ドクターズガイド

片井みゆき 医師 (かたいみゆき)

片井みゆき (かたいみゆき) 医師

東京女子医科大学東医療センター日暮里クリニック(東京都)
女性専門外来、内分泌代謝内科
部長・准教授

専門

更年期障害、甲状腺疾患、無月経・月経不順、糖尿病(インスリン対応)、その他の内分泌疾患・女性に多い症状全般

医師の紹介

日本で初めて性差医療部を設けた東京女子医科大学東医療センターの女性専門外来を率いる。女性の体や心の特徴を考慮した性差医療を、さまざまな専門分野の女性医師が連携し行っている。的確な鑑別診断、リラックスできる雰囲気もその特徴だ。片井みゆき医師は女性の不定愁訴の陰に潜む病を発見するエキスパート。内分泌代謝内科医としての視点をいかしつつ、同じ女性として患者に寄り添う診療を心がけている。女性ホルモンが減少する更年期の女性の心身の変化にもくわしい。女性のキャリア支援にも力を注ぐ。

診療内容

「女性は女性ホルモンの分泌が一生で劇的に変化します。月経周期に伴う不調や更年期以降の不調などは、女性ホルモン分泌の変化を考慮した対応が必要です」(片井医師)
更年期とは閉経の前後の10年間ほどをさす。閉経を迎える頃から女性ホルモンは急激に低下し、ほてり、のぼせ、発汗などの身体的症状や、イライラ・うつなどの心的症状を引き起こす。「この時期は女性にとって大きなターニングポイントですが、更年期の時期や症状の重さなどはかなり個人差があります」と片井医師は言う。
同クリニックの女性専門外来では、同じ症状でも男女の性差と現在どのような内分泌(ホルモン)状態にあるのかを考慮し、診断を行う。「初診に15~20分ほどかけ、じっくりお話を聞いて、患者さんの症状と状況を明らかにしていきます。その症状の背景にある社会的環境や生活習慣、ストレスなどの要因にも配慮した診療を行っています」(片井医師)
また、更年期障害のはっきりした症状はなくても、閉経は女性にとって身体や健康を見直すときといえる。「女性ホルモンは生殖機能をつかさどり女性らしさを作り出すものと言われていましたが、現在では血圧やコレストロール、心血管系、皮膚、骨、精神状態、記憶力などいろいろな部分に影響を及ぼすことがわかってきました。閉経前に比べ、骨が弱くなったり、コレステロール値や血圧の上昇が起こりやすくなり、生活習慣病のリスクも高まります。生活習慣をより健康的なものにしていくことが大切です」と片井医師は話している。
更年期障害と似た症状の“疾患”「更年期の時期や症状の重さなどは、かなり個人差が大きいものです。つらいときは医師の診察を受けてください。更年期障害に対する治療は、漢方薬やその他の対症療法薬、女性ホルモン補充療法(飲み薬、張り薬、ジェル)など充実していますから、かなり楽になると思います。また、更年期症状と似た症状を示す別の疾患の可能性もあります。これらは検査をすることでわかります。症状が強いときは『更年期だから仕方ない』と思い込まずに医師の診察を受けてみましょう」(片井医師)
更年期症状と同じように見えても、実際は違う原因だったというケースもある。例えば、更年期障害と似た症状が出る疾患[バセドウ病は倦怠(けんたい)感や動悸(どうき)、イライラ、橋本病は倦怠感と寒がりなど]や自律神経失調症などがそれにあたる。また、男女共通の病気でも、その起こり方や治療法に性差による違いがある可能性もある。
「症状と年齢だけから更年期障害と診断された患者さんの中には、更年期障害とよく似た症状を持った別の病気だった方もいらっしゃいます。同センター日暮里クリニック・女性専門外来では、同じ症状でも男女の性差と、現在どのような内分泌(ホルモン)状態にあるのかを考慮して診断します。また、その症状の背景にある要因(社会的環境、生活習慣、ストレスなど)にも配慮した診療を行います。女性専門外来では初診に15~20分程度をかけ、じっくりお話を聞き、患者さんの症状と状況を明らかにしていきます。なかなか疲れが抜けない、原因不明の不調、月経周期の乱れ、治療を受けているのに改善されない方は、医師に相談してみましょう」(片井医師)

