病の根本治療薬開発には、認知症を発症した人だけではなく、発症前の、認知機能が正常な方の協力が欠かせません。しかし、日本ではこうした取り組みが米国より遅れていました。大規模な登録研究(レジストリ研究)が始まった2016年は、日本の“アルツハイマー病根本治療薬開発研究元年”と言っていいでしょう」。

「認知症の人を介護するには、さまざまな症状に適切な対応を取れるよう、認知症のことをよく知る必要がありますし、介護の負担やストレスを乗り越えてゆく必要もあります。日本は認知症の急増という点で世界の最先端を走っています。認知症にかかわる医療従事者、介護家族、そしてそれ以外の人も社会全体で認知症の人を支えてゆく、そのような仕組み作りが求められています。」

診療を受けるには

原則として、他の医療機関からの紹介外来制。要予約。初診時に紹介状がない場合は、保険診療の自己負担金のほか、保険外併用療養費(選定療養)3,240円が必要。
もの忘れ外来の診療は、週1回、月曜の13:00~16:00。初診の予約受付は電話045-753-2500(代)へ。

年間症例数

神経内科:年間で、外来初診患者数:1,847人,新入院患者数:1,462人(いずれも2015年度数値)

医師のプロフィール

経歴
1980年3月 京都大学医学部 卒業
1980年6月 京都大学医学部老年科神経内科 研修医
1981年7月 関西電力病院内科 医員
1983~87年 京都大学大学院医学研究科内科系神経内科 大学院生
1987年4月 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学 客員研究員
1990年6月 京都大学医学部神経内科 医員
1991年4月 東京都精神医学総合研究所(現・東京都医学総合研究所)副参事研究員
2005年4月 同 参事研究員
2016年4月 横浜市立脳卒中・神経脊椎センター臨床研究部 部長
所属学会・認定・資格

医学博士、日本神経学会 専門医、日本内科学会 認定内科医、日本認知症学会 専門医・指導医、日本認知症学会 理事(2014年12月より理事長)
日本痴呆学会(現・日本認知症学会)特別功労賞などを受賞

予防に心がけたいこと

食事や運動が認知症を防ぐ上でどこまで有効か等、認知症の予防法はいまだ確立していない。ただ、適切な食事や運動は、動脈硬化や糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを減らすので、いずれにせよその人にプラスに働く。全ての人が実行を心がけるべきである。
認知症の疑いがあっても、どの病院を受診すればよいかわからない場合は、日本認知症学会の専門医、日本老年精神医学会の専門医にかかるとよい。それぞれの学会がホームページで専門医の情報を提供している。

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