ドクターズガイド

病気の解説

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)

病気・症状

鼠径部とは腹部と大腿の境の部分の内側、つまり足の付け根の部分を指す。鼠径ヘルニアは、広い意味では腹部のヘルニアの一種。腹部のヘルニアは腹壁と呼ばれるおなかの筋肉にある「穴」からお腹の中のものが飛び出した状態で痛みはほとんどない。以前は「脱腸」と呼ばれていた。国内で手術を受けている患者数は小児も含めて年間約14万2500人。大人だけでも10万人と外科手術の中では最も多い。圧倒的に男性に多い病気で、男女比は5~10対1と言われている。正確な原因はまだ解明されていない。

検査・治療

検査はCTや超音波をとることもあるが、ほとんどの場合、診察で診断できる。治療は飛び出した袋をとって、穴をふさぐ手術を行う。手術をする目的としては、見た目の問題から生ずる日常的な不便を解消することと、出たままの状態で腸管が抑えつけられ壊死してしまった場合、命に関わるので、未然に予防的な手術をするほうがよい。手術のタイミングは比較的早めにしたほうがよいが、早ければ負担が軽くなるということでもない。かんとん(出たものが元に戻らない状態)が起こりやすいヘルニアとそうじゃないヘルニアがあり、それを判断して、かんとんが起こりやすいヘルニアの場合は早く手術をしたほうがよい。手術の方式は、以前は縫合していたが、今はメッシュを用いて、穴をふさぐ方法が主流となっている。手術に要する時間は、術法やヘルニアの状態によっても異なるが、大体30分から1時間程度。ヘルニアが左右両側にあると、2倍かかる。日帰り手術も十分、可能だが、入院であれば、1泊2日、3泊4日、1週間近く、入院を要する場合もあり、病院によって異なる。最近は腹腔鏡を使う手術も増えている。腹腔鏡の良い点は手術のあと傷が1cmぐらいと小さく、手術後、早く活動ができる。腹腔鏡手術は全身麻酔で行うため、麻酔科の医師の立会いが必要となり、手術費用は開腹手術の3倍ぐらいかかる。

ドクター・病院選びのポイント

ヘルニアの手術は比較的やさしい手術と言われているが、再発させないということが重要。手術を受ける場合は、多くの症例数(100例以上)を手掛けた経験豊富な医師がいる施設を選ぶようにする。日本ヘルニア研究会所属の医師をチェックし、確認してからの受診をすすめる。

監修

冲永功太医師:新板橋クリニック 副院長 日本ヘルニア学会 名誉会長