診療を受けるには

片井医師の診療[女性専門外来]:月曜・水曜・木曜の午前・午後、金曜の午前。症状によってほかの医師が担当することもある(月曜~土曜)。完全予約制。

年間症例数

のべ約8,000名/年

医師のプロフィール

経歴
1989年3月 信州大学医学部 卒業
1993年3月 信州大学大学院医学博士課程修了
1993年4月 同大医学部附属病院内分泌科
1998~1999年 ハーバード大学医学部フェロー:マサチューセッツ総合病院 神経内分泌部門
1999~2001年  ハーバード大学医学部フェロー:ジョスリン糖尿病センター
2001~2007年 信州大学医学部附属病院 加齢総合診療科・内分泌代謝内科
2007年~現在 東京女子医科大学東医療センター 性差医療部 准教授
2008年~現在 東京女子医科大学女性医師再教育センター 副センター長、東京女子医科大学東医療センター 性差医療部 部長
所属学会・認定・資格

専門医資格…内分泌代謝科(内科)専門医・指導医, 糖尿病専門医, 甲状腺専門医, 臨床遺伝専門医
その他資格…医学博士, 日本内分泌学会代議員, 性差医学医療学会評議員, 日本甲状腺学会評議員, 米国内分泌学会メンバー

主な著書(編集・共著含む)

『女性診療外来マニュアル』(2006年じほう/共著)amazonでみる⇒
『女性医師としての生き方 医師としてのキャリアと人生設計を模索して』(2006年じほう/翻訳)amazonでみる⇒
『エキスパート外来診療』(2008年 医学書院)amazonでみる⇒
『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(2007年 医学書院)amazonでみる⇒
『女性のウェルネスガイド』(日本評論社:女性の自己免疫性疾患 分担執筆)

[その他] 
『性差医療や女性診療、女性医師支援に関する執筆』講演・取材・テレビ出演など多数
連載執筆:信濃毎日新聞『ようこそ女性専門外来へ』(2006-2007 信濃毎日新聞)
連載執筆:日経メディカルCadetto『Women in Medicine』(2008-2009 日経メディカルCadetto)

予防に心がけたいこと

(1)ヘルシーな食生活を心がける…閉経後は女性ホルモンの分泌が減少するため、骨密度が低下し、LDLコレステロールが増加、血圧や血糖も上昇しやすくなり、代謝が落ちるため体重も増えがちです。これらが進むと動脈硬化が起こり、将来的に虚血性心疾患や脳梗塞などを発症するリスクが増加します。バランスのとれた適度な量の食事を、1日3回、ゆっくり食べることを心がけましょう。
(2)適度な運動を行う…女性ホルモンの低下に伴い骨量が下がり、骨粗しょう症の危険度がアップします。骨粗しょう症のなりやすさは遺伝的要因や体質も関与しますが、骨量は運動によって増加することがわかっています。閉経前から運動する習慣をつけ、骨密度を上げておきましょう。
といってもハードなトレーニングは、なかなか続かないものです。1日20~30分、週に3回程度でOKです。ウォーキングなど手軽に始められ、継続できる運動がベストです。
(3)その他…「更年期は誰しもが必ず迎えるものです。エイジングを認めずにそれと闘うという意識だけでは、いずれ無理が出てくるのではないでしょうか。まずはエイジングとそれに伴う心身の変化をきちんと認識し、その上で、更年期以降も素敵な人生を送るために、対策を考えることが大切なのではないかと思います。これは更年期になってから、閉経してからではなく、すべての世代の女性に言えることだと思います」 アンチエイジングからウェルエイジングへ意識を変え、人生の3分の1以上もある閉経後の時間を、どれだけ豊かに過ごすかを考えましょう。
「魅力的な女性の先輩を見つけてはどうでしょうか。私自身も仕事やプライベートを通じて素敵な女性の先輩たちに出会い、考え方が変わりました。素敵な女性に共通していたのは、キラキラした前向きな生き方です。彼女たちを見ていると、更年期なんて怖くないぞと思えるようになりました。大切なのは『何歳になってもいきいきと前向きな生き方をすること』ではないでしょうか」

費用のめやす

基本的に保険診療。費用は症状や検査内容によって違いあり