ドクターズガイド

病気の解説

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

病気・症状

PTSDは、災害、事故、戦争、犯罪被害など、心の傷(トラウマ)を引き起こすような強い恐怖感を伴う衝撃的体験が元となって起こる。

主な症状は

  1. 再体験(フラッシュバック):原因となったトラウマ体験が、本人の意志とは関係なく繰り返し思い出されたり、夢に現れたりする。
  2. 回避、麻痺:トラウマ体験を思い出すような状況や場面を避け続けるようになる。周囲の人や自分の未来からも切り離されたように感じて、現実感が乏しい。
  3. 過覚醒:あらゆる物音や刺激に対して過敏に反応し、不安で落ち着かず、イライラや不眠などの症状が現れる。

PTSDで難しいことは、症状が長引くにつれ、複数の精神疾患を併発しやすい点だ。特にうつ病や薬物依存症(アルコール依存症含む)が同時におこりやすい。また身体の不調のため、精神科以外の科を受診することも多い疾患である。

検査・治療

診断は問診で行う。主症状の「再体験」「回避、麻痺」「過覚醒」が、トラウマ体験から最低1カ月以上も続いているとき、PTSDと診断する。鑑別すべき疾患には、たとえば適応障害などがある。

治療の基本は、抗うつ薬などによる薬物療法とカウンセリング。PTSDは心の傷と言うが、脳の機能失調ともいえる病気でもあるため、その改善、すなわち心身両面でのケアや治療が重要になる。薬物療法としては抗うつ薬が多くの場合有効であるが、副作用もあるため専門家による適切な使用が重要である。カウンセリングには、支持的精神療法や認知行動療法的アプローチなどがあり、有効性も高い。またPTSDになる体験は様々であり、それらに応じた対応、たとえば経済的支援や家族などへの支援も必要である。またうつ病や薬物依存などを併存した場合には、それらに対する治療が必要となる。治療には時間がかかることも多いので、焦らずに治療に臨んでほしい。

ドクター・病院選びのポイント

ポイントは名医選びではなく、名チーム選びかもしれない。なぜならPTSDの治療には、精神科医だけでなく、臨床心理士、ソーシャルワーカーなど他職種との連携が必要なことが多いからである。もちろん、誰にとっても良いといえる治療者はいない。余りうまくいかない時には治療者を変えることも双方にとって大切だろう。


監修

前田正治医師: 福島県立医科大学医学部 災害こころの医学講座 主任教授