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山岨達也 医師 (やまそばたつや)

山岨達也 (やまそばたつや) 医師

東京大学医学部附属病院(東京都)28病院のクチコミ
耳鼻咽喉科 ・聴覚音声外科
科長、教授

専門

耳科学、聴覚医学、平衡神経科学

医師の紹介

人工内耳手術、中でも小児の手術、療育では国内でもトップクラスの実績を誇り、小児難聴外来を持つ。術後の処置が重要になる小児の手術では、医師と専任の言語療法士が連携し、チームを組んで治療方針を決定している。また高度の内耳奇形や髄膜炎後の蝸牛骨化など困難な手術でも、術後の改善が予測できる場合は積極的に手術を行い、すべての例において成功を収めている。さらに術後成績が不良であった外耳道閉鎖症例に穿通枝遊離皮弁を用いた新しい手術を開発し、画期的な成功を得ている。成果が治療に活かせる研究にも力を注ぎ、老人性難聴の発症仕組みの解明、有毛細胞の再生など幅広く研究を進めている。

診療内容

東京大学医学部附属病院の耳鼻咽喉科は専門外来を多く持つが、山岨医師率いる小児難聴外来もそのひとつである。「近年、新生児スクリーニング(新生児を対象とした先天性の代謝異常や分泌異常の検査)の普及により、難聴が疑われ、精密検査を希望して来院する患者さんが増えています。こういったお子さんの聴力検査、難聴児への補聴器装用・聴能訓練施設の指示、先天性高度難聴児の人工内耳適応への決定、小耳症・外耳道閉鎖症・外耳道狭窄症の治療にとくに力をいれています」と山岨医師は語る。
検査は条件詮索反応(COR)、歪成分耳音響放射(DPOAE)、聴性脳幹反応(ABR)、定常状態誘発反応(ASSR)、 前庭誘発筋電位(VEMP)など多岐に渡って行われ、必要に応じて側頭骨高分解能CT、頭部MRIなども撮影する。通常外耳道狭窄の手術は6歳以降、閉鎖症は8歳以降に行なわれ、同科では狭窄症はすべての例において聴力が改善されている。
「閉鎖症の場合は聴力やCT検査の結果や、症状が片側か両側かなどを参考に、中耳の奇形の程度を判断して聴力改善手術が可能か、決定します。再建した鼓膜が浅在化(正常より外側で治癒してしまう)することがあり、時に手直し手術を追加することがあります。数年前から植皮の代わりに穿通枝遊離皮弁を用いるようにしたところ鼓膜の浅在化や感染は激減し、高度な中耳奇形以外では聴力は著明に改善されています」と山岨医師は言う。日本全体の人工内耳手術の中でも、小児例は増加の傾向にある。
「2000年には17歳以下の小児例は人工内耳手術全体の30数%でしたが、2009年には6割を占めるようになり、そのうち3歳以下の幼児が30%を占めています。成人では術後ほとんどの場合聴力の改善がみられますが、小児の場合、術後の療育や訓練が重要です。手術がゴールではなく、そこから言語力を伸ばしていくことが重要だからです。当科では多くの難聴児訓練施設と密接な連携を持っていることが、手術例増加の1つの要因です」と山岨医師は話す。
成人の場合も含め、人工内耳手術が可能かどうか、まず聴力・補聴効果などの評価を行い、CT・MRIを用いて内耳の状態を診断する。その上で患者に人工内耳に関するさまざまな資料を提供し、最終的な判断をする。この段階で人工内耳の効果があまり期待できない症例も確実に選り分けており、不要な手術は回避している。手術終了後も「人工内耳の調整、聴能訓練、定期的な検査を行っています」と丁寧なアフターケアを行っている。高度の内耳奇形や蝸牛骨化など手術の困難な症例においても全例手術を成功させ、顔面神経麻痺や電極脱落例が全く無いなど、同科は極めて高い技術を誇っている。これらの実績からも難聴児訓練施設と厚い信頼関係を築き上げているのである。
山岨医師はまた、難聴に対する基礎的な研究を基に臨床の治療法を開発する、いわゆるトランスレーショナルリサーチに力を入れている。聴力温存型人工内耳の開発、両耳人工内耳に関する研究、耳鼻咽喉科領域のアンチエイジング医学の研究、再生医療など、さまざまな研究が進行中である。

診療を受けるには

一般、小児難聴外来…火曜の午前。一般、中耳炎…木曜の午後。要予約。紹介状持参が望ましい(紹介状が無くても受診可能)。予約の場合は待ち時間は30分以下。医師の指名は可能。

累積症例数または患者数

鼓室形成術2,000例以上、人工内耳手術約300例(小児例約230例)、アブミ骨手術約200例、外耳道閉鎖・狭窄症手術約100例

年間症例数

東大病院の年間耳科手術は約200例。個人では鼓室形成術(乳突削開術)約40例、人工内耳手術約20~30例、アブミ骨手術5~10例、外耳道閉鎖・狭窄症手術5~10 例

医師のプロフィール

経歴
1983年3月 東京大学医学部 卒業、竹田総合病院、日立総合病院にて研修、亀田総合病院耳鼻科部長を経て
1993年 東京大学耳鼻咽喉科講師
1996年2月~1998年5月 Michigan大学Kresge聴覚研究所に留学
1999年 東京大学耳鼻咽喉科助教授
2007年 東京大学耳鼻咽喉科教授
所属学会・認定・資格

日本耳鼻咽喉科学会(理事、専門医)、日本耳科学会(理事)、日本小児耳鼻咽喉科学会(理事)、 日本音声言語医学会(理事)、日本抗加齢医学会(理事)、日本聴覚医学会(理事)、 日本めまい平衡医学会(理事、専門会員、めまい相談医)、日本頭頚部外科学会(評議員)、日本鼻科学会(評議員)、 日本喉頭科学会(評議員)、日本免疫アレルギー学会(評議員)、日本頭頚部癌学会、日本顔面神経研究会(運営委員)、 日本耳鼻咽喉科ナビゲーション研究会(世話人)、日本臨床遺伝研究会(評議員)、 Association for Research in Otolaryngology、Barany Society、Collegium ORLAS

予防に心がけたいこと

騒音曝露・ヘッドホンによる音楽の長時間聴取の回避、メタボリックシンドロームの予防(GI値—食品が消化されて糖に変化する速さを表す数値—の高い食物や高脂肪食の摂取制限、有酸素運動)

費用のめやす

10割負担として、鼓室形成術(477,000円)、乳突削開術(177,500円)、人工内耳手術(約400万円)、アブミ骨手術(321,400円)、外耳道閉鎖・狭窄症手術(294,100円)
3割負担で入院費の総計は概ね、鼓室形成術、アブミ骨手術、外耳道閉鎖・狭窄症手術で10数万~20数万、人工内耳手術で120万(身体障害者福祉法により全額または多くが補償される)。尚、高額医療費の事前申請により、収入に応じて支払上限額規定の対象となる。

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東京大学耳鼻咽喉科学教室: