ドクターズガイド

先週は音楽プロデューサーの小室哲哉さんの突然のことで驚きましたが、引退理由で注目されたのが、病気と闘いながらの過酷な介護の現実。


妻のKEIKOさんがクモ膜下出血で倒れたのは7年前の2011年10月24日、首の後部に激痛を覚えて緊急搬送され、約5時間にも及ぶ手術の末、一命をとりとめました。「クモ膜下出血」は脳血管障害の病気で、脳動脈瘤(こぶ)の破裂により、脳を包んでいる「クモ膜」の下に血液が広がる病気です。高齢者の病気と思われがちですが、40代、50代の働き盛りの発症が多いのが特徴です。特に日本では男女比1:2と女性に多い傾向にあり、脳血管障害に占める割合も男性に比べて女性が年々倍増しています。決定的な理由は明らかにはなっていませんが、女性の生活スタイルの変化が影響していると考えられています。特に多く発症するのは50代から60代。KEIKOさんが発症したのは、30代後半と若い世代でも発症しています。いきなり起こる経験したことのないような激痛、救急搬送後はすぐに手術。高度医療の体制が整ってきた現在の医療水準で、一命をとりとめた場合でも重度障害以上の後遺症が残る割合は40%以上だと言われています。

会見で明らかになったKEIKOさんの「高次脳機能障害」。高次脳機能障害とは、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知機能の障害により、日常生活や社会生活への適応が難しい状態です。外見上には回復したように見えても、記憶力の低下、話がかみ合わない、段取りよく物事ができず、人が変わったかのように思われることもあります。高次脳機能障害については、診断、リハビリテーション、生活支援等の明確な手法がまだ確立されていないのが現状です。


KEIKOさんの献身的な介護を行う小室さんは、翌年自身のC型肝炎の感染がわかり、治療していることを2013年に公表しています。先日の会見では既に陰性となっていることが明らかになりました。C型肝炎の感染者(HCV)はまだ発症していない人(キャリア)を含めると世界中で2億人、日本でも150万~200万人と言われています。ほとんどの場合、自覚症状がないため、放置されることも多いのですが、治療をせずに炎症が続くと、ゆっくり進行し、全身の倦怠感や食欲不振などの症状が出る場合があります。感染後30年で「肝硬変」に、40年で「肝がん」になるリスクが高まります。HCVは感染者の血液を介して感染します。感染経路は、注射器の使いまわし、ピアス、母子感染、性行為が上げられますが、他人の血液に直接触れるようなことがなければ、感染のおそれはありません。1992年以前の輸血、1994年以前はウイルスのチェックが不十分だったため、フィブリノゲン製剤、1988年以前の血液凝固因子製剤を使用して感染した可能性があります。近年では抗ウイルス剤が開発され、ウイルス除去ができるようになったため、C型肝炎は治る病気とされています。


さらに小室さんの左耳がまったく聴力を失ったという、「突発性難聴」と思われる症状も気になります。突発性難聴はある日突然、耳が聴こえなくなる病気です。原因はまだはっきり解明されていません。血管の循環障害、ウイルス感染、免疫異常など様々な仮説が立てられていますが、精神的なストレスや肉体的な疲労が重なったときに発症することが多いようです。ただ早期に治療すれば、治癒する確率が高く、逆に2週間以上放置すると、完治が難しいとされています。(2018.01.23)


音楽で多くの人を幸せにした小室哲哉さん。一日も早く元気になられますよう心よりお祈り申し上げます。


肝炎(医師、医療機関、関連サイト、口コミ) ⇒

突発性難聴(医師、医療機関、関連サイト、口コミ) ⇒