ドクターズガイド

病気の解説

認知症(アルツハイマー病)

病気・症状

認知症には「治るもの」と「治らないもの」があり、後者の代表が「アルツハイマー病」だ。脳や脊髄にある神経細胞のなかで、認知機能に関係する細胞等が徐々に障害を受けて脱落してしまう「神経性疾患」の一種で、認知症の約半数を占めている。アミロイドベータ蛋白という物質が、脳内に異常に蓄積されてしまうせいだということが近年、解明されてきた。症状は、認知機能の低下(物忘れや、時間と場所の見当識障害)のほか、落ち込みやイライラ、徘徊や不眠、幻覚・妄想といった周辺症状がある。

検査・治療

早期発見・早期治療が大切と言われる認知症。診断には、詳細な問診と診察が必須。補助検査法として、認知機能障害を調べる心理検査、脳の萎縮を調べるCTやMRIによる画像検査、脳の血流を調べるスペクト検査がなされることもある。

治療の中心は薬物療法。1999年の「ドネペジル(アリセプト)」発売以降、1剤しか使えない状況が続いていたが、2011年、「ガランタミン(レミニール)」と「メマンチン(メマリー)」という2種類の飲み薬と、「リバスチグミン(リバスタッチ、イクセロンパッチ)」という貼り薬が承認され、選択肢が広がった。ただし、薬の効果は、症状をやや改善させ、進行を1年~2年遅らせる程度でしかない。それだけに重要視されているのが介護のあり方だ。たとえば徘徊や暴力などの一見異常な行動にも、必ず理由が存在している。そこを理解して対処すれば改善が可能であり、患者本人も介護者も楽になる。認知症ケアにおいては、こうした専門知識の普及が欠かせない。また、アミロイドベータ蛋白が大量に蓄積していても、発症せずに生涯を終える「認知症に強い脳」の存在が確認されており、手を動かして行う表現的な作業の認知症予防効果が評価されている。

ドクター・病院選びのポイント

診断は専門医へ。『日本老年精神医学会』では「こころと認知症を診断できる病院&施設」を認定しており、同会のホームページで全国の認定施設を検索することができる。本人や家族の話によく耳を傾け、病気の進行やケアの仕方について、判りやすく説明してくれる医師を選ぶようにしたい。


◆日本老年精神医学会(http://www.rounen.org/) ⇒

監修

岩田 誠医師: 東京女子医科大学 名誉教授