ドクターズガイド

樋上哲哉 医師 (ひがみてつや)

樋上哲哉 (ひがみてつや) 医師

札幌医科大学附属病院(北海道)15病院のクチコミ
心臓血管外科
教授

専門

心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)、僧帽弁形成術(自己弁温存術)、大動脈弁置換術、大動脈弁形成術、選択的脳保護下弓部全置換術、ステントグラフトによる胸部大動脈置換術、自己心膜再生、心筋再生、小口径動脈再生など

医師の紹介

第二外科冠動脈バイパス手術を飛躍的に進化させたといわれる超音波メスによる内胸動脈採取法の開発者で、これまでに6,000例以上の心臓外科手術をおこなっている。虚血性心疾患だけではなく、弁疾患、大動脈疾患など守備範囲は広く、どの領域でも堅実な成績を残しており、その信頼は厚い。樋上哲哉医師の信条である「医療は患者さんのためのみにある」は、今やスタッフ全員に染み込み、人間味のあるチーム医療の実践につながっている。ちなみに同科の開設以来の心臓外科手術は8,500例を超える。

診療内容

樋上医師が超音波メスによる内胸動脈採取法を開発したのは1998年のこと。当初は周囲も懐疑的な評価しかしてくれなかったが、成績を上げていくにつれてその評価が変わってきたという。もともと内胸動脈が術後も血管が詰まりにくい「よいグラフト」であることはわかっていたが、血管を胸骨からはがすのに高度な技術が必要だった。だから使えるとしても1本とるのが限界だったのだ。しかし樋上医師の開発した手法では、超音波メスを使って安全になおかつスピーディーに左右2本の内胸動脈をはがすことができるようになった。これにより術後に血管が詰まってしまう率が格段に下がった。現在では国内でおこなわれる冠動脈バイパス術の8割が樋上医師の手法を取り入れている。
「従来の常識にとらわれず、可能性を信じてあきらめずに開発を続けたからこそ、今につながったのだと思います」樋上医師の粘り強い研究の結果、冠動脈バイパス術で使われるグラフトの質は格段によくなった。このグラフトを使って、同院では人工心肺を使わない独自の心拍動下冠動脈バイパス術をおこなっている。
このバイパス術の成績は極めて安定しており、99%以上の救命率と良好な長期グラフト開存が実証されている。たとえば5年以内の狭心症再発率は3%以下となっており、従来のやり方に比べて格段に良好な成績を得ている。また樋上医師は僧帽弁疾患の治療においても画期的な開発をしている。それは術中逆流評価法というもので、弁形成術の術中に大動脈を遮断しながら心臓を動かして、逆流がないかどうかを確かめることができるというもの。この方法ではその場で弁の状態を確認できるため、術中に微調整ができる。そのおかげでほとんどの例で残存逆流ゼロを実現している。
こうした新しい手法を開発できるのも、樋上医師がいつも若い医師に言っているという「自分の可能性を否定しないこと」を自分で忘れずに実践しているからではないだろうか。そしてさらに付け加える。
「いい医者には、いい人間の心が必要です」と。

診療を受けるには

地域連携室を通して要予約が必要。紹介状も必要、かかりつけ医の情報を持参した方が、スムーズに診察手続きが進む。初診時の待ち時間は予約があれば、30分~1時間程度。
医師の指名は原則できないが、水曜日の心臓血管外科の初診は教授診となるため、樋上医師の診察が受けられる。また樋上医師の手術を受けたい場合の待機期間は、1ヶ月~1ヶ月半程度である。

累積症例数または患者数

心臓血管手術総数約6,800件。

年間症例数

年間心臓手術、約300例。
【主たる内訳】心拍動下冠動脈バイパス術(成功率100%)、僧帽弁形成術(成功率100%)、大動脈弁形成/置換術(成功率100%)、胸部大動脈置換術など

医師のプロフィール

経歴
1982年3月 神戸大学医学部 卒業
1982年6月 神戸大学及び関連病院で外科研修
1985年6月 神戸大学医学部附属病院医員(第二外科)
1987年1月 兵庫県立姫路循環器病センター 医長(心臓血管外科)
2001年2月 神戸大学大学院医学系研究科 講師(呼吸循環器外科学講座)
2001年4月 米国ミシガン大学外科 専任講師(Department of Surgery,University of Michigan)
2001年11月 島根医科大学医学部 教授(外科学講座外科学第一)
2003年10月 島根大学医学部 教授(外科学講座 循環器・消化器総合外科学)
2005年4月 島根大学医学部 卒後臨床研修センター長 [兼任]
2006年1月 札幌医科大学医学部外科学第二講座 教授
2008年4月 札幌医科大学医学部付属病院 病院長補佐 [兼任]
2012年9月 札幌医科大学医学部 心臓血管外科学講座 教授
所属学会・認定・資格

心臓血管外科専門医・指導医、循環器専門医、外科専門医、脈管専門医、日本胸部外科学会指導医(評議員)、日本外科学会指導医(代議員)、日本心臓血管外科学会指導医(評議員)、日本冠疾患学会(理事)、日本冠動脈外科学会(理事)、日本血管内治療学会(理事)、ライフサポート学会(理事)、日本循環器学会(評議員)、日本人工臓器学会(評議員)、日本血管外科学会(評議員)、日本組織移植学会(評議員)、日本臨床外科学会(評議員)、日本脈管学会(評議員)、日本胸部外科学会北海道地方会(理事)、北海道外科学会(理事)、日本血管外科学会北海道地方会(理事)、日本心臓病学会、日本外科系連合会、日本救急医学会、日本集中治療医学会、European Association for Cardio-thoracic Surgery;EACTS (active member)、The Society of Thoracic Surgeons;STS (active member)、American Society for Artificial Internal Organs;ASAIO (active member)、International Society of Cardiovascular Surgery、International Society of Artificial Organs、The Asian Society for Cardiovascular Surgery 、Best Doctors® in JAPAN(2008~現在)など。

予防に心がけたいこと

まずは生活習慣を見直すことが第一。食生活においては血管にコレステロールを付着させないため、また動脈硬化を起こさないため、脂質や塩分の取り過ぎに注意し、逆に野菜や魚などを十分に摂取すること。また、日頃から適度な運動をしてストレスをためない生活を送ることが大切。

費用のめやす

標準的な冠動脈バイパス術などは、保険診療規定通り