ドクターズガイド

病気の解説

発汗障害-多汗症

病気・症状

熱や精神的な負荷によらず大量の発汗が起こり、日常生活に支障をきたす病気。全身の発汗が増加する全身性多汗症と身体の一部のみ発汗量が増加する局所性多汗症に分類される。前者は、結核などの感染症や甲状腺亢進症等々、他の疾患に合併して起こる「続発性」が多いため、もとの疾患を治療すれば治ることから、多汗症としては問題にされていない。一方後者は、原因不明の「原発性」で、なかでも手足が発汗する「掌蹠(しょうせき)多汗症」が多く、欧米では難治性疾患として認識されている。掌蹠多汗症は思春期の患者が多く、日本での発生頻度は5.3%。20人に1人はかかる、決してめずらしくはない疾患といえるが、正しい認識がなされていない故に、未治療もしくは不適切な処置で、悩んでいる人の数はかなりにのぼると推察される。日常生活での支障には、「美容師が手が濡れてカットできない」「パソコン、携帯など電気機器がこわれる」「試験の際答案用紙がやぶれる」などがある。

検査・治療

診断の基本は問診。局所的に過剰な発汗が、明らかな原因がないまま手のひら、足底、腋の下、顔面などに過去6か月の間認められ
(1) 発症年齢が25歳以下
(2) 両側対称性
(3) 睡眠中は発汗が止まっている
(4) 家族歴がある
(5) 週1回以上の多汗のエピソードがある
(6) 日常生活に支障をきたす程の汗である
のうち、2項目以上合致すれば原発性局所多汗症と診断する。重症度については「ヨード紙法」「局所発汗量連続記録装置」等を用いて、発汗量を測定して診断する。

治療法の第一選択肢は塩化アルミニウム液等の薬を塗る外用療法と、多汗症部位を水道水に浸し直電流を流すイオンフォレーシス療法の2つ。外用療法では、手軽に自宅で行えるODT(閉鎖密閉療法)もあり、重症例にも効果がある。ほか交感神経遮断術、ボツリヌス毒素療法(保険適応外)といった治療法もある。

ドクター・病院選びのポイント

専門性が高い疾患なので、できれば日本皮膚科学会の診療ガイドライン作成にかかわっている医師(本紙でも紹介)を受診したい。ただ、外用療法に用いる塩化アルミニウム液は、薬局で市販されており、診断がついた後は自分で治療することも可能。またイオントフォレーシスをするキットが販売されている。

監修

横関博雄医師: 東京医科歯科大学医学部附属病院 皮膚科 主任教授