ドクターズガイド

病気の解説

眼瞼痙攣

病気・症状

適切な視覚情報を得るためには眼と脳との間に両方通行のやりとりが必要である。眼を開けるという動作もその1つであるが、眼瞼痙攣はこれに関連する脳の回路に障害が起きて発症する。主な要因として(1)目を開けたいのに開かない、瞬きが増えるなどの「運動障害」、(2)まぶしい、目が乾く、ショボショボ・チクチクするなどの「感覚異常」、(3)抑うつ、不安、焦燥感、不眠といった「精神神経障害」の3つがある。運動障害が気になる人もいれば感覚異常が目立つ人もいるなど、人により強く出る症状が異なるのが特徴である。抑うつ症状が強い場合は精神科でうつ病と診断され誤った治療を受けたり、目の渇きを訴えてドライアイと診断されることも多い。症状が強くなると物にぶつかる・転倒・事故の恐れもある。顔面症状から三叉神経痛や片側顔面痙攣と混同されやすいが全く異なる病気である。痙攣とは呼ぶもののピクピクするとは限らないため、上記(1)~(3)の症状に注意したい。潜在例も含めると国内に50万人以上もの患者がいると推定される。

検査・治療

現状では原因療法はなく対症療法が行われる。現在は以下の二つが主流である。(1)刺激となる波長の光を遮る遮光レンズやクラッチメガネなどの医療用レンズを用いる。クラッチメガネは上眼瞼を押し上げることで正しい信号を出そうとする脳へのフィードバックがかかりやすくなり、物理的にも瞼を開けやすくする作用がある。(2)次の選択としてボツリヌス毒素治療が適応される。ボツリヌス菌の毒素から創られる製剤(一種の麻酔剤)を注射して眼輪筋を弛緩させ、開瞼時のエネルギーを最小限にとどめる、つまり開瞼しやすくする方法である。また、発症のきっかけとなった危険因子を減らすことは根本治療に近づく方法である。例えば薬剤が原因の人はそれを減らす、あるいは変更する、異常な心理的ストレスがある人は周囲の協力を得てストレスコントロールを行う等が求められる。ストレス耐性を上げるために薬物療法を応用する場合もある。

ドクター・病院選びのポイント

正確に診断できる眼科医では医師の1~2割、さらに軽症のケースを診断できる医師はさらに少ないとされるため、一般眼科ではなく「神経眼科」を掲げる病医院を受診することが望ましい。ボツリヌス毒素療法は医師なら誰でもできる訳ではなく、指定講習や認定を受けることが必要である。病医院検索はグラクソ・スミスクライン株式会社の公式ウェブサイト「眼瞼けいれん・片側顔面けいれん」を参照されたい。


「眼瞼けいれん・片側顔面けいれん」(グラクソ・スミスクライン株式会社公式サイト)→

監修

若倉雅登医師: 井上眼科病院 名誉院長