ドクターズガイド

病気の解説

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

ストレスは原因ではなく発症の契機、ピロリ菌除去治療でがん防止も

病気・症状

胃・十二指腸潰瘍の自覚症状はほとんどが腹痛。上腹部周辺、みぞおちから上腹部右側に痛みを感じる。胃潰瘍の場合は食後に痛みを感じ出し、十二指腸潰瘍は空腹時に痛みを感じることが多い。嘔吐感や胸やけなどのほか、まれに吐血や下血といった症状を伴うこともある。1990年代以前はストレスなどが原因とされていたが、現在ではストレスは発症の契機に過ぎず、80%以上はピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)が原因とされている。ピロリ菌は大人になってから感染することは少なく、多くの場合、5歳くらいまでに感染する。国内では、戦後の衛生状態の悪かった時期に生まれ育った60歳代を中心に、5千万人以上が感染していると推定されている。ただし、感染者は急激に減少しており、1940年代に生まれた人は80%以上が感染している一方、90年以降に生まれた人の感染率は10%以下と見られている。ピロリ菌以外の原因としては、腰痛やリウマチなどの鎮痛剤として使われるNSAID(非ステロイド系消炎鎮痛薬)の副作用によるものが多い。国内では胃・十二指腸潰瘍の原因はほぼピロリ型かNSAID型の2つに分けられる。

検査・治療

内視鏡で胃や十二指腸の粘膜を採取する方法と吐息の成分を分析する尿素呼気検査法、便を調べる便中抗原法などが一般的な検査方法だ。ピロリ菌が原因ならば、ピロリ菌の除菌治療が有効だ。除菌治療ではアキモシシリンやグラリスロマイシンといった抗生物質をまず1週間飲み続ける。これが1次除菌で、70~80%の患者はこれで除菌が成功する。まだピロリ菌が残っていた場合、抗生物質の種類を変えてさらに1週間除菌を続ける2次除菌を行い、2次除菌を行なった患者の90%以上が除菌に成功する。3次除菌以降が必要な場合は特別な病院に移り、さらに薬を変えて除菌治療を行うことになる。ピロリ菌が除菌できれば再発の可能性は極めて低い。ピロリ菌が原因ではなく、NSAIDが原因の場合、薬の服用を止められれば良いが、止められなければ潰瘍を予防する薬を併用したり、別の鎮痛剤を使用する。

ドクター・病院選びのポイント

潰瘍の原因をしっかりと調べられる病院であること。ピロリ菌の検査は一般的になってきたが、NSAIDの検査に差が現れやすい。NSAIDの診断・検査を精密にできること。

監修

加藤元嗣医師:北海道大学病院 光学医療診療部教授