ドクターズガイド

インフルエンザ一問一答

インフルエンザの予防や対策の知識も、だいぶ一般化してきました。しかし、ただ「これがいいらしい」と鵜呑みにしていると、面倒だからとちょっと手をぬいたところこそ肝心なポイントであったりします。「なぜ、これが有効なのか」という知識を持っていれば、そういった空振りもなくすことができます。

■インフルエンザは「風邪」がひどくなったもの?

インフルエンザは重症の全身性の感染症であり、風邪(通常感冒)とは区別して考える必要があります。また風邪よりも重篤で拡がりやすい病気として、より注意しなければなりません。

■インフルエンザウイルスの好む環境は?

低温、低湿度環境で長く生きます。

湿度40%以上:ウイルスが生存しにくい。
湿度50%:ウイルスの50%が死滅
湿度60%:ウイルスの80%が死滅

■熱が下がれば人にうつさない?

熱が下がっても翌日は60%、翌々日は40%のウイルスを保持しています。仕事があったとしても、他人への感染を避けるためには、できるだけ熱がさがってから3日間程度は休むのが望ましいでしょう。

■うがいはどのくらいの予防効果がある?

水道水のうがいだけで風邪が40%減ったとの研究報告があります。水道水(浄水器は不可)は微量の塩素を含んでいるのでウイルス殺菌の効果があり、浄水器を通さないほうがよいでしょう。薄めたお茶でのうがいも、成分のカテキンによる殺菌作用で有効といわれます。なるべく頭を後ろに傾け、のどの奥にうがい液が行くように。細菌を減らすためには、出来れば1分程度はやること。

■なぜお茶のうがいがいいの?

お茶に含まれるカテキンが、強い殺菌効果をもつため。番茶、ウーロン茶、紅茶いずれも可ですが、カテキンの作用が強い「紅茶」を通常の5倍程度に薄め、体温程度の温度でうがいをするのが一番良いと言われています。飲むのも有効で、その場合は一煎目が良いですが、うがい用は出涸らしでも効果があります。

■1日何回くらいの手洗いをすればいい?

手に接触したものを常に洗い流せれば理想的なので、回数は多いほど予防効果があります。1日5回の手洗いで感染が45%減ったとの報告もあります。

■ガーゼのマスクでも予防できる?

ガーゼのマスクは、インフルエンザウイルスに対してはほとんど効果がないと考えてよいでしょう。遮断効果が高い不織布で作られ、呼吸が楽な立体型・使い捨てがお薦め。呼吸のしにくいマスクは血中酸素濃度の低下に注意が必要。

■鼻のかみ方があるって?

両方の鼻を一度にかむと、 鼻腔内の圧力が強くなり、細菌に感染した鼻汁が耳管に入り中耳炎になりやすくなります。片方ずつ弱めに鼻をかむ事。また最低でも4枚のティッシュを使わないと、鼻汁の中のウイルスがティッシュを通過して手に付着します。実験では8枚使って0%になったという報告があります。

■衣服についたウイルスはどのくらいの時間生きている?

衣服やティッシュについたウイルスの生存時間は8~12時間といわれます。冬場の手すりなど、24時間以上生きている場合も。交通機関の吊り皮や座席、店のカラオケマイクは特に危険です。

■風邪をひきやすい時間帯って?

インフルエンザに限らず、身体が乾燥してウイルスが増殖しやすい状態になる夜中の2時から4時頃は、1日の中で一番感染を起こしやすい時間帯といえるでしょう。ウイルスの90%は喉から侵入すると言われており、特に夜中は喉が乾燥しやすいので寝る前のホットドリンク(ホットレモンなど)は効果的です。また、枕元に水を置いておき、目が覚めたら飲むのも良いでしょう。

■なぜのどを冷やさないほうがいいの?

喉が冷気で乾燥、冷えると繊毛の動きが低下し、ウイルスが粘膜細胞に取り込まれやすくなるためです。マスク、マフラー、手袋や帽子で体を冷やさないようにすることが大事。冷気、激しい運動でものどの温度が下がります。イライラやたばこも、自律神経の作用でのどの温度を下げます。

■ぬれタオルを干すだけで加湿になるの?

