ドクターズガイド

川上重彦 医師 (かわかみしげひこ)

川上重彦 (かわかみしげひこ) 医師

金沢医科大学病院(石川県)10病院のクチコミ
形成外科
教授 金沢医科大学氷見市民病院(富山県)CEO 形成外科

専門

形成外科一般、頭蓋顎顔面外科、熱傷、唇裂・口蓋裂外科、美容外科

医師の紹介

熱傷・瘢痕ケロイド治療は、この20年で劇的な進歩を遂げているが、川上重彦医師が率いる金沢医科大学・形成外科は常にその先陣を切ってきた。広範囲熱傷の際に、敗血症を防ぐために損傷を受けた皮膚をできるだけ早く取り払う外科的手術も、20年以上前から行ってきた。麻酔科も経験した関係で、全身管理が重要な熱傷治療のエキスパートとなり、2011年から2年間日本熱傷学会の理事長を務めた。さらに、形成外科一般に加えて頭蓋・顔面領域も専門とし、日本口蓋裂学会、日本形成外科学会、日本頭蓋顎顔面外科学会の理事長を歴任し、現在は日本褥瘡学会の理事長を務めている。2017年3月末日をもって金沢医科大学形成外科学講座主任教授を定年・退任した。現在は、金沢医科大学病院形成外科教授(嘱託)として診療を行うほか、金沢医科大学理事・金沢医科大学氷見市民病院最高経営責任者(CEO)として病院の経営・管理に係るとともに氷見市民病院においても形成外科診療を行っている。

診療内容

現在の重症熱傷・広範囲熱傷の治療の基本的な考え方は、一日目に起こる熱傷ショックを輸液などによって乗り越え、その後は、敗血症を防ぐため、損傷を受けた皮膚をできるだけ早く取り除く外科的手術を行うというもの。
「壊死した皮膚組織はどうしても細菌感染の温床となるため、身体に付着したままにしていると、細菌が増殖し敗血症ショックから死に至ってしまうので、一刻も早く取り除かなくてはなりません。かつて私たちが医者になりたての頃は、広範囲熱傷で搬送された患者さんの場合、まず熱傷ショックの治療を行って、全身状態が落ち着いてから早くても1週間、通常は2週間ぐらいしてから傷を閉じる手術を始めていたので、敗血症を克服できずなかなか救命できませんでした。昨今は、壊死となった皮膚を出来るだけ早く除去する手術によって、医療先進国では広範囲熱傷が原因で死亡する患者は僅かしかいません。金沢医科大学病院では、既に20年以上前からこの方法で治療しています」
損傷された皮膚を除去したあとは皮膚移植(植皮術)が必要だが、自分の皮膚だけでは不足する場合も多い。このような時、最初に人工皮膚の移植や、スキンバンクから亡くなった人の皮膚(他家皮膚)を提供してもらい、これを移植しておき、その後自分の皮膚に入れ替えて行く方法も取られる。最近では、自分の皮膚を培養して移植する方法(培養表皮移植法)も用いられるようになった。
「培養表皮移植法はまず、壊死組織を除去し他家皮膚や人工皮膚を移植する際に、患者さん本人の耳の後ろから皮膚を採取し、培養する機関に送ります。するとだいたい3週間で1メートル四方ぐらいの大きさの表皮を作ってくれます。それを、先に移植した人工皮膚の上や他家皮膚表面を全部削り、真皮部分だけを残した上に移植すれば、自分の体に採取する皮膚がなくても、熱傷創を塞ぐことができるのです。これが最新の治療法ですね。現在、再生医療が話題となっていますが、臨床の現場において最も再生医療を利用しているのは、熱傷の治療だと思います」
熱傷・瘢痕ケロイド治療で、常に先陣を切ってきた金沢医科大学病院のお家芸とも言える治療法に『含皮下血管網全層植皮術(Preserved Subcutaneous Vascular-network Skin Grafting:PSVN 植皮術)』がある。これは、同院が1975年頃から臨床使用してきた方法で、同大名誉教授の塚田貞夫(前金沢医科大学形成外科学主任教授)医師が開発したもの。一般的な全層植皮術では表皮と真皮全層が移植されるが、PSVNではさらに真皮下の疎性結合組織も付けて移植される。この疎性結合組織には豊富な毛細血管網が存在しており、この血管網が移植床の血管と繋がって、移植した皮膚へ豊富な血流を供給することができる。
「豊富な血流が供給されるために移植皮膚の生着がよい。そのために、皮膚の有する機能が損なわれない、移植皮膚の術後収縮が起こらない、などの利点を有しています。すなわち、整容的・機能的に優れた全層植皮法です。全層植皮術が適応となる全ての部位。とくに、瘢痕拘縮が生じている関節可動部が適応となります。形成外科の治療は結果がすぐ分かります。私は常に100%をめざしていますが、結果的に90%、80%の目標しか達成できない場合もあります。そんなときでも、患者さんが許容し、納得してもらえるような治療をするのが私のモットーです。そのために、患者さんとの信頼関係を築くことを大切にしています」

診療を受けるには

火曜日の午前中に金沢医科大学形成外科外来へ。紹介状はあったほうがよい。
火曜日、水曜日の午後に金沢医科大学氷見市民病院へ。紹介状はあったほうがよい。

累積症例数または患者数

約400例

年間症例数

10~15例

医師のプロフィール

経歴
1976年3月 金沢大学医学部医学科卒業
    4月 金沢医科大学 形成外科 研修医
1976年10月~1978年3月 麻酔科に在籍
1987年 4月 金沢医科大学 形成外科 講師
1992年 4月 金沢医科大学 形成外科 助教授
1996年 3月~8月 米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)形成外科 客員教授
1997年 4月 金沢医科大学 形成外科 主任教授
2010年10月~2014年3月 金沢医科大学病院 病院長
2014年4月 金沢医科大学病院 形成外科教授
2017年4月 金沢医科大学氷見市民病院最高経営責任者(CEO)
       金沢医科大学病院 形成外科教授(嘱託)
所属学会・認定・資格

日本形成外科学会(名誉会員)、日本頭蓋顎顔面外科学会(名誉会員)、日本口蓋裂学会(名誉会員)、日本熱傷学会(名誉会員)、日本形成外科手術手技学会(名誉会員)、日本褥瘡学会(理事長)、日本美容外科学会(理事)、日本創傷外科学会(監事)、日本頭蓋底学会(理事)、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会(顧問)

予防に心がけたいこと

熱傷によって皮膚に水疱ができている場合や範囲が広い場合は、迷わず形成外科を受診してください。一般の皮膚科では対応は困難と思います。ただし,形成外科でも美容を中心に診療をしている場合は熱傷治療を苦手とする可能性が高いので避けたほうがいいかと思います。日本熱傷学会では熱傷専門医を認定しています。熱傷専門医の資格を持った先生であれば問題ありません。

費用のめやす

熱傷の範囲や深さによって治療費は大きく変わる。とくに目安というものはない。