ドクターズガイド

水田博志 医師 (みずたひろし)

水田博志 (みずたひろし) 医師

熊本大学医学部附属病院(熊本県)6病院のクチコミ
病院長 整形外科
教授

専門

膝関節外科、スポーツ外傷・障害、リウマチ性疾患、骨延長、軟骨再生

医師の紹介

水田博志医師は、整形外科専門医、リウマチ専門医として同院での膝関節外科診療の傍ら、加速する長寿社会に向けて変形性膝関節症の早期発見・早期治療の必要性を説いてきた。同大学院生命科学研究部(整形外科学分野)にも籍を置き、保存療法や手術療法の開発・研究、さらに軟骨再生の技術を治療に役立てる細胞増殖因子の研究をはじめ、今後の臨床適応が期待される実績を豊富にもつ。ロコモティブシンドロームの概念や具体的な予防法を普及させるべく、市民講座の講演を通して啓蒙活動にあたる機会も多い。

診療内容

長寿時代を迎え、膝の痛みに悩む中高年が急増している。膝の痛みに耐えかねて整形外科を受診する人は「変形性膝関節症」と診断されるのが大半であるが、起床時、階段昇降時(特に下りる時)などに膝が痛み、しばらくたつとさほど気にならなくなる…というのが初期症状である。この病気に詳しい水田医師は「変形性膝関節症は、加齢や肥満による体重増加、筋力低下(特に脚の筋力)などにより長い年月を経て膝関節の軟骨がすり減って疼痛を起こすものです。年をとったから当たり前、として放置すれば次第に悪化していきます。早期の段階なら治療法もさまざま選択でき進行を遅らせることもできますが、膝の変形がひどくなれば手術に頼らざるをえない状況となります。この病気に限らずあらゆる病気に共通することですが、やはり早期発見・早期治療が肝要です」と語る。
変形性膝関節症が進行した段階では、起床時や階段昇降時に限らず、普段の歩行にも痛みが伴い、正座が困難になる、膝に関節液が溜まる、膝を伸ばすのがつらい…と日常生活に大きな障害をきたす。さらに進行するとO脚がひどくなり、歩くのが困難となるケースもあるという。
治療法としては保存療法と手術療法がある。保存療法には運動療法(太腿の筋肉を鍛える)、装具(機能を補うサポーターなど)を使う治療、薬物療法(痛み止めの内服・外用、ヒアルロン酸の関節内注射など)がある。ヒアルロン酸は軟骨や関節液に存在する成分で膝をスムーズに動かす役割を果たすが、変形性膝関節症ではヒアルロン酸が減少するため、これを注射で補うものである。これにより炎症や痛みを抑える効果も期待できる。「軟骨はいったん損傷してしまうと、修復できない組織です。しかも血管が通っておらず治すための栄養を運びいれることができませんので、膝関節の中に直接注射するのが効果的なわけです」(水田医師)。この方法は20年以上前から行われており、その効果は科学的なデータにより確認されているという。
一方、保存療法を一定期間続けても改善しない場合や、変形が顕著な場合に検討されるのが手術療法である。変形性膝関節症の手術として、関節鏡手術、脛骨骨切り術、人工関節置換術の三つが代表的である。関節鏡手術は、膝の前方に穴を開け、関節鏡(内視鏡)で診断しながら行うもの。関節を切開しないため本人の負担が軽くて済み、手術跡もごく小さい。手術翌日から普通に歩くことができ、入院も2~3日というメリットがあるが、効果が長続きしないケースもあるなど根本的治療ではないとされている。
脛骨骨切り術は、O脚に変形した脛骨を切って軽いX脚に矯正する方法。術後の回復が2.5~3カ月とやや長いのが難点であるが、近年は新たな術式(片側仮骨延長法を用いた骨切り術など)の導入により、従来の問題点が改善されつつあるという。「比較的若年齢で活動性の高い内側型変形性膝関節症患者に対する手術としては、今後も骨切り術が第一選択として考慮されるべきと考えます」(水田医師)
三つめの人工関節置換術はかなり症状が進行した段階で行われ、文字通り人工関節をはめこむ方法である。人工関節で関節自体を置き換えるので、症状が進んでいても痛みはほぼ完全に取れる。入院は3~4週間と術後の回復も早い。長期成績も15年で90%は良好であるが、人工関節のゆるみなどが生じた場合には再手術を要する場合もある。いずれにせよ、保存療法も手術も、患者の膝の状態や年齢などを総合的に見ながら方法を選択することとなる。早めに専門医の診察を受け、自分の足で不自由なく歩ける生活を取り戻したい。

診療を受けるには

完全予約制。外来予約センター専用FAXも開設している。初診の診療受付は8:30~11:00。水田医師の診療は初診・再診とも火曜。

医師のプロフィール

経歴
1978年 熊本大学医学部医学科 卒業
1984年 熊本大学大学院医学研究科修了
1996~1997年 米国メイヨークリニックVisiting Scientist
2005年6月 熊本大学大学院生命科学研究部運動骨格病態学分野教授
2011年4月 熊本大学医学部附属病院副病院長
2015年4月 熊本大学医学部附属病院長
所属学会・認定・資格

日本整形外科学会(代議員)、日本リウマチ学会(評議員)、日本臨床スポーツ医学会(理事)、日本整形外科スポーツ医学会(評議員、障害検討委員会委員長)、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(理事、専門医制度検討委員会委員長)、日本関節病学会(評議員)、日本臨床バイオメカニクス学会(評議員)、日本運動器リハビリテーション学会(評議員)、日本軟骨代謝学会(評議員)、日本運動器移植・再生医学研究会(幹事)、日本リハビリテーション医学会(評議員)、International Society of Arthroscopy, Knee Surgery & Orthopaedic Sports Medicine、Asia Pacific Knee Society (Delegate)

日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会指導医・専門医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本体育協会公認スポーツドクター、厚労省義肢装具等適合判定医師

予防に心がけたいこと

中高年者の膝の痛みがすべて変形性膝関節症とは限らない。他疾患の可能性もあるため、膝の痛みを感じたら早期に整形外科を受診して治療をスタートさせることが望ましい。また、膝の痛み対策にサプリメントを飲んでいるから大丈夫、と安易に安心する人もいるが、現時点では変形性膝関節症への効果に関して信頼できる医学的根拠はないため注意すること。

費用のめやす

初診時に紹介状を持参しない場合、保険外併用療養費(選定療養)として5,400円がかかる。

発信メディア(ホームページ、ブログ、Twitter、facebook等)

熊本大学医学部附属病院整形外科: