ドクターズガイド

病気の解説

病気・症状

痔は肛門から奥行3cmていどの範囲に出来る疾患の総称。さまざまな病態があるが、痔核(じかく)、裂肛(れっこう)、痔ろうが「3大痔疾患」で、これらだけで全体の8割を占める。

痔核は別名いぼ痔。肛門にいぼ状の腫れができた状態で、痔の半分以上はこのタイプだ。直腸と肛門の皮膚部分との境目である歯状線より上にできる内痔核と、歯状線より下の肛門上皮にできる外痔核があり、脱出、出血、痛み等を伴う。裂肛は肛門近くの内側に出来る裂創で痛みや出血があり、女性に多い。痔ろうは男性に多く、下痢などによって、歯状線上にある肛門陰窩(いんか)と呼ばれる小さなくぼみに便が入り、便中の大腸菌などの細菌の感染によって化膿して膿のトンネルができる。膿が溜まり始めた段階では、化膿によるズキズキした痛み、38~39℃の高い発熱があり、その後も膿が出ることがある。

検査・治療

診断の基本は、問診と触診(肛門の外側を触れる場合と、肛門内指診がある)、肛門鏡検査によって行う。痔は本来良性疾患だが、痔ろうはがん化する可能性があるため、疑わしい場合には、CTやMRI検査をする。

痔核の治療法には、便通の改善、 軟膏(坐薬)、注射硬化療法、ALTA療法(ジオン注)、ゴム輪結紮術、PPH法、結紮切除術などがある。なかでもALTA療法(ジオン注)は、肛門の痛みを感じない部分に注射をするだけの低侵襲な治療法として脚光を浴びており、単独のほか、併用療法(切除にALTA療法を併せて使用)も行われている。ただし、適応される痔核は限られており、手術は専門的な講習を受けた医師でなければ行えない。PPH法は直腸粘膜の部分(痛みを感じない部分)の粘膜だけを切除する術式だが、安易な適応は考えもの。裂肛は初期の場合なら軟膏などの保存的治療でほとんど治る。

痔ろうの治療は「手術しかない」と言われるが、痛みや膿が出るなどの症状がなく、すっかり落ち着いた状態であれば「寝た子を起こしてまで」手術をする必要はない。

ドクター・病院選びのポイント

すぐに手術をしたがる医師は要注意。不要な切除手術が原因で、肛門機能に障害が出る場合もある。手術の上手さについては、経験に比例するところがあるため、症例数の多さは参考になる。

監修

佐原力三郎医師: 東京山手メディカルセンター 副院長 大腸肛門病センター長