ドクターズガイド

宮内 昭 医師 (みやうちあきら)

宮内 昭 (みやうちあきら) 医師

隈病院(兵庫県)11病院のクチコミ
院長 甲状腺外科、内分泌外科

専門

甲状腺疾患、副甲状腺疾患、甲状腺がん、バセドウ病

医師の紹介

40年以上にわたり甲状腺、副甲状腺疾患の診療・研究に専念してきた。特に甲状腺がんの診断と治療に取り組み、この手術に伴う反回神経麻痺に対する頸神経ワナ・反回神経吻合による反回神経再建をわが国で最初に考案し施行した。一旦切れた反回神経を直接吻合して再建しても、声帯を内転(閉じる)する神経と外転(開く)する神経の間に過誤再生(神経が再生するときにチャンネル間違い)が生じるので声帯の動きは回復しない。しかし、声帯は萎縮から回復し、発声時の声帯の緊張が改善するので、音声はほぼ正常近くまで回復する。頸神経ワナ・反回神経吻合での神経再建でも同様に声帯の動きは回復しないが音声は回復するのである。
一見、散発性と思われる甲状腺髄様がんの患者でも、RET遺伝子を調べると約17%の患者が実はこの遺伝子に変異がある遺伝性髄様がんであることを報告した。このような遺伝性髄様がんは甲状腺を全摘することが必要である。一方、RET遺伝子に変異がない真の非遺伝性髄様がんは、必ずしも甲状腺全摘は必要でないことを提唱し、118例の髄様がん症例における良好な手術成績を報告した。
髄様がんについては血中カルシトニン値のダブリングタイムが強い予後因子であることを1984年に世界で初めて報告した。20年以上を経てやっとこのことが認められ、アメリカ甲状腺学会の甲状腺髄様がん診療ガイドラインにも採用された。希な疾患ではあるが、急性化膿性甲状腺炎患者の大部分に一種の奇形である先天性の瘻孔(ろうこう・炎症などによって生じた穴)、下咽頭梨状窩瘻、が存在することを世界で初めて発見し、この瘻孔を摘出すると炎症の再発がなくなることを示した。この手術は繊細で難しい。最近、瘻孔の開口部を薬物で焼灼して瘻孔を閉塞させる化学焼灼療法を施行し、約80%の患者で瘻孔の閉塞に成功した。特殊な甲状腺がんの一種であるITET/CASTLEを世界で初めて発見し報告した。これは、甲状腺がんの特殊型であることがWHO分類においても承認された。また、最近は、超音波検査などにて多数の甲状腺微小がんが見つけられるようになったが、リスクの低い微小がんは手術をせず経過を見ることを世界に先駆けて提唱実践し、患者さんに喜ばれている。
最近、サイログロブリン・ダブリングタイムが乳頭がんの極めて強力な予後因子であることを見いだし、この知見を臨床に応用し始めた。「臨床における疑問解決に取り組んだ結果、患者さんの役に立ち診療に有用な治療が行えたと自負しています」(宮内医師)