部屋の広さにもよりますが、ぬれタオル3枚くらいを干すことで湿度を50%程度にできる場合もあります。

■なぜ睡眠をとるのが予防になる?

体を休めることで免疫力を強化できます。一般的に日本の社会人は生き物としては慢性的に睡眠不足ぎみ。普段より“一時間”多くとることをこころがけましょう。

■なぜ歯磨きが予防になるの?

歯磨き、舌磨きをすることで、口内の細菌を排除できます。まめな歯磨きはインフルエンザの感染、発症、悪化の予防になります。

■なぜ歯周病を治療するとインフルエンザ予防になるの?

歯周病菌をなくするとインフルエンザウイルスの増殖を抑え、発症率が1/10に減るとの実験結果があります。年二回程度、歯科でクリーニングを受け、歯石除去や正しい歯磨きチェックをしてもらいましょう。

■ビタミンDが予防にいいって聞いたけど?

ビタミンDは免疫記憶のない病原菌を攻撃する「抗菌蛋白質」の生成に関与しており、ビタミンDを摂取した発症が50%少ないという報告あります。一日に摂取したい量は30マイクログラム程度。これはサケの切り身一切れぶんほどです。日光を浴びることで、皮膚での合成を促すこともできます。肌のトラブル防止のためUVケアをしっかりやっている人で、更に魚が嫌いと言う人はビタミンDの摂取が少ない恐れがあるので風邪を引きやすいといえます。サプリで補うのもよいでしょう。

■梅干しが予防にいいって聞いたけど?

和歌山県立医科大宇都宮准教授の研究で、「梅干しはインフルエンザの予防になる」ことが分かりました。成分中のポリフェノールの一種「エポキシリオニレシノール」がインフルウイルスの増殖を抑制するととのこと。 朝昼夜各1個食べるとよいそうです。 この程度の塩分は通常では問題ないが、気になる場合はお湯に10分ほど浸して塩抜きすると良いでしょう。腎臓病や高血圧の人は医師に相談が必要です。

■紅茶も予防になるって?

紅茶ポリフェノール(テアフラビン)の抗酸化作用で、内臓肥満、風邪・インフルエンザ、がんの予防に効果があると言われています。一日3杯の飲用で、りんご8個分と同等の抗酸化作用があるといわれています。紅茶の入れ方は、100度の温度で、紅茶ティースプーン1杯約3G/人を丸形ポットに入れて、3分蒸らすとテアフラビンの抽出量が多くなるそうです。

■ラベンダーの香りがいいっていうけど嗅ぐだけでいいの?

香りを嗅ぐということはすなわち鼻粘膜にその香りの成分物質が付着するということです。ラベンダーの成分は鼻の粘膜の荒れを修復し、免疫力が強めるとの報告があります。42-43度の蒸しタオルにラベンダーの精油を1滴たらして鼻に当て、鼻呼吸すると良いでしょう。

■咳ってものすごいスピードだって聞いたけど?

平均150KMものスピードで周囲に飛び散ります。マスクをすることで、周囲への影響を1/5程度に減らせるとの報告があります。

■マスクをすれば咳やくしゃみをしても大丈夫?

マスクをしても完全に抑えることは難しいとされています。咳やくしゃみをする時はマスクをしたうえで、手ではなく肘で押さえるのがよいでしょう。肘はあまり触らないのでウイルスがついても広がりにくく、マスクだけに比べて飛沫の飛び散りをさらに1/10に減らせます。

■濡れタオルを振り回す?

濡れたタオルを部屋で振り回すと、浮遊ウイルスがタオルに付着し、50%近くのウイルスを減らすことができます。

■なぜ体を温めるといいの?

体温が1度上がると免疫力が6倍上がるといわれています。薄着を避け、体を温く保ちましょう。

■病院が危険って?

病院は菌の巣窟です。病院に行くときは付き添いであってもマスクをした方が良いでしょう。大きな病院ほど結核菌、MRSAなどより危険な菌も多いので警戒が必要です。

(2013.01.31.)