ドクターズガイド

病気の解説

突発性難聴

病気・症状

ある日突然、耳の聞こえが悪くなる病気。耳閉感や耳鳴りがして異常に気づくケースもある。大半は片側だけに起こるが、稀に両耳のこともある。また、4割ていどはめまいや吐き気を伴う。患者数は年間3万5000人以上(2001年)で増加傾向。40代~50代の発症が多いが、徐々に高年齢化している。諸々の症状は、耳の一番奥の内耳にある蝸牛(かぎゅう)に障害が起きるために生じることはわかっているが、なぜそうなるか?といった原因は特定されていない。有力視されているのはウイルス感染と内耳の血流障害だ。また、過労や寝不足などのストレスの影響も大きいと言われている。

検査・治療

診断は問診と聴力検査によって行う。ポイントは、突然発症し、障害の箇所が蝸牛であること。急に聞こえが悪くなる病気には低音障害型感音難聴もあるが、聞こえが悪いのが低い音域に限られているので区別できる。難聴でめまいや吐き気を伴う病気にはメニエール病もあるが、発作を繰り返すのがメニエール病、発作は一回きりが突発性難聴ということで見分ける。

治療でまず大切なのは安静。原因が解明されていないため、定まった治療法もないが、推定されている2つの原因から、ウイルスの感染に対してはステロイド剤、内耳の血流障害に対しては、循環改善剤に代謝賦活剤、ビタミン製剤等が併用される。ステロイド剤は内服や点滴で全身投与するより、顕微鏡下で中耳に直接注射した方が効果が高い。薬物治療で効果が得られない場合には、血液の酸素濃度を強制的に上昇させて血管を拡張させることを目的とした、高気圧酸素療法といった方法もある。

これらの治療により、患者の3分の1は完治し、3分の1は改善するが、3分の1はまったく改善しない。発症から1カ月以内に自然治癒するケースも多いことから、本当に治療が功を奏しているのかも不明。

ドクター・病院選びのポイント

回復する場合は、ステロイドの投与開始から1-2週間のところで兆しがあらわれる。逆に、1カ月も放置すると症状が固定してしまうので、受診は早めが鉄則。1週間経っても改善しない場合は、速やかに高気圧酸素療法等の設備が整った病院を紹介できる、連携体制をもった開業医を選びたい。

監修

喜多村 健 医師: 東京医科歯科大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科 特任教授