ドクターズガイド

病気の解説

慢性疼痛

病気・症状

ひどい肩コリ腰痛などで病院に行っても、炎症や骨の異常は見つからず、画像診断(CTやMRI)、血液検査でも特徴的な結果はみつからない、数か月以上も続く原因不明の痛みを「慢性疼痛」と呼ぶ。厚生労働省は2012年、成人の実に15%が、筋肉や骨の分野で慢性疼痛と思われる症状を訴えていると発表した。こうした慢性の痛みは、生活の質を著しく低下させ、就労困難を招くなど、社会的損失が大きいとされる。また、有効性が乏しいにもかかわらず、消炎鎮痛薬による治療が実施されていたり、痛みから解放されないために、患者が多くの医療機関を渡り歩いて診療を受けていたりする場合もあること等が指摘されており、適切な痛み対策が求められている。

検査・治療

慢性疼痛は、さまざまな要因が何重にも絡み合って生じる“複雑系”。そのため診断・治療には、整形外科内科、精神科など複数分野の連携による集学的アプローチが必要となる。

初診時の問診には2~3時間を要する場合もあるし、明らかな原因や病態が存在しない=急性疼痛ではないことを示すために行う検査は、MRI・CT等の画像検査や血液検査、神経伝導検査,筋電図、疼痛部の皮膚温測定等、多岐にわたる。さらに、関連痛と鑑別するための検査が必要となる場合も少なくない。

治療は、トリガーポイント療法(筋肉が硬くなって痛みを生じえる部分=トリガーポインントを、鍼灸に使う針などで刺激する)、神経ブロック(痛みに関わる神経の周辺に局所麻酔薬や抗炎症薬を注入して、痛みや筋緊張をとり、血行改善と炎症の終息、自律神経の機能改善を行う注射療法)、薬物療法、運動療法、心理療法などを組み合わせて行われる。

とりわけ、痛みの原因として大きな割合を占める「筋筋膜痛」に対しては、トリガーポイント療法が有効と言われている。

ドクター・病院選びのポイント

痛みを専門に扱う診療科である「ペインクリニック」の受診がお勧め。一般的には、「ペインクリニック=神経ブロック療法を行うところ」と思われがちだが、慢性疼痛という複雑系の痛みは、それだけでは解決できない。全国的にはまだ数が少ないが、集学的なアプローチを行っている医療機関を見つけて欲しい。


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監修

北原雅樹医師:横浜市立大学付属市民総合医療センター ペインクリニック