ドクターズガイド

宮崎 滋 医師 (みやざきしげる)

宮崎 滋 (みやざきしげる) 医師

結核予防会 総合健診推進センター(東京都)
所長

専門

糖尿病、肥満症、内分泌

医師の紹介

宮崎滋医師は肥満症をはじめとするメタボリックシンドロームの権威。結核予防会では生活習慣病外来や生活習慣病を主とした健診を行っている。「肥満は万病のもと」という信念を胸に肥満症の予防と治療の重要性を早くから提唱してきた。治療法は、食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法、外科療法の5本柱で行うが、何よりも重要なのは「生き方を変えること。だらだらした生き方を、きびきびしたものに変えれば自然に痩せる」と説く。ただし、患者を叱りはしない。減量にリバウンドはつきもの。体重が減らなくてもネガティブにならず、治療を継続させることが大切なのだという。

診療内容

「運動や食事など、生活の乱れが生じると、いろいろな病気になる前に、まず、最初に太ってきます。内臓脂肪が溜まってくると、様々な病気を引き起こすサイトカイン(脂肪細胞が産生・分泌するのでアディポサイトカイン世呼びます)を作り出すので、血圧が高くなる人、血糖が高くなる人、脂質が高くなる人、あるいは肝臓に脂肪がたまって脂肪肝になる人などが出てきます。糖尿病、脂質異常症、高血圧症、非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝)、高尿酸血症、痛風などの生活習慣看病はすべて、肥満あるいは内臓脂肪の過剰蓄積と関連しているのです。生活習慣病はすごい勢いで増えていますが、肥満が原因で起こる病気は、痩せて内臓脂肪を減らせば改善するし、減らすことができます。
 ここで「肥満」と「肥満症」の違いを説明します。「肥満」とは脂肪組織が過剰に蓄積した状態を指し、BMI(ボディますインデックス:体重(㎏)÷身長(㎝)の二乗)で判定します。BMIが25以上であれば「肥満」です。BMIは身長に比し体重が多いことを表しているにすぎず。病気であるかどうかは問題にはなりません。しかし、肥満と判定された人に糖尿病や高血圧のように肥満が原因で起こる病気を合併すれば「肥満症」という疾患として取り扱います。「肥満症」とは一口で言えば「治療しなければならない肥満」です。ところが、肥満も肥満症も区別せず、さらには肥満も肥満症も病気じゃないからと健康保険の適用は認められていません。しかし、太った結果、糖尿病、脂質異常症などを発症すると保険診療が可能です。肥満症が病気として認められ保険適用になるのは、BMI25以上でかつ肥満由来の健康障害がある、もしくは内蔵脂肪型肥満(男女とも内臓脂肪面積100cm2以上)が伴う場合。血糖や血圧を下げる治療をすることだけで、体重を減らすだけの行為は医療とは認めず、予防とするのが、厚生労働省の基本的なスタンスだ。「しかし、実際には痩せることができなくて、糖尿病や高血圧が治らずに困っている人はいっぱいいるわけです。肥満解消に保健を適用すると医療費が膨大になるからと規制していることで、逆に肥満由来の病気と医療費を増やす結果になっているのです。ところが、肥満の解消は、肥満に起因して起こる疾患の改善に有効です。体重が減るとこれまで服薬していた薬が不要になることもあります。逆に、体重が増えると薬が増えたという患者さんをよく見かけます。特定健診・保健指導の結果では、現在の体重を3~5%減らすだけで、血糖、血圧、トリグリセリド値が下がりました」(宮崎医師)
宮崎医師の肥満治療は「どういうタイプの肥満なのかを見分ける」ことから始まる。
「たとえば内臓脂肪型の肥満であれば内臓脂肪はどれくらいあるのか、ほかの病気の有無、血液中の脂質はどうか、血糖はどうかなど全部調べます。心筋梗塞や脳梗塞の予兆など、肥満に関係している病気を見逃さないことが大事です」
その上で食事指導、運動指導、行動療法を行い、3か月から半年で、まず3~5%ぐらいの減量をめざす。
食事指導は栄養士とともに、患者の食事上の問題点を洗い出し、改善へと導く。運動はウォーキング等の有酸素運動を1日30分以上が基本。行動療法は、どういう生活の乱れがあるか、患者本人も気付いていない問題行動を抽出し、改善へと導く。患者だけでなく、周囲の人間や家族の協力を要請する場合もある。重視しているのは「本人の自覚を促すこと」。これを行動変容という。
「どういう生活によって太ってきたのかを、ご本人に認識してもらうための資料を作ってもらいます。朝食、おやつなど、何をどれくらい食べたかを書いていただければ、ダイエットしていると言いながら自分がどれだけ食べているかが分かる。運動もしかり。その上で、じゃあどれだけ食事を減らしましょう、あるいは運動しましょうと具体的な指導を行います。そうしないとなかなか痩せません」
肥満症治療の基本は、生き方を変えることにつながる。
「それまでのだらだらした生活を、きびきびした生活に変えていく。それだけでどんどん痩せて行きますよ。でも、一旦痩せてもリバウンドする場合が多いのも確かです。患者さんには、リバウンドしても悲観することはないと伝えたい。私は、体重が減らなくても、リバウンドしても、患者さんの感情がネガティブにならないようケアすることを心がけています。体重増えるとがっくりきて、外来から足が遠のく方がいらっしゃりますが、通院し続けることが大事です。通院しなければ痩せません。肥満外来に来院する患者さんは、BMI30とか40など、高度な肥満の方ばかりですが、BMIが25ぐらいであっても、内臓脂肪が多ければちゃんと治療することは非常に大事です。小太りだけど脂肪肝、血圧が高いという方々にも来院していたえだける外来をめざしています」

診療を受けるには

毎週木曜(9:00~15:00) 生活習慣病外来

累積症例数または患者数

肥満症、メタボリックシンドローム症例 1,200例以上

年間症例数

肥満症、メタボリックシンドローム 通院例 250例

医師のプロフィール

経歴
1971年 東京医科歯科大学医学部卒業
1971年 同大第一内科
1972年 都立墨東病院内科
1976年 東京逓信病院内科勤務
2001年 同内科部長
2004年 東京医科歯科大臨床教授
2010年 東京逓信病院副院長
2012年 新山手病院生活習慣病センター長
2015年 結核予防会 総合健診推進センター所長
所属学会・認定・資格

【所属学会】日本医学会(元評議員)、日本内科学会、日本肥満学会(前副理事長・理事)、日本糖尿病学会(功労評議員)、日本内分泌学会(功労評議員)、日本病態栄養学会(評議員)、日本体質医学会(評議員)、東京都糖尿病協会(理事)、日本生活習慣病協会(理事長)、日本肥満症予防協会(副理事長)、

【資格】日本内科学会 認定医・指導、日本糖尿病学会 指導医・専門医、日本内分泌学会 指導医・専門医、日本肥満学会 指導医・専門医、日本病態栄養学会 NSTコーディネーター

予防に心がけたいこと

キビキビ、テキパキした毎日の生活。腹八分目、間食、夜食を控え、バランスのよい食事を。息切れ、膝・腰痛がなければ毎日30分歩く。

費用のめやす

肥満症の診断がなされれば保健診療