診療内容

最近主に取り扱っている疾患は、甲状腺がん、甲状腺結節、バセドウ病、副甲状腺機能亢進症および下咽頭梨状窩瘻を感染経路とする急性化膿性甲状腺炎である。甲状腺の悪性腫瘍には、乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、悪性リンパ腫およびその他の希な悪性腫瘍がある。それぞれがんの性質が異なり、再発率や生存率も異なるので、適切な治療方法もそれぞれ異なる。
同院では超音波検査と穿刺吸引細胞診の診断レベルが極めて高いので、これらのがんが手術前に的確に診断されている。甲状腺髄様がん症例の約1/3は遺伝性に発生する。RETという遺伝子を分析することが重要であるが、同院の院内遺伝子研究室にて検査を施行している。
手術にあたっては、出血量が少なく、声帯麻痺や副甲状腺機能低下症などの合併症が少なく、きれいな手術瘢痕となることを心がけている。反回神経の切除を要する症例には、積極的に種々の手術術式で反回神経再建を行い、音声の回復に努めている。甲状腺がんの術後には頸部の圧迫感、締め付け感など不快な症状を訴える患者さんが少なくないが、術後早期からストレッチ体操を行うことでこのような症状が軽減することを見いだし、実地診療にて患者さんにこれを指導し、症状が軽減している。手術の跡ができるだけきれいになるように、手術中だけでなく、術後の傷跡のケアーにも力を入れている。甲状腺全摘術後のテタニー(副甲状腺機能低下症)も不快な合併症である。手術中には副甲状腺の温存に努め、やむなく摘出された副甲状腺は自家移植することで副甲状腺の機能の温存・回復を図っている。さらに、手術当日にはカルチコールを予防的に投与することで不快なテタニーの発生を減少させている。
近年、超音波検査をはじめとする画像診断の進歩と普及によって数多くの甲状腺微小がんが見いだされるようになった。これらの無症状の微小がんの大部分はあまり危険性がないがんであることが明らかになってきている。同院では、世界に先駆けて、1993年から、微小がん全てに直ちに手術を行うのではなく、リスクの低い腫瘍については、手術をせず経過観察することを選択肢の一つとして患者さんに提案してきた。現在もこの方針で間違いないとの臨床データである。
副甲状腺機能亢進症は高カルシウム血症、尿路結石、骨塩量の低下をきたす疾患であるが、実は抑鬱、気分が優れない、意欲的でなくなるなどの精神症状をきたすことも多い。腫大した副甲状腺を摘出すると、血中カルシウム値は正常化し、尿路結石の再発はなくなり、骨塩量が回復し、精神症状も改善する場合が多い。当院では優れた超音波検査技術に加えて、副甲状腺シンチグラフィをSPECT-CTという高度の画像処理技術によって正確に診断することで、最小限の手術侵襲での副甲状腺摘出術を施行している。最近数年間の副甲状腺手術数はわが国のトップの症例数となっている。
梨状窩瘻を感染経路とする急性化膿性甲状腺炎は希な疾患であるが、この疾患は我々が世界で初めて報告したので、当院での経験症例数は世界有数のものである。以前は、外科的に瘻孔摘出術を施行していたが、この手術は難しく、声帯麻痺をきた可能性もあり、また手術瘢痕を残す。そこで、韓国のKim教授が開発した直達喉頭鏡下に瘻孔開口部を薬物によって焼灼し、閉塞せしめる梨状窩瘻(りじょうかろう)化学焼灼療法をわが国で初めて導入し、約80%の患者で瘻孔を閉塞させることに成功した。
2013年の同院手術数は、甲状腺・ 悪性腫瘍:1,239件、バセドウ病:195件、甲状腺・良性腫瘍:542件、副甲状腺・ 機能亢進症:127件。年々増加傾向にあるため、一人ひとりに合った的確な医療を提供できるような体制づくりがされている。

診療を受けるには

初診の予約はできない。月曜~金曜 8:30~11:00に来院を。紹介状や甲状腺検査データのある方は持参。紹介状の宛先医師もしくは希望の医師ができるだけ診察する。

累積症例数または患者数

隈病院における総手術例数:26,094例(1998年~2013年)
うち、宮内医師個人の総手術例数3,393例

年間症例数

隈病院の総手術例数2,100例(2013年)、宮内医師個人の手術例数169例

医師のプロフィール

経歴
1970年 大阪大学医学部卒業
1978年 医学博士
1979年 大阪大学医学部第二外科助手
1979~1980年 Wisconsin 大学留学
1981年 香川医科大学第二外科講師
1986年 同助教授
1998年 隈病院 副院長
2001年~同院 院長
1998~2000年 大阪大学医学部臨床教授
2006年~日本医科大学客員教授
2010年~Visiting Professor, University of Belgrade School of Medicine, Belgrade, Serbia
所属学会・認定・資格

日本外科学会指導医、日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会内分泌外科・甲状腺外科専門医、日本甲状腺学会甲状腺専門医、国際内分泌外科学会のCouncil(理事)、アジア内分泌外科学会のChairman(理事長)、など

予防に心がけたいこと

海藻類が健康によいと過度に思い込んで昆布などを過剰に食べると、ヨードの過剰摂取により甲状腺機能低下症となることがある。イソジンガーグルもヨードの含有量が極めて高いので過剰な使用によって同様に甲状腺機能低下症となることがある。慢性甲状腺炎の患者さんや甲状腺の半分を切除した患者さんなど甲状腺に異常がある患者さんでは、このようなことが起こりやすいので注意が必要である。海藻類摂取の特別な制限が必要というわけではない。ただし、放射性ヨードを用いた検査(甲状腺摂取率測定や甲状腺シンチグラフィ)や放射性ヨード内用療法の場合には医師の指示に従ったヨード制限が必要である。

費用のめやす

基本的に全て保険診療

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