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なぜ、がん・糖尿病が増えているのか?

この程、国立がん研究センターが生涯でがんになる確率は男性55.7%/女性41.3%、日本人の2人に1人が何らかのがんにかかっているとまとめた。また、1981年以来がんは日本人の死亡原因の1位で、先進国の中でがんで亡くなる人が増え続けている唯一の国でもある。
厚生労働省の調査では40歳以上の3人に1人が、糖尿病または糖尿病予備軍で、患者数は増え続けておりもはや”国民病”とまでいわれていると発表した。日本はどうして、これ程までの「がん大国」「糖尿病大国」になってしまったのか?

高齢化率は、日本が世界1位24.4%。2位ドイツ21.1%、3位イタリア20.82%~~となる。ここで注目したいのは、ドイツ、イタリアではがんの死亡数が増加していないことだ。考えられるのは食生活の変化。日本人の食生活は欧米化が進み、肉の摂取量は50年間で約10倍、脂肪分は約3倍になった反面、野菜や果物の消費量は減って、今やアメリカを下回っている。また、がんの発生箇所別の死亡率をみると、肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんなど欧米で多いがんが増加傾向にあり、欧米化した食生活の影響が指摘されている。さらに、がん検診の受診率の低さからも、がんによる死亡者増を後押ししている。たとえば子宮頸がん検診の受診率を見てもアメリカは84%に対し日本では30~40%だ。検診によってがんを早期に発見できれば多くの人が治癒する可能性があるが、進行してから見つかったがんは生命に危機を及ぼす。もうひとつ、がん増加の大きな要因と考えられているのが低体温だ。日本人の平均体温は35.8℃前後と50年前と比較しておよそ1℃低くなっている。体温が1℃下がると免疫力は30%低下し、体内で発生したがん細胞を見つけ、駆除する機能が十分に働かなくなってしまう。さらに、高脂血症、糖尿病、うつ、アレルギーなど、がん以外のさまざまな病気の要因にもつながる。低体温の主な原因は筋肉量の低下と考えられており、暮らしが便利になったことで日常的に体を動かす機会が減り、慢性的な運動不足になっている。筋肉は熱を生み出す最大の器官なので、筋肉が少なくなると体温が下がり、基礎代謝も低下する。また、エアコンの使い過ぎによる体温調節機能の低下、ストレスや食生活の変化も低体温の要因と考えられている。がんを招きやすい生活習慣は、糖尿病のリスクも上昇させている。日本人などのアジア人種は欧米人に比べて体質的にインスリンの分泌能力が低いと考えられ、欧米の人たちと同様の食事を摂ると、欧米人より糖尿病になる確率が高いことがわかっている。また、体温が低下して基礎代謝が下がると、カロリーが消費されにくく内臓脂肪が増加する。内臓脂肪の組織からは、20種類以上の悪玉ホルモン(アディポサイトカイン)が分泌されていることがわかっていて、これらがインスリンの働きを弱めて糖尿病の発症を招いている。アディポサイトカインは血管に炎症をもたらすことも知られており、高血圧や脳出血の原因にもなる。さらに、糖尿病になると血液中のインスリンの濃度が高くなりインスリンにはがん細胞の増殖を促す作用があり、肝臓、すい臓、子宮内膜、大腸、直腸、乳房、膀胱などのがんのリスクが20~30%高くなることがわかっている。2型糖尿病患者は罹病期間が長いほどがんの発症率が高く、罹病15年以上の患者の発症率は15年未満の人の1.6~1.8倍になるという報告もある。


(2016.02.05.)



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