樋上哲哉医師は、冠動脈バイパス手術を飛躍的に進化させたといわれる超音波メスによる内胸動脈採取法の開発者で、これまでに6,000例以上の心臓外科手術をおこなっている。虚血性心疾患だけではなく、弁疾患、大動脈疾患など守備範囲は広く、どの領域でも堅実な成績を残しており、その信頼は厚い。樋上哲哉医師の信条である「医療は患者さんのためのみにある」は、今やこれまで要職を歴任して来た神戸大学,島根大学,札幌医科大学系の心臓血管外科医に染み込み、人間味のあるチーム医療の実践につながっている。
現在は、神戸徳洲会病院の病院長となり、心臓血管外科で診察を行うと共に、他病院で手術を受ける患者さんに対しても「治療には多数の方法がありbestな治療法を見つけ後悔の残らないために」安心して治療が出来るようにとセカンドオピニオンも行っている。
樋上医師が超音波メスによる内胸動脈採取法を開発したのは1998年のこと。当初は周囲も懐疑的な評価しかしてくれなかったが、成績を上げていくにつれてその評価が変わってきたという。もともと内胸動脈が術後も血管が詰まりにくい「よいグラフト」であることはわかっていたが、血管を胸骨からはがすのに高度な技術が必要だった。だから使えるとしても1本とるのが限界だったのだ。しかし樋上医師の開発した手法では、超音波メスを使って安全になおかつスピーディーに左右2本の内胸動脈をはがすことができるようになった。これにより術後に血管が詰まってしまう率が格段に下がった。現在では国内でおこなわれる冠動脈バイパス術の8割が樋上医師の手法を取り入れている。
「従来の常識にとらわれず、可能性を信じてあきらめずに開発を続けたからこそ、今につながったのだと思います」樋上医師の粘り強い研究の結果、冠動脈バイパス術で使われるグラフトの質は格段によくなった。このグラフトを使って、神戸徳洲会病院の心臓血管外科ではほぼ全例で,動脈グラフトのみによる人工心肺を使わない心拍動下冠動脈バイパス術をおこなっている。
このバイパス術の成績は極めて安定しており、99%以上の救命率と良好な長期グラフト開存が実証されている。たとえば5年以内の狭心症再発率は3%以下となっており、従来のやり方に比べて格段に良好な成績を得ている。また樋上医師は僧帽弁疾患の治療においても画期的な開発をしている。それは術中心拍動下逆流評価法というもので、弁形成術の術中に大動脈を遮断しながら心臓を動かして、逆流がないかどうかを確かめることができるというもの。この方法ではその場で弁の状態を確認できるため、術中に微調整ができる。そのおかげでほとんどの例で残存逆流ゼロの完成度の高い僧帽弁形成術を実現している。
こうした新しい手法を開発できるのも、樋上医師がいつも若い医師に言っているという「自分の可能性を否定しないこと」を自分で忘れずに実践しているからではないだろうか。そしてさらに付け加える「いい医者には、いい人間の心が必要です」と。
樋上医師の外来は(2017年12月以降)火曜の午前9:00~12:00、木曜の午前9:00~12:00、木曜の午後3:00~5:00。紹介状なしでも診察可能。医師指名可能。
原則として、初診(午前診)で,当日中の精査および結果説明が可能。
個人の心臓血管外科手術の累積執刀数,約7,000例
心臓血管外科専門医・修練指導者、循環器専門医、外科専門医、脈管専門医、日本胸部外科学会指導医、日本外科学会指導医、日本心臓血管外科学会 (評議員)、日本冠疾患学会(理事)、日本冠動脈外科学会(理事)、日本血管内治療学会(理事)、ライフサポート学会(理事)、日本循環器学会、日本人工臓器学会、日本血管外科学会(評議員)、日本組織移植学会(評議員)、日本臨床外科学会(評議員)、日本脈管学会(評議員)、日本心臓病学会(FJCC)、日本外科系連合会、日本医学会
European Association for Cardio-thoracic Surgery;EACTS (active member)、The Society of Thoracic Surgeons;STS (active member)、American Society for Artificial Internal Organs;ASAIO (active member)、International Society of Cardiovascular Surgery、International Society of Artificial Organs、The Asian Society for Cardiovascular Surgery 、Best Doctors® in JAPAN(2008~)など。
まずは生活習慣を見直すことが第一。食生活においては血管にコレステロールを付着させないため、また動脈硬化を起こさないため、脂質や塩分の取り過ぎに注意し、逆に野菜や魚などを十分に摂取すること。また、日頃から適度な運動をしてストレスをためない生活を送ることが大切。
保険診療