ドクターズガイド

病気の解説

大腸がん

病気・症状

大腸がんは、大腸の内側にある粘膜から発生する。がん化した細胞がどんどん分裂して数が増え、塊として目に見えるようになったものが、大腸がんとして診断される。がんができた場所によって、結腸がんか直腸がんに分けられる。大腸がんは大腸の壁の中にあるリンパ管や血管を通じて、全身に広がることがあり、それをリンパ行性転移、血行性転移という。自覚症状には、主に血便や便通異常(下痢・便秘)、腹痛の3つがある。早い段階では症状がないことが多いので、注意が必要。

大腸がんのステージ(進行度)は、がんが腸の壁に入り込んでいる深さ、またリンパ節転移、肝臓や肺などの他の臓器に転移しているかどうかで決まる。ステージは0~4までの5つに分けられている。

  • ステージ0 がんが粘膜に留まっている。転移することはない。
  • ステージ1 粘膜下層ないしは固有筋層にまでがんが浸潤している。リンパ節転移がない。
  • ステージ2 がんが固有筋層を超えて浸潤している。リンパ節転移がない。
  • ステージ3 リンパ節転移がある。
  • ステージ4 肝臓や肺などの他の臓器に転移している。お腹全体にがんが散らばっている。

早期がんというのは、ステージ0とステージ1のうちの浸潤の浅いものまで、進行がんというのは、固有筋層にまで浸潤、あるいはさらに深くまで浸潤したものをいう。お腹が痛いとか出血しているというような自覚症状は、ステージが2以上にならないと出ないことが多いため、早期がんは検診で見つかる場合がほとんどである。

検査・治療

大腸がんを早期に発見するためには定期的に検診や検査を受ける。特に40歳を過ぎると、大腸がんの罹患率は高くなるので、年に1回は便潜血検査を受けるようにする。便潜血検査は便にスティックを突き刺すだけで、いたって簡単。現在、多くの自治体では無料で検診が受けられるようなシステムができている。ただし、大腸がんがあっても、便潜血検査で必ず陽性として出るわけではなく、見逃がされてしまうこともある。便潜血が陽性の場合、あるいは出血などの自覚症状がある場合、血縁の家族に大腸がんの人がいる場合は、大腸内視鏡検査や注腸造影検査などの精密検査を受けることが大切。大腸内視鏡検査では、肛門から大腸に内視鏡を入れて、大腸の中を直接観察する。これによって5mmほどの小さな病変も見つけることができ、検査中に取り除くこともある。

大腸がんの治療には 手術治療、内視鏡治療、 抗がん剤治療、放射線治療があり、手術治療が全体の86%を占める。『大腸癌治療ガイドライン』により、ステージによってそれぞれの標準的治療が示されている。最近では、創が小さく痛みも少ない腹腔鏡手術が多く行われるようになってきている。がんを根治させることが最も大切なことであるが、低侵襲な腹腔鏡手術や機能温存手術(自律神経温存手術など)により手術後の生活の質が悪くならないように工夫している。抗がん剤治療と手術治療の組み合わせによる新しい治療技術も進んできた。ステージによってそれぞれの標準的治療が決まっているが、最終的には、ステージと患者の身体の状態を総合的に判断して治療方針を決める。

ドクター・病院選びのポイント

医師や病院を選ぶにあたっての基準としては、例えば、大腸癌研究会に参加している施設や大腸がんの手術実績がある施設や医師を選ぶ。日本の大腸がんの治療は世界でもトップレベル。大腸がんは、患者数が多いので、国内の地域医療の中核病院以上の規模の病院であれば、手術実績はあり、しっかりとした治療は受けられる水準にある。

監修

杉原健一医師:東京医科歯科大学名誉教授・特任教授