ドクターズガイド

石井直樹 医師 (いしいなおき)

石井直樹 (いしいなおき) 医師

医療法人茨城愛心会 古河病院(茨城県)
消化器内科

専門

大腸憩室出血等消化管出血、消化器がんの内視鏡治療

医師の紹介

専門は消化管全般の内視鏡治療である。憩室の出血は年間70~80例程手がけている。石井医師らの研究チームは2003年、アメリカのマサチューセッツ州立大学で開発され普及しなかったバンドを使用する治療法を改良し2009年より積極的に実施。米国の内視鏡学会誌に論文を発表し、世界的にも効果の高い治療法として認められた。現在はたくさんの施設で実施されるようなった。
2017年4月より古河病院消化器内科で診察を行っている。

診療内容

大腸憩室出血(だいちょうけいしつしゅっけつ)は、救急外来を訪れる下腹部消化管出血の原因としてはかなりポピュラーな疾患だ。とりわけ高齢者においては、その頻度は20%(日本大腸肛門病学会公式サイトより)にも達しているという。
「患者さんは近年増えてきており、うちの病院でも年間50人ぐらい運ばれてきます。原因は食事の欧米化(食物繊維の摂取低下)と高齢化だと考えられています。高齢者だけでなく、若い人も多いですね」(石井直樹医師)
同院消化器内科の大腸憩室出血治療に、今世界中から高い関心が寄せられている。アメリカの内視鏡学会のオフィシャルサイトに掲載された石井医師の論文は、今や消化管出血に関する論文では世界で5番目から6番目にアクセスされているという。その画期的な治療法について石井医師は次のように説明する。
「大腸憩室というのは穴が開いているように見えて、そこから出血するわけです。我々が導入した方法は、その穴自体に、周囲の正常な粘膜ごと輪ゴムをかけるやり方です。すると穴は大腸の方に飛び出してきて、出血していた血管と正常な粘膜とが輪ゴムでぎゅっと縛られ、出血が止まります。この輪ゴムは、もともとは食道静脈瘤という太い血管からの出血を止めるための器具で、非常にしっかりしており、締める力も強力です。また縛り上げた憩室の部分(血豆のような感じ)は、時間が経つと自然にポロッと取れてしまいます」(石井医師)
実はこの治療法、最初に試みたのは2003年、アメリカのマサチューセッツの医師だったのだが、欧米では内視鏡の技術が日本ほど高くなかった等の理由で、世に広まることはなかった。そんな“お蔵入り”となっていた治療法に、光りを当てたのが石井医師らのチームだ。
「従来のクリップで挟む方法では、止血できず手術が必要になるなど悔しい思いをしていました。日本人の場合、ショックを起こしたり、大量に出血を起こす右の大腸に憩室ができる割合が高く、新たな治療方法が求められていたわけです。そうした状況を打ち破る方法はないかと探していたなかで、今の治療法を見つけ出しました」(石井医師)
新しい治療法が導入される前は、5人に一人は内視鏡では対応できず、手術や血管内治療になっていたという。しかし今では、ほとんどの患者を安全かつ確実で低侵襲な内視鏡治療で治療することが可能になった。
そんな石井医師の治療の根底にあるのは「使命感」。「がんの治療のみならず、救急治療と言う使命を負っているので、困っている患者さんをよくして帰したいという使命感を持っています」(石井医師)
こうした気持ちは、画期的な治療法を探し当てた原動力としても活かされているに違いない。

聖路加国際病院の消化器内科は、ふたつの医療に力を入れている。
1つは、待機的内視鏡治療。食道、胃、大腸といった消化管の早期がんに対しての内視鏡治療(とくにESD)。緩和治療もここに含まれる。
「当院のみが行っているものではなく、がんセンター含めた癌専門施設、大学病院でも行われています。治療成績については自信があります」と石井医師は言う。
もう1つは、緊急内視鏡治療。出血性胃十二指腸潰瘍、静脈瘤破裂といった消化管出血、急性膵炎胆管炎などの治療はここに含まれるが、とりわけ大腸憩室出血に対しての内視鏡治療(とくにEBL)、については同院から日本、世界に情報発信し、この領域のオピニオンリーダーの1つとなっている。
東京都心でありながら江東区と中央区は救急病院が少ない。救急外来、CCM(集中治療室)、HCU(ハイケアユニット)の3つの部門から成り立ち、24時間・365日体制がとられている同院救命救急センターは、近隣住民や働く人にとって命綱のような存在。消化器内科もその一翼を担っている。
「癌の内視鏡治療、緊急内視鏡治療を行う上で最も大切なのが、スタッフ(消化器内科のみならず救急科含めた他科の医師、看護師、技師)の充実です。当院、そして当科にとって、スタッフの充実とチームワークの良さは、最も誇れる特長であると思います」(石井医師)

診療を受けるには

石井医師の診察は、月曜と金曜の午前。

累積症例数または患者数

大腸内視鏡検査治療 17,000。ESD(食道、胃、十二指腸、大腸)800。

年間症例数

2008年1月1日~12月31日に消化器内科に入院となった総患者数は1,148名。そのうち観血的な消化管出血により入院となったのは242名(21%)(炎症性腸疾患を除く)、大腸憩室出血は45名。

医師のプロフィール

経歴
1996年 防衛医科大学校 卒業。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院で研修
2002年 亀田総合病院、消化器内科
2005年 聖路加国際病院、消化器内科
2017年4月 古河病院 消化器内科
所属学会・認定・資格

日本消化器病学会 専門医、日本内科学会 総合内科専門医、日本肝臓学会 専門医、日本消化器内視鏡学会 指導医、厚生労働省医政局長 指導医講習会修了
World Journal of gastroenterology, editorial board
World journal of gastrointestinal endoscopy, editorial board

主な著書(編集・共著含む)

筆頭欧文 12本
電子版でAcceptされていた、大腸憩室出血に対してのEBLの論文「Endoscopic band ligation for colonic diverticular hemorrhage」が、米国消化器内視鏡学会 American Society for Gastrointestinal Endoscopy (ASGE)のOfficial Journalである、Gastrointestinal Endoscopy(GIE)2012年2月号にハイライトとして掲載。消化管出血の世界第一人者である、UCLAのJensen医師よりEditorialとしてコメントも寄せられている。http://www.giejournal.org/