ドクターズガイド

病気の解説

甲状腺疾患

病気・症状

甲状腺は、"元気の源“ともいえる甲状腺ホルモンを分泌する臓器。甲状腺の病気には、甲状腺の「働き」の変化と「形」の変化という2つの特徴がある。「働き」の変化によって起こるのは、「甲状腺機能亢進症」と「甲状腺機能低下症」。前者の代表は「バセドウ病」で、甲状腺ホルモンの分泌が過多になり、エネルギーが"空焚き″されたような状態になる。代謝が活発になり過ぎるため、暑がりになる、汗をかく、手足が震える、動悸がする、じっとしていても走っているように疲れるなどの症状をきたす。後者の代表は「橋本病」。甲状腺ホルモンの分泌が減り、全身の代謝が低下するため、寒がりになる、むくむ、無気力になるなどの症状が起こる。甲状腺の腫れ、しこりなど「形」が変化する病気で問題になるのは腫瘍。圧倒的に頻度が高いのは良性だが、がんであってもほとんどはおとなしい性質である。しかし中には「未分化がん」という非常に危険なガンもあるので注意が必要だ。

検査・治療

検査の主軸は2つ。1つは採血で、甲状腺ホルモンの分泌状況、自己免疫の異常を表す抗体価等を見る。甲状腺の病気は自己免疫疾患の一種だからだ。もう1つは超音波検査。甲状腺の形、大きさを見ることで、腫瘍がある場合には良性か悪性かの見当もつく。悪性と疑われる場合には、細胞診を行う。これらの検査によって、専門施設であれば受診から1時間以内に病気の有無、種類、重症度等の診断ができる。治療は、バセドウ病では薬、アイソトープ治療、手術の3種類。薬は苦痛がないが長期にわたる治療が必要となる場合がある。アイソトープ治療は放射線の内照射療法。放射性ヨードの入ったカプセルを服用するだけだが、6ヶ月くらいで効果が出始める上、苦痛もないため、欧米では第一選択肢になっている。手術は再燃を防ぐため甲状腺を全摘し以後はホルモン剤を服用する。橋本病も治療は不足している甲状腺ホルモンを薬で補う。いずれも治療法が確立されており、治療していれば病気を気にすることなく生活できる。甲状腺がんの治療は早めの手術が基本。予後が非常にいい「乳頭ガン」では、切除部分を出来るだけ小さくする縮小手術が増えている。

ドクター・病院選びのポイント

診断は専門医へ。地域のかかりつけ医を受診する際には、専門医との医療連携がとれているところを選ぶようにしたい。

監修

伊藤公一医師:伊藤病院 院長